見出し画像

【旅エッセイ】カッパドキアで気球に乗り、偶然世界一の幸せを分けてもらった話

人生で絶対に見たかった景色の一つが、カッパドキアの気球から見る朝日である。

大学院の卒業旅行と称してトルコに一人旅をしたわたしは、イスタンブールから飛行機で数時間かけ、カッパドキアに向かった。

飛行機で行ったのは覚えているのだが、空港から街までどうやって辿り着いたのかいまいち思い出せない。バスにでも乗ったのだろうか。

泊まる予定のホテルに到着する。観光地なので、ホテルとレストランは乱立していて、適当に散歩をしつていたらボーイさんと目が合った、適当なレストランに入って食事をする。

トルコの料理はおいしい!さすが世界三大料理。
基本的にどの料理も味付けは似ていて、トマトと玉ねぎとちょっとスパイスを煮込みました!みたいなものが多いのだが、それにしたって美味しい。
素材の野菜やら肉やらがまず美味しいので強い。
どこに入ってもわりとちゃんと美味しいのもすごい(というかあまり質は変わらなかった気もする)。

ここでは、名物だと言われた壺に入ったケバブシチューみたいなものを食べた。パンを浸して食べるのたが、これがまたよく煮込まれていて濃い味で美味しかった。

画像7

余談だが、特にヨーロッパでは、ホテルの朝ごはんで生野菜が出てくることは少ない。基本的に、卵とパンとコーヒーくらいのものである。
対してトルコでは必ずといっていいほど、細長いトマトとかスライスされたキュウリとか、ほかにも野菜が沢山出てきて、土地が豊かなんだろうなあと思ったりなどした。
オスマン帝国が繁栄したのも、ちょっと関係ありそうだと思ったり。ご飯が美味しくて栄養価が高いものを摂取できる国はやはり強い。

これはカッパドキアで泊まったホテルの朝ごはん。一人分でこれ。ここにオムレツとトーストが後からきた気がする。豪華!!

画像6


...気球に話を戻そう。

朝6時くらいにホテルロビーに集合し、そこから車で気球乗り場まで連れて行ってもらうような予定だった。

ただ、わたしはなんとまあ、前日にワインを飲んでしまって目覚ましをかけ忘れ、寝坊してしまったのである。
ホテルのオーナーにドアをガンガン!と叩かれ起こされたとき、(たぶん6時15分くらいだった)自分でも流石に引いた。これを楽しみに、数万円払ってここに来たのである。自分がいちばん信じられない、、と思った瞬間ベスト3には確実に入るだろう。

同じワゴン車に日本人の男の子4人組(たぶん時期的に同じく卒業旅行)がいたが、寝坊したのが恥ずかしくて、日本人じゃないですヨーという顔で同じ気球に乗った。気球のカゴの部分は結構大きくて、彼らと遠い場所でよかった、、笑


画像1

クォォーーとガスが音を立て、気球が上昇する。

画像8


気球は高さの調整しかできないということをはじめて知った。その日の風次第でどこに降りるかは最後までわからないのだそうだ。

既に沢山の気球が飛び立っている。独特の地形と合わさって素晴らしい景色だ。なんというか、今までに見たことがなさすぎる、ぐにゃぐにゃした地形が遠くまで続いている。

画像3

このカッパドキアの独特な地形は、噴火による火山灰と溶岩が重なってできたところに、柔らかい部分を風と雨が浸食してできたものらしい。
たしかに、この後ツアーでその地形の部分を巡ったが、柔らかい土の部分と硬い土の部分は明らかに見た目が違って、叩くと音も違った。

下の写真は、白いところが柔らかくて、だんだんこのあとくびれていくのだろう、と思われる。

画像8

地上から見るとこんな感じ、も一応一枚貼っておこう。

画像9


気球上ではだんだん時間が経ち、空が明るくなってくる。火を消すと、気球の上は何の音もしないのでとても静かで、ゆったりとした時間が流れる。

画像10

朝日が昇った瞬間。

画像4

画像5

本当に、言葉にできないほど素晴らしくて、目に焼き付けたくてぼーっと眺めていると。

「○#※△!!!!」

大きい声でなにかを男が叫んだ。

驚いてそちらをみると、なんと女性に指輪を差し出しているお兄さんの姿が!あるではないか!

“Will you merry me?”

彼が英語で囁いた。

今もよく覚えている。トルコ人カップルだったのだろうか。指輪を差し出されていた女性は静かに涙を流して、何度もうなづいた。とても幸せそうだった。

拍手が起きて、みんながニコニコしながらそのカップルを眺めていた。彼らは抱き合っていて、朝日とカッパドキア絶景とが相まって、とても素敵で、幸せな空間だった。

幸せのお裾分けをもらえたようで、心が暖かくなった。こんな場所でプロポーズは憧れる!もしかしたらトルコ人のプロポーズの定番なのかもしれないが、にしたって素敵だった。

降りる場所は決まっていないというか、気球の性質上狙えないので、気球を回収するトラックがその気球を見張っていて、最後上手いこと場所を合わせて、ロープを駆使してトラックに綺麗に着地するのだがさすがプロ。乗客から自然と拍手が生まれるくらい、スムーズに降りた。
そのときリーダーらしきおっちゃんがニカッとして、親指を突き立てたのが印象深い。

降りた後はなんとシャンパン1杯サービス付き。
さわやかなトルコの朝、寒かったが、シャンパンは美味しかった。

トルコ人のサービスはなかなかどうして素敵だった。みんな笑顔で、プロ意識があって、人を楽しませることが好きそうだった。

このコロナ下、観光業で食べていたであろう彼らの生活はどうなっているのだろうか。たとえ打撃を受けていても、彼らならしぶとくやっていそうだ。今後もぜひ続いていて欲しい。

もしよろしければサポートお願いいたします。 いただいたサポートは新たな旅の資金とさせていただき、新しいnote記事のための経費とさせていただきます。