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素人からのフリーランス【就活編】

0.はじめに

こんにちは!sue02です。
引き続き、ゲーム業界への就職に関する情報をお届けします!

学生やお絵描き好きさんとお話していると、
『就職せず、フリーのイラストレーターになりたい!
という声を非常に多く聞きます。
経験者として言えます!
安易にフリーランスを目指さない方が良いよ!!

今回は、ゲーム会社経験ナシで、
フリーランスのイラストレーターになるリスクをお話します。
※ゲームイラストの仕事を取る前提のお話になっています。


1.間違いやすいフリーランスのイメージ!

■ 未経験者が考えるフリーランスのイメージはフィクション

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業界関連の会社に入ったことがない未経験者に、
いきなりフリーランスのイラストレーターになろうとする理由を聞くと、
ほとんどの方がこの中のどれかの返答をされます。

『しがらみに囚われたくない!』
『通勤したくない!』
『好きな絵で簡単に稼げる!』
『会社は人間関係が面倒くさそう!』

その認識、全て逆です!!!!!!!!!!


2.ゲーム会社未経験時代の私がやらかしたこと!

■ やっちまったら後悔しても遅い!

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私にはゲーム会社未経験でフリーランスをやっていた時代があります。
色々やらかしました…
・納期は守らない(守れない)
数をこなすために適当に描くようになっていった…
実力が無いのに調子に乗り始めた…
など、だいぶひどかったと思います。
みなさんには、反面教師にしていただければと思います…
本当にあっさり仕事はなくなります!

一度契約を切られてしまうと、改めて依頼をくれる可能性は低いです。
他の記事でもお話した通りゲーム業界は狭いです!
依頼主の系列や知人会社からも依頼が来にくくなります!

ただ、私がやらかした3つは、私だけではないんですよね…
ゲーム会社未経験の絵師さんとのお仕事で高確率で起こります。
私もそうだったからわかるのですが、
独学では指標が自分だけなので、どうしても自分本位になりがちです。
もし知識で『やらかし』がどういう影響になるか知っていたとしても、
経験がないとなかなか行動に移すのは難しいものです。

仕事としての『イラスト作りを理解するためにも、
一度はゲーム会社に就職してから独立することを強くオススメします!


3.『フリーランスでデビューをする』ということ!

■ 趣味と仕事は別物!

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情報を集めて、具体的な稼ぎ方をイメージできていますか?

『就職せず、フリーのイラストレーターになりたい!という方ほど、
情報を得ずになんとなく決めちゃっている方が多いと感じます。
漠然としたイメージで決めつけることは危険です!
『働きたくない』口実であったり『趣味で描く程度がいい』という場合は、
色々間違えているといいますか、別のお話のため割愛します。

『指示を受けて描くことが苦手』という方、
趣味のイラストと仕事のイラストは全く違いますよ!
自発的に販売するものでない限り、発注者からの指示が必ずあります。

『好きなことで簡単に稼げそう』という方、
クリエイティブには正解が無い分、
自発的に販売するものでも苦悩を伴う仕事ですよ


■ あこがれのプロがライバルになる!

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あなたが神絵師と崇めている方と同業者になるということ!
つまり、仕事を取り合うライバルになるということ!

この話をすると一気に自信がなくなる方をお見受けします。
自分自身のことなので、割と抜けがちな思考なのかなと思いましたw

『〇〇さんくらいになら勝てそう』という方もたまにいますが、
安易すぎる考えです!
画力だけで見るとなんとも言えないイラストレーターもいたりしますが、
その方の仕事の開拓方法や日々の努力を知っていますか?
SNSの情報だけが全てではありません!

非常に営業努力をされていたり、兼業で頑張っていたり…
SNSでは、苦労を表に出さないイラストレーターが大半です。
そういった面を想像できていますか?真似できますか?

そもそも、SNSで情報発信しているイラストレーターは、
業界のごくごく一部です。
え?そうなの?と思われる方は、こちらの記事も参考にどうぞ!


■ 絵仕事はたくさんありそう!私にもできそう』は錯覚

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SNSで絵仕事を公開されているのは、歴戦猛者のベテランだらけ!

業界経験ナシでフリーランスのイラストレーターになろうと思った時、
◎本業よりイラストレーターの仕事の方が増えてきた!
◎依頼が増えてきて今後も安定的に得られそう!
◎死にものぐるいで有名になってやる!
という方で無い限り、コネや実力が不足している業界未経験者が、
生活していけるレベルまで収入を得ることは厳しいと思います。

業界経験ナシでフリーランスをしてきたベテランもいますが、
超努力をされている!もしくは超運がいい!
という事をお忘れなく…
画力だけがあっても、何もしなければ仕事は増えません!
ちなみに、SNSの投稿は個人依頼には効果があるかもしれませんが、
依頼料が高かったり、継続依頼をくれるような会社案件は増えにくいです。
(先程添付した【イラストレーターになるためのSNS活用法】参照)

どうしてもやってみたい方は実際にやってみたらわかると思います…
ただし、フリーランスに挫折してから就職しようと思っても、
最近は未経験採用をしない会社の方が多い印象です。
まずは、新卒時に『ゲーム業界に就職すること』をオススメします!


4.フリーランスは依頼がなければ稼げない!

■自主制作で稼ぐには相当な努力が必要!

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『自由に描ける依頼だけでは生活できない!

1.イラストを売ったり、配信をして稼ぐ
note・ココナラ・SKIMA・You Tube・TikTokなど、色々ありますよね。

ですが、これだけで安定した収入を得るには難しいです。
購入数や投げ銭などはコントロールが出来ません。
ビジネスについてもガッツリ学ばないと厳しい気がします。
稼ぐ以前に知名度のアップにもがいている方がどれだけいるか…

2.イラストをグッズ化して稼ぐ
画家やハンドメイド作家などのおしゃれ系デザイナーとも、
ターゲット層が重なります。
これだけで、一生やっていくのは飛び抜けた個性や作家性がない限り、
かなり厳しいでしょうね!
一つ一つの利益は少額なので、売れ続けないと安定収入にはなりません。

3.同人誌で稼ぐ
人気の同人作家は、ほとんどが二次創作です!

そのため、好き嫌い問わず人気ジャンルに飛びつく柔軟性が必要です!
あまり好みではない作品だった時、妄想を膨らませるのは大変そうです。
ジャンル移動のタイミングをマズって叩かれているサークルも見たことが…
同人誌は利益を出してはいけないという忘れ去られたルールもあります。
オリジナル作品は、固定ファンを増やしてからでないと全く売れません。

4.Vtuber関連で稼ぐ
この業界は今盛り上がっていますね!
その分ライバルも増えています。
徐々に3Dアバターも増えているので、
2Dアバターブームはいつまで続くかわかりません。
配信者さんは個性を求めている方が多い印象のため、
もしアバターを使ってくれる方が増え過ぎたら買え控えにもなるでしょう。


5.自由に描いてOKという依頼はほぼ無い!

■苦手なテイストも苦悩して描かないと生活は厳しい…!

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『あなたが描くキャラクターをぜひ実装したい!』
好きに描いてOKなので引き受けてほしい!』

といった依頼は非常にごく稀です。
私の体感では、依頼した100人のうち1人くらいです。

イラストレーターが自由に描いたように見えるキャラクターもいますが、
その方に合わせて作った依頼書を用意したり、
実装タイミングやゲームバランスを調整したからこそ、生まれています!
たまにSNSで見かける『自由に描かせてもらえて楽しかった!』
と言っているイラストレーターは、売れっ子だからです。
細かい指示がなくても、いい感じに描ける能力があるから!
新人や若手には、そんな依頼は99%来ません…!


6.稼ぎ続けるには流行やニーズの把握が必須!

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生活できるレベルまで、ファンを増やして維持することは超大変!

ファンは流動的です。人間って飽きやすい生き物ですから…
ファンの規模を維持するには、
流行のテイストやニーズを把握し続ける必要があります!
好きな絵だけ描き続けても収入は増えません。
流行のテイストやニーズを把握するのは、見るだけでは培われません。
分析して…考えて…というスキルが必要になってきます。
自分の物差ししかない中では、そのスキルを育てることは中々難しいです。

同じような世界観で描き続けているイラストレーターさんもいますが、
それは、SNSではオリジナル作品だけを描く縛りをしている方か、
オリジナル作品の作風で稼げるようになった売れっ子です!
イラストレーターのほとんどは、
流行や依頼内容に合わせて様々な絵を描かれています!


7.フリーランスでも通勤することはある!

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通勤の可能性は100%ではないけど、0%ではない!

単発のイラスト依頼は、出向や打ち合わせがほぼ無いですが、
長期契約案件や大規模案件では発生することが多いです!
フリーランスが安定した収入を得るには、継続案件を増やす事が近道です。

対面の打ち合わせを要求された場合は、
イラストレーター側が出向くパターンがほとんどです。

昔ながらのコンシューマー系の会社の場合は、
イラストレーターのお宅に挨拶に伺うと聞いたことがありますが、
最近ではほとんどの会社では無いと思います。

最先端の業界だからリモートが盛んなはずと思われがちですが、
コロナの渦中であっても対面を希望される会社は少なくありません。

なぜなら、コミュニケーションを大事にしている業界だからです。
対面して話すことに意味があるらしいです。

通勤までの大変さはありませんが、
依頼先の立地により交通費や移動時間は当然かかります。

最初の1回だけ、月1回、週1回など、
打ち合わせの頻度は案件により異なります。
交通費は、たまに出してくれる会社もありますが、
フリーランス側が自腹なことが多いです。

正社員同様に週5日の出勤必須という案件も、もちろんあります。
継続の業務委託案件は、このパターンが多いですかね。
ちなみに、コロナの渦中にリモートを条件に継続案件を探してみたら、
リモートが理由で断られることが非常に多かったです。
週5出勤案件で転職活動をするとウハウハな中途でもこれです…


8.実はフリーランスより会社員の方が自由度が高い!?

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社員であれば、社内の依頼者と直接話ができる!
描きたいイラストの仕様書を要望できる!

極端に言うと、監修者やメインデザイナーになれた場合は、
『フリーランスへの依頼を止めて自分で描く権限
をとれちゃうこともあります。

フリーランスは『イラストを描く』以外にもやることがたくさんあります。
『イラストを描く』ことに集中できるほど、画力は上がりやすいです。
社内に良い感じのイラストレーターがいるなら、
フリーランスをわざわざ探す必要もありません。
花形のメインイラストレーターになるチャンスを掴みやすいです!

フリーランスは社員ではないため、ラフに雇えるためか、
切られやすいリスクもあります。
長期案件で『明日から仕事は無い』と言われたこともありますw
フリーランスは仕事がなければ収入0!
支払い時期は、ほとんどが一ヶ月~三ヶ月後!
すぐに次の案件を取れるわけではないため、その間収入0もありえます。
納品後すぐに支払いしてくれる依頼先もありますが、数は少ないですね…
数カ月後のリスク分散のために、毎日気が抜けません。


9.フリーランスこそ人間関係で成り立っている!

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継続してお仕事をいただくためには、人間関係が大事!
その解決策の近道がコネを作ること!
コネは絶対にあった方が良い

『素性がわからないフリーランスに頼むこと自体がリスク』
と言われる依頼主も少なからずいらっしゃいます。
大なり小なり、依頼主側は皆さん心の底では思っているでしょう…

ゲームの開発や運営は、制作期間や予算が限られています。
その中で、確実に仕事をこなしてもらえる信頼がないことには、
依頼したい!と思ってもらえません。
信頼を作ることは非常に難しいです。
コネが多少でもあれば、中々案件が見つからないときでも、
友人知人から依頼をもらって食いつなぐことはできます。

実際にイラストレーターになってみると、
イラストの仕事の多くは友人知人の間で回っているなぁ~と感じます。
同業者の仲間意識や助け合い意識も強い気がしますね。

コネを作るには、自主的に勉強会やコミュニティに参加すれば作れます。
ですが、ベテランが多い中に突撃するのは非常に勇気がいりますよ!
正社員になれば、社内はもとより協力会社の方ともたくさん会いますので、
必然的に友人知人は増えていきます。


10.ゲーム会社勤務経験アリの強み!

ゲーム会社勤務経験があると、どういった流れで発注をいただけるのか、
実体験として身についています。その利点は4つ!

1.納期厳守の意識が生まれる!
2.売上を託されている意識が生まれる!
3.単価の基準がなんとなくわかる!
4.どんなイラストレーターでも代用が利いてしまうことがわかる!


■ 1.納期厳守の意識が生まれる!

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納期の設定の裏側を想像できることが強み!

納期が遅れるといろんな方面に迷惑がかかり、コストも上がります。
実装スケジュール自体を後ろ倒しにしたことも、多々あります。
イラストレーターさんの『過失』でも、
チームに言い訳や謝罪をしまくるのは、進行管理をしている依頼主です。

残念ながら、事前連絡なしで納期遅延したり…突然音信不通になったり…
という方は、結構な人数いますが、業界経験ナシの方が圧倒的多数です。
(もちろん、納期を守ってくれる業界経験ナシの絵師さんもいます!)


■ 2.売上を託されている意識が生まれる

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売上を託されている責任感を持てることが強み!

キャラクターイラストの仕様書を考える時、主に2つのことを意識します。
◎既存キャラクターと特徴がかぶらない
◎売上に貢献できそうなビジュアルや設定

仕様書は、依頼主側の意図を取り入れて作られています。
『こっちの方が好きだから』と要件からずれた絵を提出されたり、
勝手に依頼キャラクターの要件を変えられてしまうと非常に困ります。

売上を託されている意識が薄いと個性の発揮に意識が向きがちです。
イラスト仕事の大半は、
イラストレーターさんの個性がほしいのではありません。
依頼書に沿ったイラストがほしいのです!!
個性は、その要件の中で発揮してほしいのです!!!!
なぜなら、ゲームの世界観が大事だから…


■ 3.単価の基準がなんとなくわかる!

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単価の基準や自分の価値を知らないと交渉は難航する!
収入も上がりにくい!

安すぎる単価で依頼を受けてしまうと、
その会社の基準を作ってしまうことになります。

安く受ける方が増えると、業界全体の単価が下がってしまいます。

昔、初めて外注したイラストレーターが3000円で引き受けてくれたため、
2人目以降のイラストレーターにも同額で要求していた会社がありました。
それでも、引き受けてしまう方が多いんですね…
これ、、、適正価格を求めた結果、最終的には10万円になったんです。
今思い返しても、この格差、ヤバいなと思います。

反対に、スキルや予算に身合わない高額単価を要求してくる方もいます。
SNSでバズリ気味のベテランの単価話に影響されたのかもしれませんが、
総じて、ゲーム会社未経験者でした。
一番面白かったのは、キャラクター1点の発注から納品までを、
作成に着手していない監修時間を含めて時給で要求された時ですかね…
ゲーム会社経験がないからアルバイト基準なんだな…と思いました。

フリーランスは実力主義です!交渉力も必要です!
頑張っているから…労力がかかっているから…で単価アップは難しいです。
単価アップの基準は、売上にどのくらい貢献できているか!です。
自分がどのくらい貢献できていそうかなんとなくわかるのも、
ゲーム業界経験アリだからこそなのかなと思います。
なんとなくわかるからこそ、単価交渉の失敗も少なくなる気がします。


■ 4.どんなイラストレーターでも『替えが利く』ことがわかる

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メインイラストレーターだから…、継続依頼だから…、
『安泰
ということはない!

有名なタイトルや人気キャラクターであっても、
突然メインイラストレーターが変わったりするでしょう…?
イラストレーターさんの絵を真似て、
テイスト合わせで描く依頼を私自身もよくやります。
逆に、メインで描いていたのに依頼が来なくなった案件もあります…

キャラゲーの場合でも、同じキャラクターの差分バージョンを作る場合は、
元のキャラクター絵があるため、テイスト合わせでも作れてしまいます。
『キャラは良いけど、イラストレーターとはスムーズにいかない!』
と判断されれば、あっさり依頼先を変えられてしまいます。

ゲーム業界経験者であれば、社員時代に見てきた光景だと思います。
このあたりは、業界経験の有無と言うより性格の問題もありそうですが…

継続して仕事をいただくには、依頼先と信頼を築く努力が必要です!


11.まとめ

『安易』に素人からフリーランスのイラストレーターを目指すリスクを、
一通り書き出してみました。
くどくど書いてしまって読みにくかったかもしれません;
絶対無理なわけではないので、
『本気』で素人からフリーランスのイラストレーターを目指す方は、

ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
このご時世では、ゲーム案件以外にも稼ぐ方法は多々ありますからね!
アイディアと行動力次第です!

私のおすすめとしては、少しでもゲーム関連会社の経験をしておくと、
プラスになることはあると思います。
ソシャゲブームも終息し、ベテランや業界経験者であっても、
安定して案件を獲得することが厳しい昨今です。
同業者の方々はすでに荒波にもまれていることでしょう…
お疲れ様です…
生き残り、頑張りましょう!><


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