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思い出の味を食べたくて

おばあちゃんが亡くなって、1週間が経ち
いつのまにか5月のGWが明けている。

おばあちゃんが亡くなるまえに、


「退院したら、ビビンバたべにいこうね」

と、約束をしていた。

わたしが高校生ごろに
「おいしいビビンバ食べられる店みつけてん!いこう!」

と、超おすすめしてくれて、車に乗せて連れてってくれた。

そのビビンバは、石焼きの器に入って
パチパチと音がなって、アツアツの湯気がたって
器の中はモヤシ、ナムル、ほうれん草、にんじん
小学校の時に食べたビビンバよりも豪華なことにびっくりしたことを昨日のように覚えている。

「辛いのも調整できるからね」と、コチュジャンも本格的なものが用意されていて、小さじいっぱいかけて食べたけども、かなり辛かったこと。

石焼きの器は熱くて触られないくらい。
けども、底のご飯が焦げてしまう。

韓国ドラマでよく見る大きなスプーンで
ビビンバを底からかき混ぜると、湯気が顔に。
ごま油や野菜、肉の香りでいっぱい。

そして、スプーンに程よい量を。
石焼きビビンバを食べてみると、
「熱いけど、なにこのおいしさ!」

初めて食べた感動と、どこか体の底からパワーがみなぎり、絶対におうちでは食べられない味で感動でいっぱいだった。

おばあちゃんがおいしいという、理由がなんかわかったような。

「おばあちゃん、めっちゃおいしい!また行きたい!」

と、いうと、おばあちゃんもよろこび、それ以来、休みの日になると、よく孫である私たちを連れてってくれた。


もう、そんなおばあちゃんも、いなくなってしまった。

「おばあちゃんとビビンバ食べに行きたいなあ」

姉と従姉妹とわたしの口癖になってしまっていた。


「たべにいこ!」
もう、3人我慢できずに、思い出の味を求めて
お店まで車を走らせた。

幸いにもお店は開いていて、店内で食べることもできたけども、万が一のこともあり、テイクアウトにした。

テイクアウトでは石焼きではなく普通のビビンバになるけども、とにかく食べたくて。


家に帰って食べると
あの時の味が、じわじわと口の中で広がっていた。

一口ずつ食べるたびに、おばあちゃんの笑顔や思い出が走馬灯のようにゆっくりと巡って
思わず涙が出そうにもなってしまった。


ビビンバがおばあちゃんとの思い出を蘇らせてくれる。

「ビビンバをたべたい」と、口癖に
なったのは、おばあちゃんをそばに感じたかったんだろうと思った。


また、次は、店内でアツアツの石焼きビビンバを
3人+おばあちゃん一緒に食べたいなあ。。

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