競合が増えてきた時、あなたの会社はどうする?
日本は成熟国として物やサービスが飽和状態になり、大抵の商品・サービスには似たようなものが存在します。
企業側から見ると競合になります。
どんな革新的なヒット商品・サービスでも、時間の経過とともに同じような状況になっていきます。
なぜなら、人気のものを「真似る」という行為は人間の本質的欲求に基づく行為だからです。
では、業界中位に位置するあなたの会社の商品に競合が増えてきて売上・利益が低下してきた場合、どうしますか。
こういった場合、筋の良いアプローチとそうでないアプローチが存在します。
例えば競合に対して、これらの施策Aはどうでしょう?
1.商品のバリエーションを増やす
2.商品品質やサポートレベルを向上させる
3.商品をより安く提供する
結論から言うと、最もダメなアプローチですね。
一方、こちらの施策Bではどうでしょうか。
4️⃣ 20代女性のニーズに特化した新商品をサブスクで提供する
5️⃣ 多数の代理店を活用して地域特性合わせて顧客にきめ細やかなサービスを提供する
6️⃣ 商品開発者のこだわりのストーリーを、商品利用者の声とともに圧倒的ビジュアルで訴求
先の施策Aとの違いはどこにあるでしょうか。
これはいわゆるビジネスモデルキャンパスでとらえるとわかりやすくなります。
こちらがスイスのビジネス理論家、著者、講演者、コンサルタント、起業家であるAlex Osterwalder氏が考案したビジネスモデルキャンパスのフレームワークです。(一部加筆)
施策Aの各施策ではこのビジネスモデルキャンパスの9つの象限の一つの要素だけで競合との差異化をはかったつもりになっています。
1.商品のバリエーションを増やす
「価値提案」を少しいじっただけですね。
2.商品品質やサポートレベルを向上させる
「顧客との関係」に配慮しただけです。
3.商品をより安く提供する
「コスト構造」を見直したのみです。
競合他社の方が資本力がある場合、これではひとたまりもありません。
すぐに真似されてしまいます。
一方、施策Bの各施策はどうでしょう。
4️⃣ 20代女性のニーズに特化した新商品をサブスクで提供する
「顧客セグメント」×「価値提案」×「利益の流れ」という3要素で差異化をはかっています。
5️⃣ 多数の代理店を活用して地域特性合わせて顧客にきめ細やかなサービスを提供する
「チャネル」×「顧客との関係」×「顧客セグメント」にリソースを寄せたアプローチになります。
6️⃣ 商品開発者のこだわりのストーリーを、商品利用者の声とともに圧倒的ビジュアルで訴求
「価値提案」×「顧客との関係」×「主要活動」でブランド再構築をはかる取り組みです。
施策Bは、いずれもビジネスモデルキャンパスの3つ以上のユニークな組み合わせで顧客に新たなソリューションを提供していることになります。
競合他社も異なる組み合わせで独自のビジネスモデルを構築しているので、その要素のパズルを組み替えることは容易ではないのです。
いわゆるイノベーションのジレンマとも言えますね。
これまでの研究で、9つの要素のうち3つ以上の要素の組み合わせでビジネスモデルを刷新した企業ほど、業績が向上していることが裏付けられています。
外部環境(社会経済やテクノロジーなど)と競合他社の動向、自社の強みなどをふまえてユニークなパズルの組み合わせを考えることは、ビジネスが停滞してきた場合の戦略構築に役立つはずです。
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