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手抜きが生まれる集団心理

「ある課題をたった1人で行うよりも
 みんなで力を合わせて取り組んだほうがうまくいく」

そんなふうに考えている人は少なくないでしょう。ところが、集団で作業すると個人の努力がおろそかになって手抜きが発生しやすくなることがあります。このような現象を「社会的手抜き」といったり、あるいはこれを最初に発見したリンゲルマンという心理学者にちなんで「リンゲルマン効果」といいます。

ところで、なぜ社会的手抜きは起こるのでしょうか。
具体的な例をあげて説明しましょう。

たとえば、誰かにとても重い荷物を持ち上げるように頼まれたとします。このとき、あなたが1人でその荷物を持ち上げなくてはならないとしたら、あなたはどうしますか?

一生懸命自分の力を出し切ろう、俗にいう『火事場のバカカ』を発揮しようとするはずです。それは、自分以外に荷物を持ち上げる人がいないため、「自分ががんばって、なんとかしなくてはいけない」と強く感じるからです。

では、4~5名の仲間と荷物を持ち上げることになったらどうでしょう。

みんなで持ち上げればいいわけですから、先ほどのように「自分がなんとかしなくては」とは思わないはずです。当然、『火事場のバカ力』を出そうとはしないでしょう。そういう心理には結び付かないはずです。

また、

 「自分1人ぐらい楽してもいいだろう」

と考えて、持ち上げるフリをするだけ…ということもあるのではないでしょうか。

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集団で課題に取り組む際、個人の努力がおろそかになるのは、まさにこれ
です。課題をなすのに一生懸命努力することについて小さな圧力しか感じなくなるため、各自の努力の度合いが減少してしまい、社会的手抜きが生じるわけです。

では、社会的手抜きが生じないようにするにはどうするべきでしょうか。

社会的手抜きは、個々のメンバーのなかで一生懸命努力することについての圧力が小さいことで生じるのですから、その圧力を強く感じるように仕向ければいいわけです。

そのためには、まず作業にとりかかる前に個々のメンバーの役割なり使命を明確にしておくことが大切です。また各自に

 「私は、これこれ、こういうことをやります」

とパブリックコミットメント(公言)させておくと、より有効となります。

これは、プロジェクト活動におけるキックオフミーティングなどでも有効に機能するものです。あるいは少々原始的なやり方をするなら、チーム全員の見える所に紙にして張り付けておくという方法も有効でしょう。

情報をオープン化、見える化することで、責任感が長期的に持続できるような仕組みにしてしまえば、自ずと社会的手抜きの機会は激減します。

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