見出し画像

小さいことにこだわる姿勢を積み重ねると実績になる

「お前は小さなことを自分で大ごとにする奴だなあ」と言われたことがあります。当時の上司に。確かに我ながら面倒くさいタイプだと思います。

おおざっぱのO型なのですが、ビジネスにおいてはそうも言っていられません。

 「小さなことからコツコツと」

という言葉があるように、大局を見失わない視座を持ちつつも、小さなことにこだわり、徹底しようとする姿勢は今も昔も常に Professional であり続けるために大事な資質となります。

そもそも仕事の一つひとつが自分の、あるいは他人の人生がかかっている事業ですから、テキトーに自分の都合だけで進めるということにどうしても抵抗を覚えるのです。もちろん全てにおいて…というわけではなく、目的に合致した本質的な部分についてと限定しますが。

たとえば、新卒の採用に携わっているときなどがそうでした。

私は見るからに万人受けしそうな人にどうも惹かれません。現場としてはそういう人の方が教育負担も減って楽なのかもしれませんが、既にある程度生き方が確立されてしまっていて伸びしろが無さそうにも見え、将来を担ってくれる人材としてはどうしても惹かれませんでした。

むしろ生き方に迷って悩みを抱えている、それを処理しきれずにもがいている、これからの伸びしろがどこまで行くのかわからない、そういう学生を採りたくなってしまうところがありました。

もちろん自分なりに言い分はあります。

「この複雑な世の中を生きていて、迷いのない人間なんているか?
 自分のごまかし方がうますぎるんじゃない?
 と言うか、そもそも問題意識が低すぎるんじゃない?」

そんな風に思うわけです。
それに、社会人2年目のころから何らかの形で教育にも関わってきましたので、

「ていうか、育成すりゃいいじゃん。
 素直さとやる気さえあれば1年で一人前にしてあげるし」

上司もなんとなくはわかってくれているので「あいつを採って本当に大丈夫か?」と何度も疑問を投げかけつつも、よくもまあ私の意見を尊重してくれたものです。

もちろんこういうこだわりの強い採用は、大きな失敗も成功もあります。

すごく苦労した環境の中で反骨心をバネに大活躍する人もいれば、配属先の部課長の思いと折り合いがつかず芽が出る前に摘み取られてしまう人もいますし、逆に自我が強すぎて集団生活になじめず足踏みしているケースもありました。

それでも、悩んでいる姿がとても弱々しくみえた若者が、20年経って自信にあふれた管理職になっている姿を想像したときにどれだけ嬉しいことでしょう。

どのような人材であっても鍛え、育成し、それなりの人材として活用できることが、組織の意義です。それが出来なければ組織自体の人材管理能力が低いことを意味しますから、組織側を鍛える意味でも、組織側だけが楽することを目的とした採用には抵抗を覚えました。

人事採用の例で言えば、万人受けする人を採用するほうがリスクは小さいのは確かです。そして多くの場合、普通にしっかり頑張るのも彼らなのです。でも私の場合は、化けそうな奴だと思ったとたんに「共に働きたい」「応援したい」と思うスイッチが入ってしまう、いやスイッチを自ら入れてしまうところがありました。

また、こんなこともありました。

昔から、極力上下関係の垣根なしに言いたいことが言い合える雰囲気づくりを心掛けてきましたが、ある時目にした部下からのメールに「社員に○○をやらせたい」というような文言が入っていたことがあります。

すごく不自然な表現というわけではありませんが、私はこういう表現が気になってしまいます。

 「やらせる?何様のつもりなの?やっていただくんじゃないの?」

と思ったらもう止まりません。

会社が承認したものであっても、どうしても意見を言いたくなるのです。
気が強いわけではありません。むしろ弱いのです。

だからおそるおそる…言葉はスーパー丁寧に、でも上から目線に対して完全なる反論をします。周りからしたら「何でまたそんな細かいところ…」とずいぶん面倒に思われていたことでしょう。

当時は今ほど腹も座っていなかったので、意見してみても多くの場合は面倒くさがられて無視されるだけでした。

「それなら何も言わなくても同じじゃないか。
 そのたびにハラハラして、ときには邪魔にも思われて損ばかり。
 どーせ、最後に後悔するのは彼らなんだから、余計なことを言うのはもうやめよう」

と、何度もそう思いました。

でも今振り返ってみて、もう一度その場に戻ったらどうするか?
間違いなく同じことを言うでしょう。自信があります。

なぜなら、そのどうでも良いような小さなこだわり一つひとつが自分の肥やしになってきたことがわかるからです。それが10年、20年経って、確実に自分を成長させてくれていた手ごたえがあるのです。

結果、今でも同じように色々な人たちから疎まれ、陰口を叩かれていることがあってもまったく気になりません。それで自分の能力や実績が変化するわけでもありませんし、少なくとも自分個人が進んできた道が間違いではなかったことを今でも振り返って思える程度に実績として結果を残せているからです。

疎んだ人や陰口をたたく人たちが自分を大きく見せようとあの手この手を使って社内政治にかまけている間に、私はだれの目から見てもハッキリとわかる結果を残しました。それを陰口等であたかも小さい功績のように感じるよう努力されたところで、実態は何一つ変わりません。

周囲がどんなことをしても私の実績と経験値、スキルは私だけのものです。バカにすることなく小さなことにこだわった人間だけが、こだわった分だけ結果を残し、成長機会を得ることになります。

他人の目や評価が気になる人にとっては随分つらい道かも知れませんが、そのせいで失敗やトラブルを起こしたり、顧客満足度を落とすくらいなら、他人の目や評価など糞くらえです。

サラリーマンの仕事の多くは、多少手を抜いても、周りに流されて如才なくやっていてもどうにかなります。目先だけ見れば、むしろそちらのほうがずっと楽でしょう。

でも人生の大きな割合を占める仕事で妥協を積み重ねていくと、歳をとって分別がつきはじめたときにとてつもなく寂しくなるものです。そんな愚痴を実際耳にすることも少なくありません。

小さいことだからとバカにし続けている人であればあるほど、バカにし続けてきたからこそ小さいことの多くをコツコツと積み重ねたバックボーンがないから中身がスカスカとなるんです。

人は本来、みんなとても賢いものです。
いつか自分の人生を鋭いまなざしでみつめ直してしまうものなのです。

ですから、遠い未来の自分が振り返ってみた時の目を意識して、目の前のささいなことにもこだわっていきましょう。

いただいたサポートは、全額本noteへの執筆…記載活動、およびそのための情報収集活動に使わせていただきます。