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企画 = アイデア勝負!…ではない

案外、身近に多いところで

 企画 = アイデア勝負

だと思い込んで無駄に理想が高く、前にも進めず、現状も改善できず…と言うのは日本人の非常に悪い癖だと思います。ビジネスである以上、「運が良ければ…」とか「たまたま偶然」なんてものをアテにして計画は立てられません。必ず実現する仕組みでなければならないのです。

奇跡的にアイデアが出てきたとしたらそれはただのラッキーであって実力でもなんでもありません。それくらい世の中は既にアイデアで満ちていて飽和状態なのです。

具体的に実行できる企画はただの「夢想」であってはなりません。
そんなものでよければ、私だっていくらでも出てきます。

「念じるだけですべて仕事ができていればいいのに」
「無能な上司の適当な説明でも、理解して実現してくれるAIがあれば、
 部下は苦労しなくて済むのに」

でも、所詮「夢想」は「夢想」です。

将来的にも実現不可能かどうかは分かりませんが、少なくとも今の時代において実現性が圧倒的に低く、具体的施策も思い描けないものは夢想以上にはなりえないのです。

企画とは、目標を立てて、その実現に向けて計画できる未来に紐づいていなければなりません。計画できる未来に紐づかない企画は、企画とは呼びません。目標設定とその実現方法が的確ならば特にユニークなアイデアや目新しさは必要ないのです。

私がアイデアに目を向ける時は、常に世の中にあるものに焦点をあてます。

その中に既にあるものも、まず完璧なものはないでしょう。

特に一般消費者に向けて作られたものは、ターゲット層を絞り込みにくいがゆえに、

 「誰でも使える」かわりに
 「誰かにとって必要」な機能が削られていたりします

一人ひとりに対してカスタマイズできないがゆえに、ほんの少しずつ

 「もっと〇〇なっていればいいのに」

という不満があるものです。

みなさんが使っているPC、アプリケーション、システム、スマホ、ゲーム、家電、etc.…様々なところにも個人ごとにささやかな不満があると思います。

私なら、そんなかゆいところに手が届かない課題を改善するアイデアを企画とします。

一人ひとりの不満はささやかですが、不満はすなわちストレスとなります。
10人が"0.1"のささやかな不満を感じていたら"1"のストレスに。
100人が感じていたら、"10"のストレスに発展します。

業務においてストレスを感じさせたままでいると言うことは、その分だけ生産性(コストパフォーマンス)を損ねていると言うことです。たった1つのささやかなストレスで従業員1人が1日あたり10秒損失しているとすると、500名の従業員がいる企業だとすると、年間営業日数が200日あると仮定して、

 10秒 × 200日 × 500人 = 1,000,000秒 ≒ 278時間

も無駄にしていると言うことです。
平均単価を80万程度と仮定すると「たった10秒程度のこと我慢しろ」と言って全従業員にささやかなストレスを与え続ければ年間およそ140万円ほど、無駄なコストが生じさせるということになります。

たった1つ、たった10秒の不満やストレスでさえこんなにコストがかかるのです。

1人1つしか持っていない…と言うわけでもないでしょうから、影響が大きくかつ多くの人が関係する不満やストレスをいくつかずつ改善するだけで

 年間何千万、何億と言う経費が削減できる可能性がある

と言うことになります。


既存の不満を解消する手段(機能)は、その多くが「既存の技術」「既存のアイデア」の導入で済みます。新しい画期的なアイデアである必要は殆どありません。無い知恵を絞って無理やり新しいアイデアをひねり出すのと、既存の課題や不満から企画を採用するのとどっちがより現実的かはお判りだと思います。

現実的な企画を立てるときの考え方の基本として、私が私の裁量に委ねられたうえで常に実践するのは次の通りです。

  1. 現状把握(今、何が起きているのか)

  2. 課題の洗い出し(今、抱えている問題は何か)

  3. 課題改善の可能性(問題は改善可能なものか)

  4. 目標設定(どの問題をどのレベルまで改善するか)

  5. 目標達成のためのアクションプラン(どうやって改善を図るのか)

  6. 経済性の検証(収支はどう変わるのか)

  7. 他に与える影響(プランを実行すると、どのようなリスクがあるのか)

一般的なソフトウェア開発の提案~計画の業務とほぼ変わりません。

まず情報収集をして現状を把握し、そこから課題と改善可能性を洗い出して数ある改善可能性の中からターゲットを絞り、それを実現するための手段を講じます。さらにそれが会社にどんな利益をもたらし、どんなリスクを含んでいるかを検証します。

この一連のプロセスがあって初めて、『企画』はビジネスの現場で価値を持つようになります。

逆に、これらのプロセスが行われていない企画の場合、それをプレゼンされても聞く側の心にも意欲にも響きません。

 「うーん…」
 「まぁ、やってみればいいんじゃない」

と言った薄い反応になってしまうことでしょう。

今挙げた7つのプロセスを考えもしない企画と言うのは、ただの『思いつき』です。
とてもではありませんが、具体的な企画とは呼べません。

 「やってみたいから」
 「〇〇さんがやれって言ったから」

背景にはそんな心情があるのでしょう。
だから具体的でもないし、実現するかしないかも説明できないのです。

ただの思いつきでは、どんなユニークな内容でも「現実」に紐づかないため、役に立ちません。

たとえば、ヒットの可能性を秘めた商品企画があっても、自社が既にその類似製品で圧倒的なシェアを取っているなら新しい商品を投入する意味はありません。にもかかわらず似たような商品を挙げてくるのは、「1.現状把握」「2.課題の洗い出し」と言うプロセスが抜けているからです。

またほかにも、ヒットすることが確実でも多大な資金が必要で、豊富な資金力、豊富な人材がある企業にしかできない企画があったとします。自社の資金力や自前の人材能力が不足しているのにそういった企画を提案してくるのは、「6.経済性の検証」ができていない証拠です。

逆に商品企画自体は平凡だとしても、前後のプロセスが的確なら、収益性に好影響を与えると言うことですので、良い企画と言っていいでしょう。

発想が斬新ではないからと言って、悩む必要は全くないのです。

しかし、この7つのプロセスを阻害する人が出てくるため、私自身もなかなか理想通りに進めさせてもらうことはありません。特に限られたスケジュールの中で

 「2.課題の洗い出し」
 「4.目標設定」

などをコロコロ変えてくる人は、ハッキリ言って邪魔です。

課題と目標は表裏一体です。

当初から抱えていた「課題」や「問題」を解決するのが目的で、その目的を実現する過程上にも定めた振り返るタイミングが目標です。

課題や目標をコロコロ変えると言うことは、そもそもの目的意識がまともではないか、ハッキリしていないということです。期限内に達成しようと言う強い意志がないことの表れです。

こういう人たちも、頭の中では「思いつき」以上になっていません。

そんな人たちにマネジメントさせられ、かつ好き勝手にマネジメントに介入されると、たいていの計画は破綻し、予定通りに進まなくなってしまうのです。

一番のトラブルメーカーと言ってもいいでしょう。 


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