パーキンソンの凡俗法則を避けよ
会議は、本来であれば多様な視点の人間が集まることで、よりよい結論に至ることを目的としており、またそうならなければ意味がないものですが、残念ながらそう期待通りの結果とはならないケースも多々あります。
日本の古くからある会議は特にそうです。
結論が出ないなんて日常茶飯事ですし、代替案も無く否定ばかりで、会議の収集を付けようなんて微塵も考えない人もいます。
一般論としては、重要な議題にはなるべく多くの時間をかけて検討し、重要度の低い議題はそこそこの時間しかかけないというのが鉄則ですが、往々にして、むしろその逆のことが起こりがちです。
その典型が「パーキンソンの凡俗法則」の罠です。
というものです。
通常、難しい事柄(重要度が高いことが多い)については、話も難しく、複雑なため、多くの人がその全容をなかなか理解できないということが起こります。その結果、一部の「よくわかっている人」や利害関係者の主張が強調され、反対意見もあまりないまま、結論もあっさり決まってしまいがちです。
一方で、たとえばオフィスのレイアウトのような単純な案件については、話も単純ですから、誰もが臆することなく発言できます。「あ、これならわかる!」となった人たちがここぞとばかりに持論を展開し始めるからです。ひたすら瑣末なことについて、誰もが自分の存在を誇示するかのように発言をし、かえって無駄に時間が過ぎ去っていってしまうのです。
パーキンソンの凡俗法則を逃れる最も効果的な方法の1つは、
事前に物事の重要性を正しく共有する
ことです。「事前に」がポイントです。
その上で重要度を見越して時間配分を適切に設定することが望まれます。
たとえば1時間の会議なら重要度の高い案件には40分を割き、それ以外の案件は20分でどんどん決めるなどとあらかじめ決めてしまうのです。
もう1つの有効な手法は、
会議にファシリテーターを置いて、
会議の全権限をその者に与える
ことです。
ファシリテーターは、議論のあり方を構築し、適宜さばく人です。そもそも会議で議論すべきテーマにそって皆が発言しているかを判断するとともに、発言者のバランスなどについても注意を払い、会議の生産性を高めます。
ファシリテーターには高いスキルが求められます。
・加者やその場の雰囲気を読むスキル
・否定せず、積極的に聞く傾聴スキル
・意見喚起や考えやすさにつながる質問をするスキル
・簡潔にまとめ、記録するスキル
・論理的にまとめ、結論につなげるスキル
・プロセス管理スキル
・時間コントロールスキル etc.
ただの司会進行とはレベルが違います。中立でなくてはなりませんし、質の高いコミュニケーション能力が必要になります。
本来はファシリテーターを置かなくても、参加者全員が『会議』することの目的、重要性、そして費用対効果をしっかり認識していれば済む話です。むしろそれらを理解しない人たちがあまりに多すぎることが、ファシリテーターという役割を生み出していると言っても過言ではありません。
たしかにファシリテーターは、うまく用いると会議の生産性を大きく高めます。ですがファシリテーションの目的や具体的な効果を理解していない人たちではどうしてもファシリテーターに負担がかかってしまい、まともに進めることは困難です。
そこで、ファシリテーションとまではいかなくても、このファシリテーターの役割を簡便に代替してくれるのが、
アジェンダ
です。アジェンダを作成し、あらかじめ会議の日程を決めた時点で参加者に配布して、事前に読んでおいてもらいます。場合によっては宿題を出したり、意見を考えてきてもらったりします。
そして、いざ会議が始まるとアジェンダの予定に従って進め、話を脱線させないようにするわけです。あらかじめテーマも決められているし、テーマにあわせて意見を考えてきてもらっているため、無駄な時間がグッと削減される効果をもたらします。
そのうえで重要な議題は多くの時間をかけて議論し、重要度の低い議題はどんどん決めていくという基本を常に意識しましょう。
ちなみに私も「ただ参加する」立場ではなく「主体的に進行する立場」となる場合は、このアジェンダをたいへん重宝しています。
①アジェンダを詳細に練り込む
②アジェンダを事前に配布する
③会議の初めにアジェンダを読む
④アジェンダの進行に合致しない発言を避けるよう改めて忠告する
⑤会議中にアジェンダにない発言があった場合は発言を止める
そして
⑥Q&Aの時間を設け、アジェンダにない発言はそこで集中的に洗い出す
という手法を取ります。そのため、Q&Aの時間はあらかじめ比較的長くとっていたりします。
一般的に「立場が上の者が開く会議」…というと、一か所にまとめて報告聞きたいだけだったり、自分ではなに1つ考えずに参加者に適当に決めさせようとしたりするものが大半だったりしますが、私はあまり「会議」の本来あるべき目的から外れたやり方は好きじゃないし、会議自体が関わる人たちの生産性を著しく下げてしまうのは避けたいので、本当に
「会議を開く以外に解決できる方法がない」
「会議を開いた方が参加者全員にとってより効率的に進められる」
という時以外ではまず会議体を開きません。だからこそ開く以上はこれらのような目的を果たせる進め方になっていないといけないと思っています。
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