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真に優れたリーダーやマネージャーは「チームや組織の育成」に精通している

そろそろ本格的に有休消化したい!

ということで、月曜日は在宅となりました(*'ω'*)
在宅勤務から、勤務を取った感じ。イエーイ。


育成ってホント重要ですよね。

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これは元ウルグアイの大統領、ホセ・ムヒカ氏の言葉だそうです。

この言葉はまさに真実だ、と私は思っています。私も昔から、「私を抜いてくれる人材を育てるのが、私の最後の仕事」って言い続けています。それを言い出したのは30歳を過ぎたあたりからですが、かれこれ15年は言い続けているんですね…自分でもビックリです。

まずは、自分に追いつく者を。
そして、追い越す者を。

もちろん、成し遂げるのも大事なのでしょうけど、実務として成し遂げるのはメンバーに任せます。私はメンバーが最も実務がしやすい環境を用意し、その中から素養のある子を育て、次のチームを率いることのできる人材にするのが仕事だと思っています。

だからですかね。「チームや組織の育成」ができないリーダーやマネージャーは、どんなに優れたスキルや知識を持っていても、どーにも半人前以上になれていないと感じてしまうのです。

 「そんなわけない!」

と思いますか?

もし、そうお考えの人がいたら、その人はPMBOKと言うプロジェクトマネージャーの仕事、「マネジメント」に対するフレームワークを理解していないのかもしれません。仮にPMP等の資格を有していたとしても、仮にすごいぶ厚い計画書を作成することができたとしても、実際問題として

 「チームマネジメント」

ができていなければ、プロジェクト活動の根幹をなす「チーム」が瓦解します。プロジェクト活動は、リーダーやマネージャー1人だけの力量でなんとかなるようなものではないからです。あくまで活動するのはチームであり、そのチームの力量の総和(積)が、期待されているニーズ(要求事項)を満たすだけの実力を発揮できなければ、プロジェクトは失敗です。

つまり、

 「チーム全体がニーズを満たす条件を満たさない限り、
  プロジェクトが成功で終わることはない」

ということを意味します。もちろん、例外はあるでしょう。運よく、たまたま成功することはあるのかも知れません。でも、それはマネージャーのおかげでしょうか。それともチームのおかげなのでしょうか。次も同じような規模、同じような難易度のプロジェクトが来た時、安定して同じ結果にすることは可能なのでしょうか。

通常、課長クラス…ひょっとすると係長クラス以上の方々であれば、こうしたことは当然のようにできていなければならないのかもしれません。こと、PMBOKを重要視していたり、あるいはPMP有資格者の数を大々的に謳っているような企業であれば、できていなければ逆に不自然です。

「チームや組織の育成」は

 人的資源マネジメントの中核を担う大事な構成要素

だからです。

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PMBOKは、けしてIT業界だけのためにあるのでは無く、広く「プロジェクト」活動を支援する枠組みです。「プロジェクト」という形態の事業であればどんな業界でも利用できますが、業界や業種、プロジェクト特性によって、10の知識エリアの重要度や優先度、その位置づけは大きく変わってきます。

ですが、B2Bの労働集約型ビジネスモデルを成している組織では、

 人的資源の「質」×「量」

こそが、そのまま収益に直結するようになっています。それだけでも、十分「育成」が重要であることの証となりますが、企業としての育成は、どちらかというと中長期的な視点で行われるモノであり、ピンポイントであるプロジェクト向けに行われるものではありません。

原則として、プロジェクト内の課題に対して、人的資源の力量が不足している場合は、プロジェクトの中で解決しなければなりません。

そこで重要となってくるのが、PMBOKの実行プロセス群で用意されている

 ・プロジェクトチーム編成(または「資源の獲得」)
 ・プロジェクトチーム育成(または「チームの育成」)

です。

プロジェクトチーム編成

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上図は、PMBOK第6版「9.3 資源の獲得」において必要な

 ・「インプット」として必要な情報
 ・そのインプットを活用する際の「ツールや技法」
 ・そして活用した後に「アウトプット」として出力するもの

を記載しています。なかでも重要になってくるのが「資源要求事項」です。
プロジェクトチームを構築するにあたり、

 「どのようなスキルの人材が必要か」
 「それは、何人必要か」
 「どの役割の人が持っていないといけないのか」

といったことが明確になっていなければ、後々になってスキルミスマッチを起こし、プロジェクトは計画通りに進まないようになってしまいます。プロジェクト活動は、ただ「プログラミングができる」、ただ「言われたことをやります」というだけでは意味がありません。プロジェクトの特性に合わせて、たとえば

 ・対象業務に精通している人材
 ・法令規格に詳しい人材
 ・お客さまとコミュニケーションが十分に取れる人材

といった要求も必要になってくるかもしれませんし、場合によっては、

 ・チーム内コミュニケーションで問題を起こさない人材

といったネガティブな要求にも対応できなければならない場合もあります。こうした要求に対して、「役割に見合った要求」「チーム内で必要な人数」などを明確にしていくのです。

また、ここで言う「資源カレンダー」とは、いつから、誰が、どのフェーズに、どのくらいの期間、参画できるかなどを記したものです。

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この表は一例ではありますが、「要員計画表」と呼んだり、「リソースヒストグラム」と呼んだり、企業によって様々な呼び方はあるでしょうが、大体似たような管理をしているのではないでしょうか。

最低限、この程度の情報管理は必須となってきます。

実際には、「カレンダー」と言うように、もう少し具体的な情報も必要で、PMBOK第6版の中では

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プロジェクトに必要な各資源がプロジェクトに利用できる期間を文書化したもの。信頼できるスケジュールを作成できるかどうかは
  ・タイムゾーン
  ・就労時間
  ・休暇
  ・各地の祝日
  ・保守スケジュール
  ・他のプロジェクトへの作業予約など
それぞれの資源の可用性やスケジュールの制約条件を十分に把握できるかどうかにかかっている。資源カレンダーは、プロジェクト全体を通して段階的に詳細化され更新される。

と定義されています。本来は、要員計画の情報だけでは、マネジメントするために必要なものが不足している可能性が高いのだということは知っておいてください。

たとえば、時短勤務のメンバーがいたりすると、1日を1人日で計算した時点で計画失敗です。外注に委託する場合は、その会社のカレンダーに従って活動することが前提となります。持ちビル、賃貸ビルに関係なく、メンテナンスのためのビル停電があったりするでしょう。企業の中には「創立記念日」のようなものや、特別休暇的なものがあるかもしれません。そういった事情は各社にも存在しているので、それを無視してスケジューリングすることはあってはなりません。


プロジェクトチーム育成

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チームの育成は、プロジェクトのパフォーマンスを高めるために、コンピテンシー(行動特性)、チームメンバー間の交流、およびチーム環境全体を改善するプロセスです。

重要なのは「個人の育成」ではなく、「チーム全体の育成・醸成」が目的であることです。当然、その中には「個人の育成」も含まれています。

たとえば、大人と子供が同じチームにいた場合、会話そのものが成立しない可能性が出てきます。3歳児と30歳の大人が二人三脚しようと思っても、バランスが取れません。

そうした知識、技術等がかみ合わないチームでは、まともなコミュニケーションをとることも困難で、チーム活動のパフォーマンスを著しく低下させてしまいます。

こうした問題がチームの中で起きないようにするために、様々な改善を施すのがこのプロセスの仕事であり、

 人的資源マネジメントにおいて最も重要

とされる所以でもあります。ただ「計画」し、ただ「やっとけ」と指示するだけで、チームとして成功をおさめられるかどうかは未知数です。

もちろん、前章の「9.3 資源の編成」において、すべてが理想通りの資源がすべて揃えば何も言うことはありません。ですが、もしそんなことができてしまったら、それはおそらく

 相当、周囲に迷惑をかけている

ことでしょう。極端なまでに自己中心的でなければ、すべてが理想通りの組織を編成することは不可能だからです。そう言うのを、日本では「絵に描いた餅」「獲らぬ狸の皮算用」と言います。

組織の中において、人的リソースの力量は皆バラバラです。
バラバラであることを大前提として検討しておかなくてはなりません。

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新人だっているでしょうし、未経験者が加わることだってあるでしょう。すべてがその道のプロだけで構成されているわけではないのです。経験値の大小や知識量の多少も、人によってバラバラです。

そんな中で、あるプロジェクトだけに理想の人材たちをすべてあてがうと、組織は崩壊します。残った人的資源だけでは、プロジェクトチームを構築することが困難になってしまう可能性が高くなるからです。

ゆえに、前章の「9.3 資源の編成」では、"資源要求事項"を明らかにし、そのうえで可能な限り要求に従った資源を揃えつつ、この「9.4 チームの育成」を以って、十分なパフォーマンスが発揮できるチームを醸成しなければならないのだと言っているのです。

ここまでがワンセットです。

ここまで行うことができて「人的資源マネジメント」はやっとスタートラインに立つことができるようになります。これができると、チーム内のあらゆるボトルネックが解消されていき、チーム内、チーム間、個人間、個人内のパフォーマンスが向上します。

結果、他のマネジメント要求事項(品質、コスト、スケジュール、リスク、他)に対しても、及第点以上のパフォーマンスが見込まれるということになるわけです。

 ・数字(売上や利益)が期待通りにいかない
 ・お客さまからクレームを受ける
 ・納期に間に合わない(残業過多になる)

こうした結果を出している場合は、「マネジメントそのものができていない」と言う大雑把な理由の他に、「チームの育成を軽んじている」と言う理由が隠れています。ゆえに、

 真に優れたリーダーやマネージャーは
 「チームや組織の育成」に精通している

と断言することができます。これができなければ、組織やチームとして計画的に目的を遂行することが困難になるからです。

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