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問題が起きたらまず考えるべきこと

いまは女性やシニアなど、さまざまな人たちが一緒に働く時代です。定年年齢が伸びれば、世代の格差もさらに大きくなることでしょう。何をするにしても「〇〇ハラ」なんて言葉で括られ、本業のあるべき姿や企業と個人の付き合い方の原理原則すら無視されつつあります。さらには在宅勤務などで自分一人で問題に直面する機会もあります。

おそらく今後は現在よりもはるかにまともなコミュニケーションをとることが難しくなります。そうするとますます40代あたりの中間管理職層の負担が増すかも知れません。政府に問題があるのか、国民に問題があるのか、あるいは両方なのか。真因はわかりません。ですが、それらを原因としてビジネスの「問題」は確実にやってきます。

その時みなさんは「誰かが何とかしてくれる」「時間が解決してくれる」と言って解決されるのを待ちますか?

それもいいでしょう。

ですが、一刻も早く解決しないと、最初はひび割れ程度だった歪みがどんどん大きくなって修復不能になってしまったり、致命的なダメージになってしまうことだってあります。その時になって「後悔しない」「他責にしない」覚悟があれば待つのもいいと思います。

ですがもしそうなることを恐れるのであれば、「問題」との向き合い方はきちんと考えておいた方が良いのではないでしょうか。


ビジネスにおいて問題が起きたとき、私たちはどうすればいいのでしょうか。

ここで『基本中の基本』となる対処法を知らないと、戸惑ったり、かえって問題を複雑にしたりしてしまい、解決が遅くなる一方になります。それに、その都度誰かに解決してもらっていたのでは、いつまで経っても自己が成長することはありません。何の工夫もなく、

 ・残業を増やす
 ・人数を増やす
 ・スケジュールを延ばす

と言った、ただの人海戦術やその延長線上の対策で時間が経つのを待っているだけの三流戦術では解決した気になっていても、やはり何も成長はできていないものです。

起きた問題については、解決のために必要となる「ロジカル」な思考による解決手順を確認しておくと良いでしょう。


ロジカル(理性的 + 論理的)な対応

問題を解決するもっとも原始的な能力、それは相手と馴れ合いに陥ることではありません。

確かに日頃から仲良くなっていれば、強く責められることはないのかもしれません。しかし、結局のところ、きちんと解決できなければ、確実に信用や信頼を失っていくことになります。

仲良くしていられるのは信用や信頼の貯金のある間だけです。それ以上に害になるとわかれば、二度と相手にしてもらえなくなります。しかし、日頃から仲良くしていても信用は積み上げられませんし、信頼も微々たるものでしかありません。

問題解決の基本は、まず物事を「ロジカル」に捉え、考えることです。

当たり前のように実践している人もいるでしょうが、全くできていない人も多いのではないでしょうか。

 そもそもなぜロジカルに考える必要があるのか?

職場において、問題が起こったとき、どこから手をつければよいかわからず前に進まなかったり、とりあえず手当たり次第に思い付きで行動してしまいスムーズに解決できなかったりしたことはないでしょうか。

ロジカルに考え、判断することで、以下のようなメリットがあります。

 1. 複雑な問題をシンプルに捉えることができる
 2. 論点が整理され、解決策を見つけやすくなる
 3. 説得力が増し、周りを巻き込めるようになる

複雑な問題が起こると、出口のない森をさまよっているような感覚に陥り、どうやって解決すればいいのか、何一つわからないような気になってしまいますが、ロジカルに考えることで視界が広がり、出口へとつながる近道を発見することができます。

問題が起きたとき、ロジカルに考えて問題解決を行う手順は具体的には、次のようになります。

手順1. 問題原因を見つける

まず、問題原因を見つける(特定する)ところからスタートします。不良、欠陥、想定外の事象、etc.…何かトラブルが起こったとき、何が問題の焦点なのかを特定しなくてははじまりません。漠然と捉えるのではなく、問題が起きている理由を明確にします。

間違えやすいのは「事象」「事実」の区別が付けられない人です。

たとえば、ある画面を操作をした時に予期せぬエラーメッセージが出たとします。

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この時、問題となるのは「エラーメッセージが出たこと」でしょうか、それとも「想定していない(予期せぬ)エラーとなるような処理条件がまだ残っていたこと」でしょうか。


手順2. なぜ起こったのかの原因を分析する

次に、その問題がどのような問題なのかを分析します。
なぜ起こったのかといった原因を思いつく限り抽出します。

そして、仮説を立てて、それらの複数考えられる原因のうち、どれが有力なのかを検証するために情報収集を行います。

最後に、大きな原因と思われることを特定します。


ここでも間違いやすい人は多く存在します。
問題の特定時に「個人的主観が入ってしまう」ケースです。

特に『人』のせいにしてしまって、作り方や進め方に誤りや抜け・漏れがなかったかを分析しない人が多いのです。

 新人だったから
 未経験者だったから

だから問題となった…と言うのです。
本当にそうでしょうか。

最初から新人や未経験者、若手などをチームに加えることは想定済のはずです。すべてがベテランだけで構成されたチーム編成と言うのは原則としてあり得ません。そんなことをすれば、残った新人や未経験者、若手だけで別のプロジェクトを立ち上げなくてはならなくなるからです。

ですから、バランスを考えて、必ずベテランと中堅と若手層を組み合わせてチームを作るようにします。そうしなければ組織の事業が成立しません。

であれば、最初からスキルの低いメンバーが加わったとしても、最低限の品質が維持できるように書式やルールなどを標準化(仕組み化)することで、『人』依存のミスが起きないように準備してあげるのが、リーダーやマネージャーの責務です。


手順3. 解決策のプランを立てる

分析が終われば、いよいよ解決策のプランを立てていきます。分析により見つけた大きな原因について、対処方法、予防策などの解決策のプランを立てます。

問題が起こった場合、すぐに目についたところから解決策に取りかかりたくなりますが、そこをぐっとこらえて、

  問題発見
 →問題分析
 →解決策立案
 →影響範囲特定
 →工数見積り
 →スケジュール調整
 →関係者の合意

の順で整理して考えていくと、解決がスムーズですし、早く解決することも多いです。ここまでの手順1~3の流れをソフトウェア開発上では、"問題解決管理"と呼びます。

ロジカルに問題解決する手順は、とてもシンプルで簡単です。しかし、シンプルとは言っても何も考えずに盲目的に実施しても期待通りの結果にはなりません。ロジカル…すなわち論理的に解を求めるのに頭を使わないで済むと言うことはないのです。

ロジカルな問題解決を行うときにはポイントがあります。


ポイント3-1. 本当に解決すべき問題を探す

問題には、「見える問題」「見えない問題」があります。

「見える問題」とは、表面的な問題で、今まさに目の前で起こっている問題を指します。「見えない問題」とは、見える問題の背景に隠れている本質的な問題のことを言い、ここを解決しなければ、また同じようなことが繰り返し起こってしまいます。

本質的な問題は、通常隠れているため、なかなか見えづらいのですが、

 「なぜこの問題が起こったのだろう?」

と繰り返し問うことで自然と見えてくるようになります。喉元過ぎればなんとやらで、きちんと省みない人は、また同じ問題を起こし続けることになります。

たとえば、部下が商品の誤発注をし、100個のところ1000個の製品が届いたとします。このとき

 「1000個の在庫をなんとかしなければ!」

というのは表面的な問題解決で、

 「部下の育成や発注の仕組みに問題があったのだ。
  だからこれらを見直して改善しなければ!」

というのは本質的な問題解決となります。もしも、前者の解決だけで気が緩み、そこからなにひとつ学ぼうとしなければ、後日、また同じ失敗を犯してしまうかもしれません。「事なかれ主義」に陥って、振り返ることをしない組織やマネージャーの人では、メンバーを"育てる"ということを放棄してしまいがちになるので、注意が必要です。

ビジネスにおける本質的な問題は、おおよそ、

 1.育成
 2.コミュニケーション
 3.仕組み・システム
 4.戦略

の4つに集約されることが多いと言われています。どんな問題も、その根源的な原因は、この4つのうちのいずれかに集約されるのです。知っておくと大変便利です。


ポイント3-2. 「あれ?」と疑問に思う

問題が起こったときに、

 「あれ?この問題の原因って、もしかしたら…」
 「あれ?たとえば、コレが原因だったとした場合…」

と、色々と疑問に思うことが問題分析の入り口です。疑問が生まれると、そこから仮説が立ち、仮説を検証するための情報収集へとつながるからです。

情報収集の結果、仮説が間違っていなければ解決策を立案し実行していきます。


ポイント3-3. 解決策は複数立てる

よくやってしまいがちなのが、「この問題には、この解決策しかない!」と考えてしまうことです。もし、そのプランが実行できなかったとしたら立ち行かなくなってしまいます。

必ず解決策は複数立てましょう。

たとえば、先ほどの例で言えば、部下が商品の誤発注をし、100個のところ1000個の製品が届いたのは、

 ・教育を怠ったせいなのか
 ・コミュニケーション不足で起きたのか
 ・伝票が非常にわかりづらい運用プロセス(仕組み)になっていたのか

によって解決策も大きく変わります。目先の事象・現象だけを見て、勝手に「問題の原因は1つしかない」「だから回答は1つだけあれば十分」としか考えられないでは大抵の問題解決は失敗に終わります。

また仮に原因が特定できたとしても、顧客、案件内容、メンバー構成、時期、自身の権限等、なにか条件が異なれば、過去の成功例が同じように使えるとは限りませんし、使えたとしても同じ結果になるとは限りません。

過去の前例に伴って1つの解に固執してしまい、時間をかけて期待通りの結果が出なかった場合、ただでさえ問題が出ているのにその浪費した時間を誰が埋めてくれると言うのでしょう。

いくつかプランが出ると比較することができますので、

 「1番実行したいのはA案、これがだめならB案、それでもだめならC案」
 「まずは1件だけ試してみて、ダメだったら他の案でも試してみよう」

…といったように解決策を万全に準備しておくことができます。


ポイント3-4.誰を巻き込むかを考える

問題解決の際には、一人でできることには限界がありますので、「誰を巻き込めばスムーズに解決できるか?」を常に考えておきましょう。たとえば

 「この問題は大きくなりそうだから上司に報告する」
 「他部署の○○さんに相談してみる」
 「外部の専門機関にアドバイスをもらう」

など、社内外の組織を有効に活用することが、解決につながるきっかけとなります。

また、話を通しておかないと、社内で稟議が通らないといったキーマンには、必ず根回しをして話を通しておくこともスムーズでスピーディーな問題解決のポイントです。

ただし、巻き込むと言っても自身の責任で解決しなければならない問題を、他人に押し付けてはいけません。それはただの卑怯者のすることです。別の問題を生み出すことになりかねませんので、「他人に押し付ける」行為は絶対にしないようにしましょう。

これは、一般的に"役職者"になるとよく起こることです。

組織としての仕事であれば、部下に任せることもあってもいいでしょう。ですが、たとえば「部長」の仕事であれば、それは部長と言う役割だからこそ行うべき仕事のはずです。にもかかわらず、自らの責任を放棄して、部下に丸投げしようとする…そんな役職者ってどこの企業にもいますよね。

こういう人がいると組織における一人ひとりの抱えられる仕事量のバランスを欠きますし、仕事量が少ない人ほど「経験不足」に陥り、どんどん能力が劣化していきます。

 仕事量 ∝ 経験値 ∝ スキル/能力
 (∝ … 比例)

となりますので、「他人に押し付ける」だけで自分自身の役割からも逃げるような上司のもとからはできるだけ早く逃げた方が良いと思います。異動願を出すなり、転職するなり、方法は色々あると思います(が、そもそもそんな人を上司にする人事制度で満足している企業こそが、一番諸悪の根源かも知れませんが)

ビジネスには新人からベテランまで、多かれ少なかれかならず『責任』が伴います。

役割に対して、"責任を果たす"と言う行為すら放棄し、逃げるようであれば、それはもう誰からも信用されない覚悟があると言っても差し支えないと言うことになります。社会人として、一から勉強しなおす必要があります。


最後に

人間は必ずミスをする生き物です。これは絶対です。

ですから、人間の行う仕事には「問題」は常に起きるものと考える必要があります。

そう言う意味で、問題とは「絶対に起こさない!」ではなく「被害を最小限にする!」方が、一番費用対効果が良く行動に移しやすいものであると言えます。そこに「ロジカルに考える」基本を押さえてしまうことができれば、自然と習慣づき、何事も簡単に解決できるようになってくるでしょう。

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