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「放っておいても予定通り進むだろう」ほど危険なことはない

多くの組織において実行力が伴わない大きな理由の1つがフォローアップ不足です。すなわち、特定の目的に従ったコミュニケーション不足のことを指しています。

図23

少し古いグラフですが、これだけみると上司や経営陣って何やってんの?と訝しんでしまいますね。会社…脳の意向が正しく伝わらないと手足である従業員は正しく行動できないはずなのに、そこのコミュニケーションパスが一番不安という事実が露呈しています。

フォローアップとは単なる状況確認や進捗確認ではありません。

PDCAの「C→A」に当たる問題の特定やその解決法を議論したり、適宜動機づけを行うこともフォローアップの大事な要素です。日頃から他愛のない話題を語り掛けておくことで、いざという時に話しかけやすい関係性を構築しておくのも大事なフォローです。

もちろん「育成」などでも、教育そのものよりもその後のOJT時におけるフォローアップの方が重要です。なぜならたった1日教えられる技術的な教育要素をただ暗記するだけでは意味がなく、それらの知識を"事前情報"として用い、実際の現場で活かせるかどうかはOJTによるフォローでなければ培うことができないからです。そのため、OJTにおけるフォローアップが伴わない教育は、育成として『失敗』と言わざるを得ない、と私は考えています。

もちろん、フォローアップは新人に対してだけではなく、上司と部下、PJメンバーとリーダー、経営者と社員と言った関係性においても重要な役割を果たします。

これらを面倒くさがらずに行うことが、組織において

 『目標達成の実現可能性』

を劇的に高めます。

図23

フォローアップの方法には大きく、

 ・1on1ミーティング
 ・多くの人数が参加する会議

の2つがあります。
(メールも用いますが、エッセンスは同じなのでここでは割愛します)

1on1のミーティングが向いているのは、「個人レベルの問題解決について丁寧に議論したい時」や「「NG」の行為をした人に対して注意したい時」などです。

頻度については、状況(相手の習熟度や仕事の緊急性など)にもよりますが、通常は自分の生産性を損ねない範囲でこまめに行うことが効果的である
ということが欧米企業などでの研究結果からは示唆されています。

ミーティング形式がこまめだとつらい…と言う場合は、ふんだんに雑談を織り交ぜるといいでしょう。たとえば、「決め事」はミーティング、その「状況確認や簡易なアドバイス」はすれ違いざまの雑談…と言った形です。


多くの人間が参加する会議については、まずは頻度や参加者の特定をしっかり行います。その上で、事前にアジェンダ(討議項目)を設定・共有します。

会議はダラダラと長引かせずに素早く切り上げ、現場での活動を重視しましょう。

限られた時間を有効活用すべく、単なる情報共有などは事前にメールやファイル共有などで行い、会議の場は前向きなアクションを討議する場とすると効果的です。

議事録はしっかり共有し、次の会議までに誰が何をすべきかをしっかり確認することが大事です。

多くの関係者の意識や認識を「共有する」「共有し続ける」ために最大限できることをやらないと、この方法は効果がありません。

実行力の弱い組織や人はこの部分がたいていアバウトです。

若手がこれをしっかり行うと自ずと中堅社員もそれに倣うものです。自ら率先して会議の実行力を高める場にすることで、組織の生産性も確実に高まります。

また、議事録やメモの効用の1つとして、フォローアップでの決定事項をより「公式」のものにすることができ、当事者意識や達成意欲を喚起すること
があります。さらに、

 「決定事項が歪められて伝わる」
 「関係者の認識がずれる」
 「責任の所在が暖昧になってしまう」

といった事態も避けられます。そのためにも、次の要素を記した議事録の共有はしておくことが望ましいのです。

・何が決まったか(あるいは決まらずに継続討議となったか)
・誰が何を担当するのか
・どのような数値をモニタリングするのか(その数値はどうだったのか)
・付帯意見や当事者としての感想

なお、議事録は、単に参加者間で共有するだけではなく、広く関係者に公開することも効果的です。それにより、透明性が高まるとともにメンバーの当事者意識や責任感も高まるからです。

また、広く情報を共有することでアドバイスをもらえたり、何かあった時に知恵や力を貸してくれる人間が増えるというメリットもあります。実際「あの件だけど……」と別の部署の人間からアドバイスや指摘をもらった経験は数知れません。

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