ミス撲滅にはマイマニュアルを
色々なフロアに足を運んでみると、日々仕事の「ミス」に遭遇します。
あるフロアでは、とにかく起こり散らしている上司がいました。
あるフロアでは、先輩が一緒に対応しているシーンが見受けられました。
あるフロアでは、ミスを起こさないようメンバーに声をかけていました。
でも、ミスは起きます。みんなミスを嫌がります。でも起きます。みんながみんな、ミスを忌避したがっているのになぜ起きるのでしょう。
ミスを起こすと、その修復に工数(時間)が発生します。
いわゆる「手戻り」と言うやつですが、それが多ければ多いほど、当然ながら仕事は遅くなっていきます。端的に言えば、仕事の速い遅いはミスの量で決まると一部では言えるかもしれません。
小学算数の「みはじ」とおなじ考え方です。
仕事の完成を「道のり」とした場合、そのゴールに辿り着くためには、どうしても『速さ』×『時間』という計算式が必要になります。当然ながら、仕事が遅い(『速さ』が低い)と、『時間』がそれだけかかるということになります。
つまり、残業です。
ミスの多さは、常に労働のブラック化を招くことになるのです。だから、ミスしたくないんですね。まぁでも、ミスしないための取組みが真因を穿っていないと、いつまで経ってもするんだけど。
自分専用マニュアル
そこで、私が提案したいのは自分専用のマイマニュアルを作って、仕事の仕方をあらためて整理することです。マニュアルと言ってもあまり小難しいことを考えなくても構いません。もちろん詳細化されていれば再現性の高い、質のいいものとなっているでしょう。しかし、そこまででなくても「攻略法」として成立していれば、目的としては十分です。
本来の目的を鑑みれば、マニュアルは基本的に
・凡人に非凡な活動を実行させるため
(知識が無くても、それさえ見れば有識者と同じことができる)
・情報を共有するため
(誰かに伝え、同じことをしてもらう)
のものですが、ここであえて「攻略するため」という1点に絞り込んで自分の仕事をマニュアルにしてみることをオススメします。もちろんこれは、誰かに伝えるためではなく、自分の中で仕事を俯瞰して管理するためです。
たとえば、何かの仕事プロセス(流れ)を管理しているとすれば、まず何から手をつけて、誰に連絡をして、誰に報告をして、何を手配して、…というのを、マニュアルにしていくのです。できるだけ細かく、全く知らない第三者の素人でもそのマニュアルを読んで、その通りにすれば同じことができる…くらいにしておくといいでしょう(理想は『家電製品の取扱説明書』レベルです)。
すると、どうすればミスなくその仕事/作業を管理できるのかを可視化できるばかりでなく、最初のうちは「正しいけれどもわかりにくい」手順というものにも気づくことができるでしょう。
何度も改善を加えていきながら、
「もうこれ以上、修正するところはないかな?」
と言うレベルになるまでには今しばらくかかると思いますが、そこは根気よく向き合ってみてください。結果として、コストや手間を最小限に抑え、無駄もミスもない仕事が実現できるようになっているはずです。マイマニュアルが最適化されたことには、いわゆる
仕事の最適化
も完了しているからです。そのマニュアルに書かれている仕事であれば、周囲の誰よりも自分が一番、スマートに、無駄なく、かつ品質の高いパフォーマンスを出せているはずです。少なくとも、書かれたことを書かれている通りに実施すればミスも起きないはずです。もしも新しい種類のミスが起きたら、またマニュアルにミスしない手順を書き加えていけばいいのです。
仕事における「正しいけれどもわかりにくい」というのは、だいたいにおいて失敗の起きやすい手順です。大雑把だったり、読み手の読解力によって解釈を誤ったり…。そこを、「わかりやすい」状態に整えるだけで、タスク管理をはじめ、全体像を見通しておくべき仕事でのミスは激減します。
私は、小学・中学時代に、一部の人から「職人」ってあだ名で呼ばれていました。既成のものを使わず、自分で作るのが好きだったからかも知れません。だいたい1仕事50円から500円くらいで請け負っていました。
・プラ板でキーホルダー作って売ったり
・夏休みの宿題で健全育成ポスターを描いてあげたり
・家庭科で刺繍を手伝ってあげたり
・当時のゲームの攻略本を作って売ったり
・陸上の大会に偽名使って出場しt(おっと
(あ、主要5教科は専門外でしたので、一切やってません。)
そんな中、小テストの「カンニングペーパーを作る」というのも請け負ってました。当時は、良い/悪いというより、私の中で
「カンニングペーパーを作ってる間の集中力で、
答えを限られた大きさの紙にすべて書ききる知恵と工夫を磨くと
びっくりするほどその内容を覚えてる」
のが楽しくて、授業聞かないかわりに、カンニングペーパーばっかり作っていました。そりゃもう多種多様な仕掛けを作ったものです。そして、作った人間が一番覚えてて、カンニングペーパーが無くても満点を取れていたんです。
私は、この「自分で整理し、自分でまとめて、そんな自分が一番理解していて、一番覚えてる」と言うのは、マイマニュアル作成でも同じことが言えると思っています。
今の時代はノンマニュアルだけど
とは言え、いつまでもマニュアルがなければ何もできない…と言う状況にはしておきたくありませんよね。いずれは卒業することになります。
では、「脱マニュアル化」とは、どうすればいいのでしょう。
最近ではマニュアルをつくらなくても済むようなしくみに取って代わりつつありますよね。携帯電話の初期設定のように、利用者が案内に従って操作するだけで、いつの間にか設定が全部済んでしまうような「仕組み」がそうです。これが、失敗をなくすためにはベストな方法であるのは言うまでもありません。
手順説明がしくみとして取り込まれ、
利用者がそれ以外の手順を辿れない
のですから、失敗のしようがありません。
Webサイトなどでも、老若男女だれでも利用できるように、デザインだけでなく、UI/UXアーキテクチャを駆使した開発方法論も確立されつつあります。ゲームでは大抵「チュートリアル」を進めることで、ぶ厚い取扱説明書が無くてもあらかた理解して進められるようになっていますよね。
家電製品の設定に限らず、仕事や日常生活のすべてのマニュアルがこの「仕組み」に取り込まれ、個人でマニュアルを辿る必要がなくなることが、ミスをなくすためには理想的です。
しかし、私たちを取り巻く機械が、まだその領域に達していないため、現実的とはいえないでしょう。せめて、自分の身の回りの事柄を自分で「マニュアル化」し、無駄を省いてみてはどうでしょうか。
面倒くさがる人も多いかと思いますが、これは言ってみれば、ゲームなどの攻略サイトに情報を書き込むのと似ています。
「どうやったらその仕事のミスが減って、成功するのか?」
と言う命題は、脳内では
「攻略の難しいボスやイベントを、どうやったらクリアできるのか?」
と言うのと同じような状況になっているということです。
仮に、運よくクリアできたとします。
そしてその話を周囲にしたら、おそらくは
「どうやって倒したの!?」
なんて聞かれますよね。そうすると、絵や図を駆使したり、メモを書いて教えてあげたりしませんか?
中には攻略サイトなどに書き込んでいる人もいるかもしれません。課題解決とは、ゲームで言うところのボス攻略のようなものです。そして、それを都度クリアしたいのであれば、忘れないうちに手順をメモしておこうというだけの話です。「仕事」…となると一気に萎えてしまうかもしれませんが、頭の中では「ゲーム攻略」と思ってみてください。なんならBGM付きで攻略している脳内イメージを膨らませてみましょう。
少なくとも私の脳内では、難解な仕事を任されたときってのは常にこんな感じです。「仕事している自分」と言うのも、所詮一種のロールプレイですからね。あながち間違ってはいないんです。
もしも、最良の方法でなかったとしても、クリアができてしまえば、それは十分、マニュアルとして価値があることでしょう。そう考えてみれば、特段面倒と言うほどのことではないはずです。
それでも面倒だから…と作成しない人は、言ってみれば「ふっかつのじゅもん」をメモしておかないのと同じです。せっかく解き進めたシナリオであっても、セーブするキーワードをメモしておかなかったら、次始める時にはまた同じことを繰り返すしかありません。
つまり、「記憶」に頼っているだけでは、もう一度成功する可能性が低下するということです。失敗も苦労も、同じだけ何度も経験するということです。それはもう、自業自得以外のなにものでもないのです。
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