叱る時こそプラス発言を
普段はきちんと部屋の電気を消したり、掃除をしたり、玄関の靴をそろえたりしていても、ちょっとした事情からいつものようにできないことがあります。とくに急いで帰宅したときなどはつい気を許しがちです。
そんなとき、身近な人ほど何かと厳しいものです。
「靴、ちゃんとそろえてって、いつも言っているでしょ!」
「なんで掃除しないの!」
「電気消し忘れ! 電気代かかってるんだからね!」
こんなふうに頭ごなしに言われたりすると子供心に自分が悪いとわかっていても腹も立てたくなります。お互い気持ちに余裕がないときは喧嘩になりかねません。
実はこうした厳しい当たり方は、たとえば「子育て」や会社での「人材育成」などでも非常に悪影響が出るということが報告されています。仮に年輩の方にとって自分たちの世代がそうでなかったとしても、今の市場のニーズと合っていない考え方は捨てなければなりません。
少なくとも『昔』と『今』が乖離しているのであれば、その『昔』を押し付けることで悪影響しか出ないのであれば、その価値意識自体が無用の長物でしかありません。
こうならないための方法として有効なのが
『プラス発言』
で終わらせることです。
たとえば、いつもは靴をきちんとそろえている小学生の娘さんがその日に限って靴をそろえていなかったとします。さて、こんなときどう対応したら良いでしょうか。
ほとんどの人は、こう言いたくなるのではないかと思います。
×「靴がバラバラじゃないか!ダメだぞ。きちんとそろえなさい」
叱って、命令する…というやり方です。
でも、このような言い方では子どもを納得させることはできません。なぜならいつもはきちんとそろえていて、このときに限ってのことなのですから。
ここは次のように対応してみたらどうでしょう。
○「おや、どうしたの?靴がバラバラになってる。
いつもは、きちんとそろえているのに」
叱ることなく、命令することなく、普段から子どもがしている「善行」を言って聞かせるのです。すると娘さんからはこんな言葉が返ってくることでしょう。
「ちょっと忘れ物取りに来て、
すぐにまた出かけるから慌てていて、ごめんなさい!」
なぜ靴をそろえられなかったかという「理由」とともにそろえられなかったことに対して「ごめんなさい」という謝罪の言葉まで素直に口にするかもしれません。
人に注意をうながすときには「プラス言葉」で終わらせる──この効果、けっこう大きいとは思いませんか。
仕事でも同じことが言えます。
リーダーやプロジェクトマネージャーが新人や若手に対してあるいは上司から部下へ
「〇〇やっとけ」
「〇〇やっといて」
このようなよくわからない指示をする上司や先輩を散見します。
そして、ギリギリまで放置しておいて最後の最後に
「できた?」
「どう?」
と言うのは『管理』とは呼びません。
もちろん上司や先輩にも言い分があるのは分かります。
日本における管理職と言うのは名ばかりで、実にその99.2%がプレイングマネージャーであるとのアンケート結果もあるほど、実務を持った状態で下位要員の管理もしなければなりません。
ですから、ちょっと心の余裕がなくなるとロクに管理も行き届かせられないまま、
「なんでこんなことも出来てないんだ」
「〇〇やっとけって言っただろう」
と言って叱り飛ばすことになるのです。
プラス発言…すなわちポジティブ思考の伴う発言は、
人と良い関係を構築するための一手段であり、
人を良い方向へ導くためのベストプラクティスの1つ
です。同時に自身を見直すきっかけにもなる考え方と言えるでしょう。
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