パーキンソンの第一法則
マネジメントにおいても、品質においても、それらを阻害する要因となりうるものの最たるものが、このパーキンソンの法則です。
第一法則は「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というものです。第二法則は「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というものです。どちらも、もらったらもらった分だけ全部使い切ろうとする貧乏性のような性格を表したものと言えるでしょう。
本来、計画は原則として"絶対的"なものです。
しかし、それはただ単に『期日を守ればいい』と言うものではありません。仕事への取り組みに際して、想定外の問題や横やりが一切入ってこないケースと言うのは非常に珍しいものです。最初から予定された期日を守ることだけを意識して計画を立ててしまうと必ず失敗します。
「その通りに進まない」というジレンマを抱えながら、そうしたリスクを考慮に入れつつ、それでも約束の期日を遵守するために最大限の対策を講じ、計画通りに進める努力が求められています。多少の想定外があっても計画遅延が起きないよう、できるだけコントロールしやすい環境づくりや、余力の確保などが必要になってくるのです。
けれども、それをさせないものがいます。
これには『パーキンソンの法則』が深く関係おり、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」という心理的問題のせいで、常に余裕がない状態を作ってしまって、不測の事態に対処できなくなってしまうのです。
パーキンソンの法則は、1957年にロンドンにて発表された法則です。
元は「役人は仕事量に関係なく年間5%～6%の割合で増加する」というものでした。仕事の量と役人の数に関係性はなく、仕事が増えようがなくなろうが、そんな事はお構いなしに人事はただ言われたままに、言われたとおりに役人の採用を行い、どんどんと数を増大させていったわけです。そして、一度増大すると「仕事をしないわけにはいかないから」という理由のために、お互いに仕事を作りあい、さらに雪だるまのように増えていくという法則です。
見積った。受注した。参画した。
しかし、言うほどすることがなかった。
請負だから。お客が見てるから。
そんな理由で、しているように見せるため、何かしら納品物を用意する必要があるため、する必要のないことまで意味のありなしに関わらずとにかく仕事をしているように見せようとしたことはありませんか？
「することなくなっちゃったなー。
休憩まであと２０分あるなー。
でも「何かありませんか？」っていったら、休憩取れなくなりそう」
そんな感じで、２０分をつぶすためだけに、必要かどうかわからないことを「仕事をしている」かのように見せた…なんてありませんでしたか？
そして、一度そういう仕事の仕方を見せてしまうと、今後、余裕のないときでも同じ（無駄な）仕事をすることを強要されたり、してしまったりして困ってしまったことはありませんでしたか。
他にも思い当たる節は無いでしょうか。
依頼・指示する人は原則として「○○までに欲しい」と言う期日を設定してきます。夏休みの宿題が、夏休み終了までにできていれば良いと言うのと同じようなものです。そうした場合、「期日までであればいつ実行しても良い」と言う解釈になってしまうことはありませんか。時には、ギリギリになって慌てて終わらせるようなことはありませんでしたか。
これは"学生症候群"と言って、子供だからやってしまうことであって、ビジネスの世界、マネジメントの世界ではタブー中のタブーです。
最初から、期日まで目いっぱいスケジュールを予定してしまうと、想定外のリスクに対応できず、遅延だけが膨張し、後続作業にどんどん影響を与えていってしまいます。計画を立てる場合は、実際に線引きされた期日を順守することを前提にしつつ、最短で最大効率を意識したスケジューリングを行い、無駄なバッファを設けないことが肝要です。
また、一度スケジュール遅延が発生してしまうと、一度の失敗で「次は挽回する」と思っていても、目の前の作業に忙殺されて結局同じようなミスを起こし、更なる遅延を生んでしまいます。
こうなってしまうと、もう収拾はつきません。
ビジネスが失敗する要因には、自らを、あるいはチームをマネジメント手法がきちんと確立されないまま着手してしまうケースのほかに、この自己抑制が利かず、無計画になりがちなセルフコントロールを行ってしまうことが挙げられるのです。
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