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メンバーの目標を設定する

プロジェクトは、メンバー1人1人の成長の場でもあります。

プロジェクト責任者がオモチャを与えられて好き勝手できるというものではありません。また、売上/利益をあげさえすればそれでいいと言うものでもありません。

企業において、従業員と言うのはいずれ新人→若手→中堅→一人前→ベテランへと育っていってくれなければならない存在です。

これを無視して目先の『金』だけしか見ないのであれば、人の成長機会を無視した業務活動しか行わないと言っていることになります。それは将来的に会社を潰すと言っているようなものです。

もちろん『金』は大事な要素の1つです。
ですが、それが全てではありません。

このことを理解しないまま、プロジェクトの活動をただの「金づる」程度にしか思っていない人は、組織人としては不適当と考えた方がいいでしょう。その『金』を生み出すためにどうすれば組織は従業員のパフォーマンスを最大値化させることができるのかを考えなくてはなりません。


それぞれのメンバーが目標を持って働くことでプロジェクトは活性化します。そして、目標達成にお互いが協力しあうこと、相互に練磨しあうことでチームワークが育まれます。チームワークは組織のパフォーマンスを向上させてくれる要素の1つです。

プロジェクトの計画や目標が決まったら、各メンバーにも是非『目標』を作ってもらいましょう。

そして、プロジェクト全体で各メンバーの目標の達成を意識しましょう。最初はうまくできないかもしれませんが、続けることで各メンバーの働き方が変わります。

目標を持って働く

メンバーに目標を考えてもらう最大の理由は、

 メンバー自身のモチベーションを上げる

ことです。
何の目標もなく、ただ何となくプロジェクトに参加している人は、少しの壁があっただけでモチベーションが下がってしまいます。当事者意識が生まれないからです。当事者意識が生まれなければ責任感もモチベーションも生まれません。

たとえば、あなたが会社の指示で参加した研修が長距離のウォーキングツアーだったと仮定してみてください。ただただゴールが無く、ただただ歩き続ける苦行のツアーです。

目標がないということは、単に人について歩くだけということです。

目の前にちょっとした坂や階段が現れただけで嫌な気持ちになるでしょう。その状態で坂を登るなんてことになれば、どっと気疲れしてしまいます。

しかし、目標を持った人は違います。

 ・何時間以内にゴールする
 ・とにかく完歩する
 ・隣で歩く彼女が疲れたらアシストする

目標は人によって違うかもしれません。

しかし、こうした目標を持っている人は多少の変化は気にも留めません。目標の実現に向けて取り組んでいるときは周囲の些細なことは気にならないのです。

目標を持つことは目の前の活動に対する「集中力」「忍耐力」「責任感」「やる気」など、多くの項目でプラスに働くのです。


目標を共有する

メンバーが目標を考えたらそれを共有しましょう。
できれば、チーム全員が知っているのが良いでしょう。

リーダーが部下の目標を知っていると、仕事の配分を決めるときやトラブルがあったときなど目標に合わせたタスクを割り振ることができ、機会を作ってあげることができるからです。メンバーの側も言語化することで現実味が沸き、他の人に話すことで目標を諦めにくくなり達成意欲が向上します。

また、多くの人と目標を共有すると周囲の人が努力していることが伝わり、自分も頑張ろうという前向きな気持ちになれます。他の人の目標達成をアシストしたり、アドバイスをしたりと言った雰囲気も出てくるかもしれません。

そうすれば、誰かがちょっとした成功をしただけでみんなで成功の喜びを分かち合えるようになります。このような良い循環が生まれると、チームは一気に活性化します。

中には、目標なんて考えたくないという人もいます。

そんな人にはまだやったことのない仕事や役割を与えて、リーダーの期待を伝えましよう。

そして、それをそのまま目標ということにしてしまえば良いのです。目標は技術的なチャレンジでも構いませんが、技術以外でも何問題はありません。

以前、新人教育をする際、模擬プロジェクトではチーム分けした際に「目標」を立てさせる取組みをしました。個々人が簡単にできることでも構いませんが、それを意識することとしないことで圧倒的に姿勢が変わってきます。

活動目標(例)

・作業のやり直しなどの無駄をなくし、重要な仕事に全力を注ぐ。
・内外のコミュニケーションを円滑にし、問題点を早期に発見する。
・利用者の立場になって考え、利用者にとってベストなものを開発する。
・作業を確実に進めていくために、レビューを重視する。
・レビューは必要な人が必要な時間集合し、集中力を維持して行う。
・プロジェクト成功の為に、失敗例・成功例から謙虚な態度で学ぶ。
・余裕のあるスケジュールを立て、レビューの充実や勉強会を行う。
・日常の仕事の中で、改善できる点・すべき点を見つけ、改善に取り組む
・後で見直せるように、作業の記録は文書やメモとして必ず残す。
・毎日の一つ一つの仕事の品質をより良くしていく。
・仕事に取り掛かる前に、その目的と結果の評価の仕方を考える。
・同じ誤りは二度繰り返さないようにレビューなどでノウハウを蓄積する。
・開発の作業記録を残し、ノウハウとして第三者に伝えられるようにする。
・コミュニケーション時は図や表、グラフなどを活用する。
・作業は個々の作業の優先度を考慮し、優先度の高いものから進める。
・成功した時も失敗した時も記録を残し、次に活かすノウハウにする。
・技術に対して常に好奇心を持ち続け、探究する。
・他の人が読んで内容が理解できる文章を書く。
・『なぜ?』と言う疑問を常に持ち、根本原因を追及する。
・よりよいシステムにするために、色んな人の意見を謙虚に聞く。
・作業の管理や成果の把握は数値を表や図などの目に見える形にして行う。

標語(例)

・『~なのは当然』と言う勝手な思い込みはプロジェクトを失敗させる。
・『多分うまくいくだろう』と言うのはまずうまくいかない。
・三人寄れば文殊の知恵、成功/失敗事例は先輩の知恵。

と言ったように、特に最初の頃は『目標を設定する』こと自体を優先しましょう。無理に実現できないハードルを設定してもモチベーションには直結しないからです。

それでも、結局途中で意識することを忘れてしまって目標通りに活動できない人も出てきます。しかし、無理やり押し付けるのではなく、日々の取組みの中で意識だけさせてあとは成長を見守り、時として支援します。

ただし、目標自身がプロジエクトの成功に対しての貢献になることが大切です。たとえば「残業なしで自分の分担をやり遂げる」という目標が実現すれば、その目標を立てた人に分担された仕事は遅れなく進むことになります。

このように、間接的にでも良いのでプロジェクトへの貢献につながる目標を立ててもらいましょう。

 

目標を達成してもらう

プロジェクトマネジメントを担う者は、プロジェクトの目標達成だけではなく、メンバーの目標達成も意識する必要があります。

せっかく立てた目標に取り組まなかったり、目標を達成できそうにもなかったりと言う人が増えてくると、チームの中に無力感が広がってしまうからです。

逆に、チームの半数以上の人が目標に向かって取り組む姿勢になるとプロジェクトは変わってきます。それまで積極的でなかった人も参加しないと置いていかれたような気分になるからです。

また、そのために達成しやすい環境を整えてあげることも大切です。

いついかなる状況においても、ほんの少しでも「パフォーマンスを上げやすい」環境に近づけるのはマネジメントの仕事です。ただ仕事を割り振って「アレやれ」「コレやれ」「なんでやってないんだ」「なに遅れてるんだ」と上から目線でエラそうに言うだけのマネジメントなんて必要ありません。

そんなものは子供でもできます。

マネージャーが大変で、真に求められているのは「マネジメント(やりくり)」です。

多くの人が目標について取り組むようになったらミーティングで発表してもらうなど、取り組んでいる人が多いことをプロジェクト全体に見せる場を作りましょう。

多くの情報を共有し、一人ひとりがお手本になるプロセスを増やすことも、「パフォーマンスを高める環境づくり」にはとても重要なことです。

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