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仕事で求められるスキルを身につける

ビジネスにおいて付加価値を生む人材になるためには、どこかで必ず「学び」が必要になります。少なくとも学生時代で培った知識やスキルだけで社会を生き抜くというのは現実的ではありません。

勉強…と言うと、学生時代の受験地獄から抜け出した現在、なんとなく億劫になるのもわかります。

しかし、ビジネスパーソンとしての付加価値を生むためには、当然のことながら学生時代に身につけたもの以外の能力がなければなりませんが、その能力を身につけるにはやはり「学び」が必要になってきます。


一般に、社会人になってから私たちが仕事の場面で学習するには、大きく3つの方法があります。助言模倣、そして経験による学習です(ここでは、退勤後の個人的な勉強はいったん除いてください)。

助言 ━ 先輩・上司から教えてもらうこと

助言による学習とは、文字通り先輩や上司から直接的に教えてもらうことによる学習です。

具体的なやり方やそのコツ、自分がうまくできていない部分を教えてもらうことによって学ぶこともあれば、知識や考え方を教えてもらうことで学ぶこともあります。

「良い上司」とは必ず部下よりも秀でていて、何かしら答えを持っているものです。「とにかくやれ」「いいからやれ」としか言えない上司でなければ、助言を得ることで学習するという手段もあります。


模倣 ━ 真似すべき人を多く観察すること

模倣による学習は、先輩や上司、同僚などに教えてもらわなくても自分で見て真似することによって学習する方法です。ちなみに私はこの方法に私なりにアレンジを加え、次に説明する「経験」を組み合わせることで非常に多岐にわたる「学び」を得てきたと実感しています。

この場合、学習は次のような手順で行われることになります。

まず誰を見本とするか検討する。
次にそのお手本を記憶する。
その後それを自分なりに再現する。
そして最後に実践していく。

というながれのプロセスへとつながります。

ここで重要なのは、誰の真似をするかということです。

高い能力を身につけるには当然ながら能力の高い人を真似しなければなりませんが、そのためには非常に多くの量、多くの視点で観察をおこなう必要があります。

必ずしも能力の高い人を常に観察できるとは限りませんから、身近に模倣すべき人がいる人は問題ありませんが、そうでない場合にはより良い学びが望めなくなります。

ただし、模倣はある1パターンの学習でしかありません。汎用的に使いこなそうと思うならば、複数の人や複数のパターンを模倣する必要が出てきます。能力の高い人、優れた人の模倣が1つできれば自分も能力が高くなる…とは限りません。向き不向きなどの相性もあるし、相手の取り巻く環境条件と自分自身を取り巻く環境条件が一致するとも限らないからです。

しかし、実際に見て学べるというのは、非常に幸運なことです。

「直接見る」機会を、

ただの「あの人がやってくれてる(今後もあの人がやってくれる)」で終わらせるか、早く自分のものにできるよう「真似てみよう」と思うのか

で今後の成長率は数十倍変わってきます。


経験 ━ 内省、一般化を行うこと

最後に経験による学習です。
経験による学習は4つのステップで進みます。

まず具体的な経験をすることから始める。
次に経験を振り返って意味付ける(内省的観察)。
その内省を一般化、つまりは別の機会において参考にできるようにする。
最後にそれを再度試してみる。

すなわちPDCAの応用です。

スモールスタートができ、且つ自分1人だけで成長することが可能な手法で、世の中の成功者の95%以上はこの方法で大成しています。実は、多くの研究で自身の成長に最も影響のある学習方法はこの経験による学習だと言われています。

経験による学習をより深く理解していただくために、会社という組織での経験にあてはめて考えてみましょう。

まず「具体的な経験」ですが、これは仕事の場面では与えられたものとなる部分が大きいですが、その中で自ら新しいやり方に挑戦してみるなど新しい経験を恐れず試してみることが大事です。

次の振り返りによる「内省的観察」、そして「一般化」の2つのステップでは経験を一度きりの特別なことにしないことが大事です。

一つ一つの経験で見ると、まったく同じことは二度と起こりません。

しかしそこから得られる教訓、次に生かせることがあるはずです。うまくいった経験であれば何がうまくいった理由なのか、失敗経験であればなぜ失敗してしまったのか、どうしたら失敗を避けられたのか、それを内省し、次へ活かせるように考えることが大事です。

ゲームなどをやる人は漫然とゲームをするだけでなく、次回クリアできるように自分の失敗について内省し、次へ活かす人がほとんどではないでしょうか。

それと寸分もたがわず同じことを言っています。

もちろん、実際の仕事はゲームとは比べものにならず気楽に失敗することはできませんし、中には取り返しのつかないものもあるかもしれません。

それでも次へ活かすために一般化することが重要です。

最後に、「再度試してみる」こと。

失敗から教訓を見いだしてもそれを実際に試すことがなければそれは仮説であり、新たな学びとして身についたとは言えません。再度実践し、本当にその教訓/仮説が有効なのか確かめてみることが大事になります。

この4つのステップからなる経験学習でもっとも重要なことは、経験をするだけでは学習しないということです。

もちろん質の良い経験は大事なポイントですが、

同じ経験をしてもそれを内省しなければ学びにならないのです。また内省をしても、それを次につながるような形に変換しなければ、単なる反省だけで終わってしまう

のです。

若いうちは、組織の中で経験する内容にそれほど違いはありません。
また誰にとってもどの経験も初めての経験ばかりのはずです。

しかし、数年たったときにビジネスパーソンとして大きく能力に違いが出てしまうのは、もともとの能力だけではなくその経験をどれだけ糧にしたかということによるのです。

たとえば平昌オリンピックで見事金メダルを獲得したスピードスケートの小平奈緒選手は、自分の滑りを何度も見直し、試行錯誤の結果、世界一のスケーティング技術を身につけました。この試行錯誤こそ経験による学習の4つのステップであり、経験からの学びによるものといえるでしょう。

また経験による学習の面白いところは、成功だけでなく失敗の経験からも多くの学びがあることです。

プロ野球でヤクルトや阪神を強豪に押し上げた野村克也さんは、

 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

と言っていました。成功や勝ちは偶然の要素が大いに絡むことがあり、なぜうまくいったのかがわからないような時がありますが、負けや失敗には必ず負けや失敗の理由があるという意味です。そう考えれば成功よりもむしろ失敗からの方が、学びが多いかもしれません。

ただ失敗は誰にとっても振り返りたくないものです。

また、偶然や運の要素、自分ではどうしようもないことにその原因を置きたくなるものです。しかしそこから目を背けず、その失敗を繰り返さないようにすることが学びの大きな一歩になるのです。

同じ失敗をただ繰り返す人は、結局目の目の現実から逃げるだけの人でしかありません。当然、失敗から学ぶことをしていなければ次も同じ失敗を繰り返すことでしょう。

失敗は、意図的にするものではありませんが、失敗を恐れずにチャレンジすることはできます。逆に言えば、新しいことや今までやったことがないことにチャレンジしなければまず失敗をすることはありません。ただ、いつもうまくいっているやり方でうまくいったとしてもそこから学ぶことは少なくなります。

将棋の羽生善治さんは

 「運命は勇者にほほ笑む」

と言っています。負けることを恐れずに新しい未知の指し手に踏み込むことこそが大事だと考えているのです。いつものパターンでやっていくだけでなく新しいチャレンジをしていくこと、それこそが成長の源泉になるのです。

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