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失敗は「知識化」しなければ伝わらない

また寒くなるらしいですね。

いい加減あったかくなって欲しいものです。あと、世の中が色々良い方向に向かってほしい。自分にできることはしますけど、できればもっとこう…抜本的に良くなって欲しいなと思うわけです。なるのかなぁ…。


さて。

プロダクトの品質低下は、突き詰めるとプロセスの品質が低いから起こるものですが、プロセスの品質って何かというと、一番わかりやすく言えば、要するに

 仕事の品質

ってことになります。ということは、失敗する割合を減らせば、自ずとプロダクトの品質も向上していくということですよね。でも、人間は失敗する生き物です。正確には『不完全な生き物』です。ですから、失敗しない…と言うわけにはいきません。

けれども、その失敗を繰り返さないことはできますし、成功につなげることもできます。そうやって、徐々に失敗の頻度を下げていくことは可能なのです。そこで、重要になってくるのが、

 失敗の知識化

です。知識として次に継承できれば、徐々に失敗はただの失敗に終わらず、成功のためのカギとなり、失敗を繰り返さないための灯台となります。多くの人は、これを「記憶」で何とかしようとしますが、これまでにも言ってきたように、人の記憶力に頼っている時点で、「次も失敗を繰り返します」と言っているようなものだということを、早く気付いた方がいいでしょう。

自分や他人の失敗情報を伝えるには、まず第一人称で語られる失敗の「事象」から「経過」「原因」「対処」「総括」までを脈絡をつけて記述することが必要です。

失敗は、必ず「結果」という事象として現れます。起こるに至った脈絡、経緯は見えていません。しかし、失敗を生かして繰り返さないようにするには、必ず結果に至るまでの経緯・脈絡をプロセスと言う形で把握する必要があります。

これを『因果応報』と言います

脈絡(経緯)を知らないと、ほんとうに失敗を知ったことにはなりません。ですから、失敗を伝えるには、事象から総括までを正しい脈絡をつけて記述することが欠かせません。


さらに、この失敗情報を正確に伝えるには「知識化」「可視化」することが不可欠です。知識化とは、起こってしまった失敗を自分や他人が将来使える知識としてまとめることです。ただ起こったことを、記憶にとどめておくだけのものは知識化とは言いません。

まじめな企業、成功をおさめ、大きくなる企業というのは、昔からこの失敗情報のとりまとめに余念がありません(失敗に加え、成功情報をまとめている企業もあります)。このことは、私たちは体験として知っている人もいることでしょう。たとえば

 「障害票」などのバグ管理
 「インシデント報告書」などのマネジメントシステム管理
 「顛末書」などの事故報告
 「始末書」などの業務失態報告

等がこれにあたります。ところが、せっかくこうした失敗情報をデータベース化しても、なかなか再利用されないという話をよく聞きます。

原因は、失敗の原因と経過が書いてあるだけの単なる事例集になっていて、その失敗から得るべきもの、活かすべきものを整理する知識化がなされていないことにあるからです。それをどんな教訓とすべきかが、その情報を使う側のほしい形で提供していないから、まったく活かされていないのです。

本来、プロセスのあり方やプロセスの品質をこそ重視しなければならないITサービス産業では、これは致命的と言ってもいいかも知れません。

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知識化する場合、その目的を

 「再利用する」
 「再利用することによって、同じ失敗をしない」
 「再利用することによって、同じ成功をする」

としているのであれば、次のような情報が不可欠です。

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