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信頼と敬意を持たれるリーダーであり続けるために
だいたいの現場において、リーダーやマネージャーの"ムチャぶり"に対してメンバーたちがどのような反応を示すかで、そのリーダーやマネージャーの普段からのリーダーシップがわかります。
なぜならリーダーシップというのは「信頼と敬意」によって成り立つからです。いきなり知らない人がやってきて「今から俺がお前たちのリーダーだ!」と言われて、全幅の信頼を置こうという人がどれくらいいるでしょう。そして信頼もしていない人の言うことを聞くにしても、それは本当にパフォーマンスが最大値化されるでしょうか。
要するにリーダーシップとは
「ポジション(立場)」
「タイトル(肩書き)」
によって成り立つものではない、ということです。信頼や敬意を払う価値があるリーダーでなくては、誰もついてはいかないということです。そこには
人間性的なものも必要かもしれません。
能力的にも必要なのかもしれません。
時として支えてくれているという安心感だっているでしょう。
『信頼』とは、"信じられる相手に対して頼りたくなる気持ち“です。
『敬意』とは、"相手を尊敬する気持ち"です。
リーダーの普段からの"行動"や"言動"がそうした『信頼』や『敬意』に値するかどうかで決まってくるのです。そしてそれらは、日頃の実績から「信用」を積み上げ、その信用が未来に対する「信頼」を集めることによって、初めて『敬意』が生まれてきます。
実際には、この他に「好き嫌い」といった感情的な部分も相まってくるでしょうが、仮に感情レベルで"嫌い"であっても"行動"や"言動"が普段から『尊敬』に値するものであれば、やはりどこか信頼されるものです。
格好だけ、肩書きだけではメンバーの行動を鈍らせる
リーダーのなかには「尊敬されているかどうかなんて気にしない。いずれわかってくれる」と言いながら恰好をつける人がいます。
いずれわかってもらえるのなら、なぜ今わかってもらわないのでしょう?
それは、ただ単に「説明することが面倒だから」です。
もしくは「説明ができないか、反論が怖いか」です。
リーダーやマネージャといった"人の上に立って指揮する"者には、常に指揮するうえでなぜそのような指揮となるのかという疑問に対し「説明責任」があることを忘れてはなりません。
説明責任とは、言い換えればメンバーたちに対する『納得責任』です。
きちんと「説明責任」を果たしながら、その行動と言動によって『信頼』を集めていくと、メンバーは
「リーダーのすることなら」
「リーダーの言うことならば」
と、完全に理解しなくても、その時は意味がわからなくても「ひとまず行動」するようになります。「このリーダーの言う事には、何か必ず意味と目的がある」と信じ、『敬意』から行動するようになるからです。
なので、多少の"ムチャぶり"にも、笑って従うことが出来るわけです。
しかし、リーダーが信頼と敬意を集めていなかったら…
「このリーダーの言う事には裏がある… 信じられない」
「いっつも口先ばっかりで、何にもしてくれない」
といった気持ちが先に立って、即時行動やパフォーマンスに結びつきません。
「いくら言っても動いてくれない」
「いくら説明してもわかってくれない」
そうぼやいているリーダーは、そもそもメンバーから「信頼」と「敬意」を集められていないからなのです。
「理解したくない」と思われるリーダーにならないために
もしも、リーダーとなる人が
「言わなくてもわかるはすだ(というか、わかれ)」
「言わなくても指示に従えば良い」
「説明しても本当のことは理解できない」
などと考えてしまい、要するに自らの責任を果たさなくても、誰かがカバーしてくれるという甘えた根性となっている…ということに気付けなければ、そう遠くない未来に大きなしっぺ返しを食らうことになるかも知れません。
・業績が上がらない(効果が出ない)
・メンバーが離脱する
そうなった時にはすでに手遅れです。つまるところ"メンバーに敬意を払わず、信頼もしていない"状態というわけですから、メンバーたちからも敬意や信頼を得られるわけがありません。たがいに不信感を中心に輪を作っているわけですから。
そして一度そういう関係になってしまうと、いくら改善しようとしたところで、よほど懐の深いメンバーでもない限りはリーダーに対する評価が変わることはないでしょう。
だって、「人」の本質というものはそうそう簡単に変わるものではないことを多くの人が理解しているのですから。いくら目先の姿勢だけ改まったように見せても、「ちょっと甘い顔をすればまた元の木阿弥になるに決まってる」と考えられてしまうのです。
本来は、互いに気持ちよく仕事をしてもらわないと、高いパフォーマンスを出せるはずもないのに、最初からそのパフォーマンスを出させる気がないといってるようなものですからどうすることもできません。
「そんな人物をリーダーに据えるなんて…人事制度に問題がある!!」
とまで考えを発展されてしまったら、企業全体の、部門の、プロジェクトの離脱率、離職率に歯止めがかからなくなってしまいます。
そもそも「言わなくてもわかるはず」… というのは、信頼しているからではありません。面倒だからです。反論が怖いからです。
「指示にだけ従っていれば良い」というのは、立場や役職で仕事をしているからです。
「理解できない」は、頭からバカにしているからです。
そんなリーダーが果たして尊敬され、信頼されるでしょうか?
そんなリーダーが「ムチャぶり」をしたら、どう思われるでしょうか?
先述でも、リーダーには説明責任があるといいましたが、
「なぜそうするのか?」
「そうすると、どんな(良い)結果が待っているのか」
「そうしないと、どんな(悪い)結果が待っているのか」
こうした説明もしない(理解させる努力もしない)で、どうしたらメンバーに能動的に動いてもらえるのでしょうか。そうした説明もしない(納得させてもくれない)で、どうしたらメンバーはついていこうという気になれるのでしょうか。
最初から全てが分かっている相当優秀なメンバーならまだしも、そうでないメンバーはいつも「へぇー」「なるほど」と言って感心できる"理解"や、そのうえで行動することに意義を見出せる"納得"を欲しています。というかそこまで優秀なメンバーがいたら、そのメンバーこそがリーダーになるべきなのかもしれませんね。
図らずとも(あるいは図ったうえで)リーダーとなった人は、まずこの"理解"や"納得"をメンバーに提供し、『信頼』を得る責任と義務を今一度自覚しましょう。それも給料のうちです。
そしてメンバーの『信頼』には必ず応え(要するに有言実行し)、『信頼』を常に束ねられるようにして、最終的に「あの人の言うことだったら」と思ってもらえるようになりましょう。
即ち、
"理解"や"納得"を提供し『信頼』を得る
→ 他人を納得させられるだけのノウハウを構築する『信頼』に応え、束ねる
→ 言ったことを嘘にしない。仮に失敗しても次に活かす
これを繰り返せば、自ずと『敬意』は集まってくることになります。
ただし『説得』はダメです。
厳密には『説得だけ』ではダメです。
『説得』は相手を自分にとって都合のいいようにコントロールしようとする行為です。論理的であり、合理的であればあるほど効果を出しますが、相手も人間であるということを忘れてしまって理屈ばかり…しかもリーダー自身にとって都合のいい理屈ばかり押し付けても、反発を生み出すだけです。
よほど相手に問題がある場合であればまだしも、日頃から『説得』ばかり多用しようとするリーダーは決して信頼を得られません。『納得』と『説得』は似て非なるものです。
『納得』を得られるように働きかけたいのであれば、論理的・合理的な訴求にプラスして、
情緒的・感情的
な訴求という側面を加えることも忘れないようにしましょう。このことはよく童話の『北風と太陽』で例えられることが多いと思います。
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頭でわかっていても、心が納得しない…という状態のまま権力をかざして命令なんてしてしまったら、それこそ二度と取り返しのつかない溝を生み出すことになってしまいます。
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