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ビジネス中に居眠りしてしまう人へ

それ自体に罪は無いものの、社会的な側面と身体的側面から見た場合、少なくともおススメできない所作であることは確かです。

まず、社会的には労基法はともかく、会社法的な意味合いで3つの拘束と言うものが存在します。厳密には「忠実義務違反」と言いますが、これは経営者が従業員に対して与えた役割を忠実に遂行させる義務を怠ったと言うことになるのですが、問題はその『忠実に遂行する』内容によります。

 時間の拘束(就業時間の指定)
 場所の拘束(勤務場所の特定)
 行動の拘束(就業時間内、指定された勤務場所で取るべき行動の指示)

を遂行させなければ経営者として違反しているとみなされるわけです。

よって、経営者は就業規則や契約書などに事細かにルールを定め、それを遵守する旨、従業員には入社時に誓約書を提出させるのです。

これは忠実に職務を遂行させるための手続きで、提出する誓約書は

 誓約を遵守できない場合は、
 如何なる罰則も受け入れる

と言う契約書のようなものです。もちろん、罰則(懲戒規定)についてもたいていの場合は就業規則に記載されていて、一般的には

1. 戒告(厳重注意)
2. けん責(厳重注意に始末書を提出させる)
3. 減給
4. 出勤停止
5. 降格
6. 諭旨解雇(退職勧告)
7. 懲戒解雇

と言う段階を経て、内容もどんどんと重いものとなっていきます。

これは、頻繁に同じ違反を繰り返す場合「戒告→出勤停止→降格→懲戒解雇」といった具合に段階的に処分が出来るようにするためです。特に懲戒解雇の場合にはこの段階を踏むことが必要な場合もあります。

当然「何をしたら違反となるか?」「何をしなかったら違反となるか?」についても大抵の場合は規則や規程に記載されています。書かれていない「常識」や「マナー」については、懲戒とはしないまでも上司の裁量の範囲内で評価を落とす等が行われるわけです。


さて「では居眠りは?」と言うと、基本的には就業規則上の「業務」には相当しません。ゆえに従来であれば休憩と言う扱いになります。

しかし、普段就業している従業員であれば自身の判断で役割や責任を果たせる範囲内で休憩時間を自由に取得することが可能ですが、たとえば新人研修のように『教育を受けている』状態の場合は『会議』と同じく、他の人の都合もあるため自由に取得することはできません。

そのため、いびきや態度による不快感などによって周囲に迷惑をかけてしまう可能性があることから居眠り自体がタブーとされているのです。

どうしても耐えられない時は

 「すいません、少々休憩をとっていただいてもよろしいでしょうか?」

等と言って、5分なり10分なりリフレッシュできる条件を整えましょう。休憩時間が取得できれば、その間は仮眠をとる等使い方は自由になります。

これは、普段の就業中でも同じです。

周囲に断っておかないとただの居眠りと思われ、それによって不快感を与えた場合は言いがかりで評価を落とされたり、合理性のかけらもない感情によってチームワークにヒビが入ってしまうことも珍しくないからです。


また、みなさん自身の身体的にも居眠りはあまりおススメできません。

居眠りは横になっている状態ではなく、座っている状態などで行われます。

本人的には多少でも眠るのと違うように感じるかもしれませんが、居眠りは逆に疲れを増加させます。睡眠の質が低いのです。

また、中途半端に睡眠欲だけ見たし、疲れだけ増幅させ続けると、

 睡眠障害

を誘発してしまい、誤ってうつ病などと診断されてしまってその後の人生を大きく崩すことにもなりかねません。睡眠は1日合計で何時間取ればいい…というものではないのです。

身体にはサーカディアンリズムと呼ばれる周期があり、血圧であれホルモンであれ自律神経であれ24時間(よりちょい長め)周期のメカニズムで動いています。

たとえば1日に3回ずつ睡眠を取るというのは、体にとっては

 (24時間÷3=)8時間

の周期で生活することになります。1回の睡眠が3時間で合計9時間を確保したとしても体の周期とまったく合わない生活が体にいいわけがありません。

これは通勤時に座って寝てしまうケースでも同じことが言えます。

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大切なのは、最初に深い徐波(じょは)睡眠が出て後半は浅くなっていく、メジャースリープ(まとまった睡眠)全体の構造を崩さないことです。短時間睡眠でも“深い眠り”は取れますが、問題は“浅い眠り”が取れないことです。脳や体の疲れを取るには「徐波睡眠」という深い睡眠だけではなく、睡眠の後半になって出てくる「浅(せん)睡眠」も必要なのです。

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徐波睡眠は眠ってから3時間以内に出る状態であとは時間とともに眠りが浅くなっていきます。3~4時間しか眠らない寝不足の人でも、実は前半部分の徐波睡眠だけはしっかり取れています。しかしそれでは不十分だからこそ寝不足と呼ばれるのです。

また、睡眠は脳だけでなく、筋肉や内臓にも必要です。

こちらはある程度眠らないと休めないため、浅い眠りを含めたまとまった睡眠時間が欠かせません。年齢によって必要な睡眠時間は異なりますが、おおむね6~7時間夜にしっかり眠ることで血圧が下がり、糖代謝なども改善します。

実際、睡眠時間を削ると、わずか1日でも筋肉や肝臓が血液中のブドウ糖を取り込むのに必要なインスリンの働きが弱まることが知られています。

さらに疫学的にも、短時間睡眠を長く続けると糖尿病や高血圧といった生活習慣病にかかりやすくなることが分かっています。

このように、中途半端な居眠りは社会的にも、身体的にもいいことは殆どありません。体調管理は自己管理(セルフマネジメント)の基本中の基本です。その習慣自体の克服も社会人の務めの1つとして意識しましょう。

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