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まずはやってみる、やってみなきゃわからない

行動を促すためにこうしたセリフを用いられることがありますが、あらかじめお伝えしておきます。

 何でもかんでもやりゃーいいってもんじゃない

ってことを。

ハイ。

無計画で準備もなくいきなり大きなことを始めようとしても、たいていのことは失敗します。成功するほうが稀です。

かといって未経験の領域について計画や準備をしっかりしても、そもそも未知の領域であれば計画通りに進められる可能性は限りなく低いでしょう。

 「じゃあ、どうすりゃいいの!?」

という声が聞こえてきそうですが、そこで重要となってくるのがタイトルにある「まずはやってみる、やってみなきゃわからない」という言葉とそのとらえ方です。このセリフは確かに間違いではありません。しかし、その言葉を盲目的に信じたところで決してうまくはいきません。

私が新入社員だったころ、ある先輩社員から

 「うちの会社は『走りながら考える』んだ」

と教えられたのを覚えています。会社によっては「考えてから走り始める」とか「石橋を叩いて渡る」などもあって社風や企業文化はそれぞれあることでしょう。

すぐに行動する人は「まずはやってみる」ことに価値を見いだしています。

厳密には「やるかやらないか」「やれるかやれないか」で立ち止まることが無価値であると理解しています。平本式(旧 株式会社チームフロー)代表取締役の平本あきお氏は、

 「3割のデキでいいから、5倍のスピードで行動しよう」

とおっしゃっていました。

これは、昔からコンサルティング業界などで言われる

 Quick and Dirty

 Small start, Quick win

を加えた発想とまったく同じです。

大企業が社員に向かって「3割のデキでいい」と言ったり、お客さまに向かって「うちの商品は、3割くらいの品質です」と言ったりはできないでしょうが、個人の行動指針としてはとても有効な取り組み方です。

「まずはやってみる」というのは大きなビジネスを分解し、細分化されたタスクに対する小さな一歩ですが、大きな仕事や物事を"必要最低限"で良いと思っている人には絶対にできないやり方です。

細分化せずに大きな行動をはじめようとすると、たいていの人はどうしても臆病になってしまうでしょう。

たとえば大工が「高層ビルを作って」とだけ言われても、多くの人が動けないでしょう。でも、「まず柱1本立てて」「柱を立てたいから穴を掘って」と言われたらどうでしょう。やりたいかどうかはともかく、いきなり「高層ビルを作れ」とだけ言われるよりもはるかに「まずはやってみようかな」と思えるのではないでしょうか。

 「まずはやってみる」

というのは無計画に思考停止していきなり動き出すというのではなく、正確には

 「いきなり動き出してもいいレベルに細分化したタスクに取り掛かる」

ということです。だから成功確率は上がるし、失敗しても被害も小さいうちで済むし、すぐに修正が利きます。そしてそうであることが心の負担(不安や心配)を和らげてくれます。このちょっとした「細分化」が心理的安全性を非常に高めてくれるのです。

この手間を惜しんでいきなり大きなことを始めようとしても、失敗への不安が先に立ってしまっていつまで経っても行動できない人の方が多いことでしょう。

しかし、仮に39度の熱を出してしまってもできちゃうようなごくごく小さな一歩であれば、やらないよりもやってみた方が気づきも学びもあります。やってみて「違う」ということがわかれば、その時点でやり直しも撤退も早くできます。できるだけ小さな単位まで行動を細分化して「まずはやってみる」のです。

たとえば「簿記や外国語を勉強してみようか」というのであれば、いきなり勉強し始めるのではなく、簡単な入門書を読んでみるとか、ネットで調べてみるとか、Youtubeを調べてみるとか、すぐにでもできることをやってみるといいでしょう。

「まずはやってみる」ときに大事なのは、自分の直感です。

「興味がある」「ワクワクする」「できそうかも」といった感覚に従って素直に行動してみてください。その感覚に従う前提は「譲れない価値観」や「心躍る未来像」が明確になっていることです。「譲れない価値観」や「心躍る未来像」がイメージとして明確になっていれば自分の感覚を信じることができます。未来像や価値観に反するようなことには、心が動かされずワクワクすることもないからです。

直感に従って、まずはやってみましょう。
直感にもとづく小さな一歩が人生を大きく動かしてくれるはずです。

また、「まずはやってみる」というのはマネジメントにおける『実行(Do)』の理想にも合致します。

『計画(Plan)』というのは、どんなに優れたマネージャーが立てたとしても、所詮は

 "絵に描いた餅"

でしかありません。その絵が精巧か粗悪かの違いでしかありません。本物ではないので必ず修正を求められる時が来ます。そもそも人という存在が未来予知をできない者である以上、私たちが立てられる計画に本当の意味での信憑性や信頼性というものはありません。

ですから、その計画が実現可能であるかどうかを測るためにも「まずはやってみる」ことで計画と実績との細やかなギャップを知ることで、随時計画に修正を加えていくことも、計画を放棄して撤退することも可能としていくのです。

マネジメントとは、こうして

  1. 予測する/計画する(Plan) ※タスクの細分化

  2. まずはやってみる(Do)

  3. 細かい単位で評価する(Check)

  4. (計画または行動を)修正し、計画実現性を高める(Action)

を繰り返すことでのみ、確度の高い成功へと導くことが可能となります。実際、プロジェクトマネジメントにおける計画でも、経営における年間計画でも全く同じ手順で進めますよね。

プロジェクトマネジメントのサイクル
企業経営のサイクル

そのため、最初だけ勢いがあっても、結局その後は関心がどんどん弱まって細かい単位での評価を行わなくなってしまうようでは大したマネジメントはできません。

世の中の管理職やプロジェクトマネージャーの大半が自分の力量にあわせたテーラリングを行わず、言われたとおりにだけやっていればいいと誤解してしまうために、こうした落とし穴にはまりやすくなります。

これからマネジメントを目指す人は、自分がそうなることのないよう注意した方がいいでしょう。

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