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仕事が遅い人の特徴

仕事というのは、実は勉強と重なる部分が多いものです。

学生時代の勉強から解放されたと勘違いしている人は、大抵優れたビジネスマンにはなれていません。仕事と勉強の共通点が理解できていないために、今までの勉強の仕方とは異なる自由な「自分流」の働き方ができると思っているからです。

仕事と勉強の共通点には次のようなものがあります。

 ・「やったほうがいいこと」は無尽蔵にある
 ・限られた時間で「やらなければならないこと」に集中する必要がある

仕事も勉強も『取捨選択』『順序と優先度の設定』が最も重要です。

勉強が苦手な人、仕事が遅い人、というのはともにこの取捨選択が極めて下手です。するべきことは決まっているのに悩んで手が止まり、なかなか仕事が進まない人もいると思います。

自らが上司であれば、

 「何をそんなに考えているの?」
 「なんでこの順番で仕事をやったの?」

と部下に思ったことは1度や2度ではないでしょう。

特に学生時代、勉強が嫌いで嫌いで仕方がなくずっと勉強から逃げ続けていた人や、勉強の仕方に大きな偏りがあって科目別の点数に著しい差が出ていた人は要注意です。

裏を返せば、仕事が遅い人と勉強ができない人はともに次のことができていないということです。

Quick and Dirtyで走れ

私は新人教育などでたまに説明しますが、これはコンサルティングの業界では「一般常識」です。これができない社員は2年以内にコンサル業界を離れるとまで言われているものです。

逆に言えばそれ以外の業界では常識とすら認識されていません。
私は、日本の生産性や効率性が低い要因の一端ではないかと考えています。

勉強ではテストの期日は決まっていますので、それまでに自分の学力を仕上げなければなりませんよね。好きなだけ時間を与えてくれるようなことは絶対にありません。

「時間制約がある」というのは仕事においても同様です。
『期日までにしっかりと仕事を仕上げきる』ことは必要最低限の条件です。

これはマナーや常識という慣習的な問題ではなく、雇用契約においても受注契約においても義務を果たす意味で必須です。

お客さま向けのプレゼンテーションであれば、社内意思を統一して資料を整え、案件の受注などを獲得するのが目的となるでしょう。それにもかかわらずプレゼンの日の直前になって、ファーストドラフトを上げてくる人がいます。

これは言語道断で、その後に上司の指摘が入り大幅修正になるかもしれないのに直前に資料が上がってきたのでは、よい資料をつくることなんて到底できるわけがありません。

その後にかかる修正日数を考えれば、確実に期日に間に合わないでしょう。

 『間に合わなくなるように作ってる』

としか思えません。

少なくともプロ(Professional)と自認するなら、期日が守れなくなるような仕事の仕方は決して選がないのではないでしょうか。

プレゼンの日が決まっているのであれば、少なくとも1週間前など早い段階でドラフトを上げることを心得ることが必要です。その後のプロセスとして上司のチェック、ほかのメンバーのチェック、最終の誤字脱字チェックといった業務が必要になるので、ファーストドラフトはもっと早く、完璧でないもの(Quick and Dirtyなもの)をつくるのが正解です。

計画を直線で考えるのはマネジメントのシロウト

たとえば、上記のようなスケジュールを考える人は、計画性の無い人…つまりマネジメントの素人であることがわかります。

仮に3日かかる仕事だとして、きれいに進捗が3等分になるような仕事の進め方は、狙ってできるものではありません。生産的なものではなく、機械的な作業(事務作業、肉体労働等)であれば可能かもしれません。

しかし、設計、レビュー、製造などがこのような直線で進められることは十中八九存在しません。

計画性を重要視できていないのはアマチュアのすること

殆どのビジネスマンはこのような進め方になります。

前半の余裕のある時は検討や考え事、整理をしていると言って、進捗が極端に遅くなります。新人や若手であれば、知らないことが多すぎて悩み、手が止まっていたりすることもあり、慣れてくるまでパフォーマンスが上がらないといった事例が数多く見受けられます。

しかし、「それが一般的だから」「普段そうしてきたから」だからこのままのスケジュールでいいのでしょうか。もし、この計画にたった1つの綻びでも発生してしまうとどうでしょう。

リスクが顕在化した場合

期日を優先すれば、成果は期待値に遠く及びません。
成果を優先すれば、確実にスケジュールは遅延することになります。

そうと分かっていても、それでも仕事の進め方を変えないためビジネスパーソンとしては二流(アマチュア)と呼ばれます。

お客さまや周囲のステークホルダーに迷惑をかけないための『計画』そのものの重要性が理解できていないため、引き起こされるリスクを意識できず、早期に無駄を改善できない事態を引き起こすことになります。

そうすると

残業や休日出勤の過多、
その結果として利益低下や顧客満足度の低下

従業員の疲弊や従業員満足度の低下を招く

人材の流出、外注離れを起こす

ということにもなりかねません。というか、マネジメントを軽く見ているような計画性ではほぼ確実に起きているのではないでしょうか。

では、プロフェッショナルはどのように仕事をするのでしょうか。

それは、

スケジュールマネジメントのプロフェッショナル

とにかく早く、完璧でなくてもいいから(Quick and Dirty)なものをいかに早期に見てもらえるかという考え方で仕事を進めます。

コンサルティング業界でこれらが必須化されるのは、

 『お客さまの時間を奪う』

行為がご法度だと一人ひとりが強く認識しているためです。「自分が」ではなく「相手が」と言う目線で常に行動するプロだからです。

ですから、コンサルティング業界では清書しなくても、手書きでもまず相手にご理解いただき、会話が進んで次の段階にシフトしてもいい状態へ持っていきます。

説明資料を清書することは大事なことではありますが、「仕事を先に進める」ための必須ではありません。本質を正しく理解しているのです。

 「正式な資料は後日お送りします」
 「その際、改めてご確認ください」

と言いながら相互に要件が進められる状態であれば、目の前の成果物の出来は60点でも70点でもどんどん進めようとするのはそのためです。

一方で、勉強においてもまずは「とにかく早く1周する」ことが非常に重要です。「予習」「復習」が大事とよく言われますが、これも勉強の範囲を何周させるかに大きくかかわってきます。

歴史の勉強をするのであれば古代から近現代までひととおり学習を素早く終えてしまうべきでしょう。一つひとつの事柄を完璧に記憶できるようになるまで先に進まないようでは、いつ終わるのかも検討がつきません。

期日までにすべての範囲まで学習できる保証が無くなってしまいます。古代の埴輪(はにわ)の名称を細かく覚えている暇があるのであれば、流し読みでいいのでテキストを早く1周してしまうことが肝心です。

仕事も勉強も、最終的には完璧に近づける努力をしていくのですが、最初から完璧にしようとすると失敗します。悩んで手が止まっている新人や若手社員は経験則が不足しているがゆえに、

 「怒られないようにするため」
 「失敗しないようにするため」

の及第点がわからないために自分に高いハードルを設けてしまいます。

ですが、それはあるべき仕事のスタンスではありません。

新人や若手は『失敗すること』も仕事の1つです。もちろん失敗は多くない方が望ましいのですが、そのために期日や期限を無視して良いなんてことは絶対にありません。

むしろ期日を無視、軽視されるくらいなら、どんどん失敗してくれた方が
どんどん指摘して是正できるわけですから、先輩社員にとってはありがたいくらいです。

このことが前提として理解できていれば、行動を起こすために必要な最短ルートは

  1. 「知っている」ことと「知っていない」ことを整理する

  2. 「知っていない」ことを知る努力をする(聞く、調べる等)

  3. 知ったらどう決めるか基準を作っておく

  4. 状況、状態を確認しながら、一つひとつ決めていく

  5. 決めた内容ごとに行動する

の順で進めるだけです。
それ以外には何も必要ありません。

たとえば、ある「設計書の作成」を頼まれたとしましょう。

でも、今まで一度も利用したことの無いフォーマットで何をどこに記述して良いのかわかりません。

そんな時、私でしたら

「なんか、過去のサンプルで、『これが正解』的なもの1つ貰ってもいいですか?」「まず、それを元に自分なりに1ページだけ作ってみるので、見てもらっていいですか?」「とりあえず、わかるところだけ埋めていきます。わからないところは量によっては都度聞くかもしれません。基本的には、見てもらった時にまとめて修正しますね。」「1ページできれば、あとは同じように進めていきますんで、期日の数日前にもう一度ざっと見てもらえるようにしますね。あ、今のうちから予約入れといてもいいですか?」

といいます。
完璧でないものをなるべく早く仕上げる、という意識を持つだけで仕事のスピードはぐっと早まりますし、勉強もはかどるものです。


期日は自分で区切れ

仕事でも勉強でも、初めから決まっている納期はあります。
会議・プレゼンの日程や試験本番の日です。

これらはたいていの場合、本当にスケジュールの最終防衛ラインです。

 「絶対にこれ以上、遅らせることはできない」

とされている期日です。これだけしか考えずに仕事あるいは勉強をしていると、まず間違いなく失敗します。

ソフトウェア開発プロジェクトで言えば、

 納期しか設定されておらず、
 それ以外のスケジュールが一切存在しない

状態だと思ってください。

たとえば

 「来年3月31日に納品だから、じゃあ各自それぞれ言い渡された機能、
  納品日までに仕上げてきてね。あとよろしくー」

とだけ言われているようなものです。問題は「それ以外の日程」…つまりはマイルストーンを自分で設定でき人が非常に少ないのです。

先ほどの例で言えば、資料作成の場合、ファーストドラフトを早く出すことを心がけるだけでなくそれを外部に表明しましょう。

私は、仕事の依頼を受けたら必ずその場で、何をいつまでに仕上げ、提出するか、必ず言います。

 依頼者「来週までにできるかなぁ?」
 私  「わかりました。とりあえず今日中に叩き台作るので、
     今週木曜くらいまでに見ておいてもらっていいですか?」

 依頼者「え、そこまで急いでないよ?」
 私  「いえ、こういうことは頭の中で新鮮なうちに
     さっさと済ませておかないとパフォーマンスが落ちるので」

と言うのがほぼ毎度交わされる会話です。

上司や依頼者が常に明確に期限を指定してくれるというのは稀です。

仮に期限を切ってくれても、それが必ずしも自分の能力を考慮に入れた最適なものとは限りません。上司のほうが多くの案件を抱え忙しいため細かく納期管理をしている余裕はありませんし、他人のことをそこまで深く把握するのも難しいからです。

たとえば、「あのA社向けの資料、作っておいて」といったざっくりした指示が来ることはままあります。この場合、仕事が遅い人の返事は

 「承知しました」

だけです。
しかし、仕事が早い人の場合には、

「承知しました。
 ◯日までにファーストドラフトをご覧いただけるようにします」

と自ら期限を区切ります。

こうすることで自分にプレッシャーをかける意味はもちろん、上司にも仕事に予測可能性を持つことができ、安心してファーストドラフトを待つことができます。

また、万が一ファーストドラフトを出してくるのが上司のイメージより遅すぎる場合には、即座にその点について指摘することも可能であり、理解に齟齬が生じないのです。

勉強もまったく同じです。

試験日に向けて漠然と勉強している人のほとんどは、

 「もう試験まで1カ月しかない。やばい」

となって、直前になってようやく事態の深刻さに気づくことになります。
逆に、勉強スケジュールを細かく立てて、試験日から逆算して

 「◯月までにこれとこれを、その1カ月前の◯月までにあれとあれを…」

としっかりと考えられている人は適切に勉強をこなしていくことができます。勉強計画のズレが生じても素早く気づくことができるので、計画を修正することも容易になります。

納期を自分で区切ることはプレッシャーが強くかかるので嫌がる人が多いですが、これをやるだけで格段に仕事は早くなるし、勉強も進んでいくのです。


とにかくアウトプットせよ

仕事も勉強も、インプットよりもアウトプットの方が圧倒的に重要です。

私たちIT業界の仕事であれば、成果物としては「ドキュメント」や「ソースコード」、「エビデンス」といったものになるでしょう。

こうした成果物を作るのに最も早い方法は、

「とにかく早く正しい方法で成果物を作り始める」

ことです。仕事が遅い人というのは、いつまでもいつまでもインプットをしています。永遠に資料を探していたり、あーでもないこーでもないと頭の中で考えていたりします。

ですが、何らかのアウトプットが求められている以上は、アウトプットをまず先にやってしまうのが重要です。

 1割しかわからなければ、1割だけアウトプットします。

そうするとパズルのピースを探すように、その1割から関連する別の情報が入手しやすくなったり、新しいことに気付くようになったり、次にできそうなものが見えてくるようになったりします。

とくに、資料であれば目次をつくることで仕事は半分終わったも同然です。
目次を作るだけで頭が整理されますし、調べるべき事項、埋めるべき情報が判明するからです。

アウトプットすることで実は脳内が整理されるということを知らない人が多いので、ぜひ「目次を最初に作る」ということを実践してみてください。逆にこの時点でまだ整理できていない場合は、そもそものインプットが足りていないということになります。

私がこれまでかかわってきた多くのエンジニアはあまり設計に重きを置いていない人が多かったような気がしますが、たとえば詳細設計が終わると製造の殆どが終わったも同然だったりします。詳細設計書の一文一文はそのままソースコード上のコメントとしてコピペしてしまえばいいのです。そうすればあとは設計文1行ごとにプログラム言語に翻訳するだけです。これだけで単体テストレベルのバグはほぼ100%作りこまなくなっているはずです。設計書との齟齬や抜け漏れが100%解消するからです。

また勉強の場合、資料やグラフの成果物はありませんが、選択式の問題を「解く」、文章を「書く」ことがアウトプットになります。

ここでもテキストを読んだり講義を聞いたりするインプットではなく、アウトプットを主体に学習することで、結果的に知識は早く頭の中に入っていきます。

アウトプットして、早々に答え合わせをすると、自分の理解の度合いを把握できたり、誤っている部分を修正することが可能になるからです。頭の中だけであーでもない、こーでもないと考えているだけでは、絶対に『事実』を発見することはできません。

仕事が遅い人、勉強ができない人は

「インプットしてからでないとアウトプットできない(してはいけない)」

と思っているかもしれませんが、これは大いなる間違いです。

アウトプットすることでインプットする範囲もわかるし、インプットで不足しているところも明確になりより早くインプットすることもできるのです。

これは、知識だけ収集しても経験による実績が伴わなければ、実力として身につかないのとまったく同じ理屈です。口先(知識)だけでなく自らアウトプット(経験)できる人は、だからこそプロフェッショナルと言えるのです。

アウトプットができない人は、所詮「意識高い系(笑)」の域を出ることはありません。

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