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品質の管理とは

モノづくりの品質には、厳密には

 「プロセスの質」「成果物の質」

があります。
仕事の品質ではさらに

 「マネジメントの質」

が関わってくるでしょうか。

成果物の質が担保されなければ、成果物そのものに価値はありません。
そのため日本では特に成果物品質を偏重する傾向がありますが、欧米ではその逆で、

「成果物が正しくできあがるはずの
 正しいプロセスを理解し、実施していなければ、
 常に安定した品質の成果物なんてできるわけないじゃないか」

と言う観点から、プロセス品質を重要視しています。

そのため欧米では「出荷検査」のような水際で問題を止めようとする文化があまりありません。自分たちのプロセスに自信を持てるような取り組みをしているため、出荷前に疑う必要が無いためです(日本の質の高さを評価し、取り入れている企業もあるにはありますけど)。

このような水際で問題を堰き止めようとする日本の文化から生まれたのが「品質保証」です。

逆に欧米などのようにプロセスを構築し、品質を評価し、その結果をまたプロセスに活かして、より良い品質を作り上げようという活動を「品質管理」と言います。「品質マネジメント」と呼ばれることもあります。

「品質保証」と「品質管理」は別物ですが、日本では大抵同じ部署が取りまとめることが多いとされています。

品質管理は、英語では「Quality Management」ではなく

 「Quality Control」

と表記され、この頭文字をとって"QC"と略して呼ばれています。

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品質管理とは、お客さま(買い手)の要求を満たす品質の製品あるいはサービスを経済的に作り出すための管理技法です。

品質管理の最も大きな目的は、

 製品やサービスの品質を"一定以上の水準に確保して"顧客に提供する

ことです。これを常に一定以上の品質にすることが品質管理の一番の目的です。もし一品物で2度と同じプロセスを使うことが無いのであれば、品質管理はいりません。その中でも「品質保証」は幅広い品質管理活動の中でも中核をなす活動となります。

品質管理のもう1つの重要な目的として『改善』があります。

改善には、製品やサービスの品質に関する改善(品質改善)と業務の改善があります。企業では利潤を確保するため、あらゆる業務で効率的かつ効果的に仕事を進めることが要求されます。

昨今、話題になっている「働き方改革」も主旨はそこにあります。

そのためには、業務の中で発生するいろいろな問題を解決し、より有効な新しい方法を常に探索する必要があります。これが"業務の改善"です。

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改善活動は「問題解決活動」とも呼ばれています。そして問題の有無や解決状況などを管理する活動を「問題解決管理」と呼ばれています。

改善活動は、やみくもに進めても効率があがりません。

品質管理の分野では、改善活動のための進め方と技法が色々提唱されています。それらの技法を適切に活用しながら改善活動を進めていく必要があります。

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QC的考え方は以下の3つに大別できます。

品質に対する考え方

さまざまな経営要素の中でも品質を最優先に考える「品質第一主義」、顧客が真に欲しているものを採し出して提供し、顧客の満足を優先して考える「消費者指向」、自分の作り出した結果の受け手はお客さまであるととらえて、良い結果を後工程に引き渡そうと考える「後工程はお客さま」などがあります。

・品質第一主義   … 品質を最優先に考える
・消費者志向    … お客さまの要求を満たすことを最優先に考える
・後工程はお客さま … 自分の工程の問題を次工程に渡さない


管理に対する考え方

管理活動の基本的な進め方を示す「PDCAのサイクル」、事実とデータに基づく判断を重視する「事実による管理」、良い結果を得るためには、良いプロセスが必要であると考え、プロセスを管理の対象とする「プロセス管理」、顧客の要求する製品を提供するには、製品の企画や設計段階における品質管理が大切であると考える「源流管理」などがあります。

・PDCAのサイクル … 仕事と管理の進め方
・事実による管理   … 事実に基づいて判断する
・プロセス管理    … 良い結果は、良い方法、良いプロセスから
・源流管理      … 作った後の管理よりも、作る前の管理が重要


改善に対する考え方

解決すれば効果の大きい問題、重要な原因に的を絞って改善を進める「重点指向」、異質なものを分けて、管理や分析をするときに使われる「層別」
データの変動に着眼して、分析を進める「ばらつきの探求」などがあります。

同じように製造しているつもりでも、良い製品と悪い製品があるのは、どこかにばらつきがあるからです。ばらつきが特定できない、ばらつく理由が判明しない、と言うのは多くの場合が、作り手が属人的で、プロセスと言う考え方を一切持っていないことに起因します。

・重点志向    … 重要な問題から手をつける
・層別      … 異質な問題や原因を分ける
・ばらつきの探求 … 結果のばらつきに注目し、原因を特定する

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