成長する人の目線、成長しない人の目線
「今日中に決裁が必要なのに上司が直帰してしまった!どうしよう…」
このような事態に慌てている人、愚痴を言っている人を見たことがあるかもしれません。
なぜこのような事態になるのか?
その原因はたった一つ。
「相手の立場で物事を考えていないから」
です。仕事がデキる人は上司・部下・同僚・顧客など、自分自身以外のたくさんの目線を持っています。
たとえばこの場合、上司のスケジュールを把握しておくことで事前に決裁をもらっておくことが必要だったでしょう。「直帰します」と急な連絡があった場合には対応が難しいかもしれませんが、その場合でも何とかフォローする手立てを持って上司に相談することになったでしょう。
いずれにしても、相手の立場に立って物事を考える、行動ができることが、「仕事がデキる」特徴の1つなのかもしれません。
ここで少し本筋とは外れてしまいますが、わかりやすい事例を1つ紹介します。
「A部長はクライアントB社と、接待で飲んだり、ゴルフに行く」
この“事実”に対して、あなたがA部長の部下だった場合、どう捉えるでしょう。
私が新入社員だった頃は、
「自分は業務に追われて残業だらけなのに、
その間A部長は会社の金で飲んで、休みの日はゴルフ。うらやましい。」
と内心思っていました。
しかし、自分が上司になり、同じ“事実”が起こったとき、
「残業せずに接待!いつも楽しいな~!」
とは、ちっとも思いませんでした。
「接待続きで夜も遅いし、日曜はゴルフ。
接待相手の話を聞き続け、機嫌をとって酒を作り、酔うこともできない。
ゴルフといっても適当に負けなきゃならないし、家族との時間をもっと作りたい。
残業していた方が10倍楽だった…」
と感じたのでした。ここでご理解いただきたいのは、立場の違いによって感じ方、考え方は全く異なるということです。他にも、目線が異なることでこんな捉え方のズレが生じているのではないでしょうか。
あくまで一例ですが、このように「立ち位置」が変われば事実に対する捉え方も変わってきます。昇進前の部下のときから、
「上司はこんなに大きな決断や責任を求められているんだ」
「だから僕らに細かく詰めているんだな」
など上司の目線を持っていれば、もっとスムーズに仕事ができていたかもしれません。
逆に上司は、自分が部下だった時期もあったわけですから仕事1つ任せるにしても、
「それがどれだけ大変なのか」
「他に何を抱えているのか」
「課題や問題は無いのか」
「自分が部下の立場だった頃、こういう時何を望んでいたか」
といったことに思いを馳せていれば、故障者を出したり、退職者を出したり、あるいは精神疾患になることもなかったかもしれません。
とは言え、たいていの人にとって自分自身の現状以外の立場で物事を考えることは難しい。ではどうすればいいか?
私の考える解決方法は、
普段から1つ上の役職(係長なら課長、課長なら部長など)に
なったつもりで日々の仕事をこなすこと
です。
「A課長なら、こんなときどう解決するかな?」
「B部長なら、部下の自分にどう伝えるかな?」
と、常に想像しながら仕事をしてみてください。
1つ上の視点から“事実”を捉えれば、今とは違った見え方ができるはず
です。
こうして上司や部下の対応を予測、自問自答し続けることで問題点や不足を発見しやすくなり、自分に何が足りないかが自ずと見えてきます。
たとえば、あなたが営業担当者なら、営業課長のつもりで働いてみる。
「今まで営業担当者として、自分に与えられた目標数値だけを追っていたけど、
営業課長は、目標数値を追うだけでは許されないんだな。
Cさんは目標を達成したのにDさんが出来ていないので、
チームとしての底上げを考えなければならない。」
「そもそも目標数値はどうやって設定されたのか?
課長は予算管理をするときに簿記の知識を使っているな。
今の自分は簿記の知識はゼロ。
昇進したときのことを考えて今月から簿記の勉強をはじめよう。」
「営業課長は会議で発表しなくてはならない。
プレゼン能力を磨くために「話し方教室」に行ってみよう。」
考えてみてください。
担当が担当レベルの仕事を100%こなせたとしても、それは担当レベルのスキルが100%なわけであって、主任や係長レベルのスキルや意識には1歩も達していません。
それでどうやって主任に昇進が可能なのでしょうか。
けして主任の実力が発揮できるわけではありませんし、近しい役割を与えてみないとその可能性の有無もわかりません。昇進は基本的に「その任につけても大丈夫」と思われなければなりません。
昇進したいのであれば、1つ上の視点や意識が身についていなければならないのです。
昇進してからでないと成長しない部分もあるため100%の能力を身につける必要はありませんが、最低限その役割になってもある程度はこなせなくてはなりません。
しかし、成長しない人は、現在の自分という視座だけをベースに仕事をします。
なかには昇進・昇格しても、以前のままの視座から変わらない人もいます。
同僚同士で上司の悪口、不満をいうだけで、自らがコントロールするという責務を負っていることすら認識できず、仕事に対する意識も低くなりがちです。
成長する人は「上司ならどう対応するだろうか」と自問自答しながら考え、改善しようとします。上司になっても「私に聞く前に、この資料を見せたら上司は何と言うだろう、と考えてみたか?」と問い続けるのです。
1つ上の目線を持たせ続けることが、チーム全体の視座を高めることにもつながります。
そして、普段からそう考えられる人は少なくとも自分の裁量で解決できるものは大抵解決しているはずです。解決できないとしたら、部下以外の"他人"に働きかけなければならないケースの時だけでしょう。
強く言えば反発され、弱く言えば相手にされない
権限が行使できない相手に対して働きかける際にはよくあることです。
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