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飲食店の経営者として大切なこと

宇宙一外食産業が好きな須田です。

前回の続きのコンセプトについての記事です。

あなたは普段コンセプトを創り込むときに、どのような手順で行っていらっしゃいますか。

パソコンを開いて、企画書を書き始めますでしょうか。

それはとても優秀な方なのか、基本的なフォーマットがあってそれに沿って企画プランを練っていけば完成するようなものが出来上がっているのか、何れにせよ、いきなりパソコンで作り上げることは、凄いことだと思います。


私の推奨するやり方は、考える時間と作業の時間を分けることを推奨しています。


これは、パソコンの仕様に慣れているいないに関わらず、パソコンを使用しながら作業を進めると、制限なく自由な発想で企画を考える際に、どうしてもキーを打つ作業が脳の考える力を奪ってしまい、パフォーマンスが下がってしまう場合があるので、最初は手書きで企画内容を纏めていくことを推奨しています。


以前弊社にも20代30代の若いスタッフが10名ほど居た時代がありました。

彼ら彼女らは、設計・デザインを行うときに、パソコンで作業を行っていました。

パソコンを操作しながら同時に設計・デザインのプランを練っていましたが、何が発生したのかと言いますと、作業効率の低下を招いてしまいました。

パソコンの操作をしながら、限られた画面を見ながらの作業は脳のパフォーマンスを下げてしまい、出来上がった図面を確認すると、プランとして完成度が低い場合が多く、ミスも頻発しておりました。

そこで、半強制的に考える時間を持つように指導したところ、パフォーマンスは向上して作業時間も圧倒的に短縮することが出来ました。

当初はスタッフ全員が反対をしました。


彼らは、考えながら書き進めていった方が効率は良い、考える時間を取ることの方が時間をロスすると主張しましたが、結果は真逆でした。


ですが結果は、じっくりと考える時間を取り、設計とデザインの下書きを手書きで完成させてから、パソコンの作業をすること方が、作業時間は短縮され設計内容もデザイン的な完成度も格段に向上しました。

考えるべき時は考えることに集中し、作業をするべき時は纏まった考えを表現することだけに集中できたので、結果的に効率の良い作業となりました。

特に手と脳は繋がっているので、コンセプトを考えながら手書きで文字と絵を書くと、どんどん脳は活性化していき、発想がますます湧いてくるようになります。

ですから、先ずは考える時間を取り、コンセプトにシッカリと向き合い、手書きで企画書にまとめてからパワーポイントなどで企画書として完成させて行くことを推奨します。

騙されたと思って今度なさってみてください。

私はもう何年もこの方法で企画書を作成していますが、考える時間を確保してじっくりと店舗コンセプトと向き合います。

リサーチしたデータをもとに、企画の筋を決めてコンセプトを磨き込み完成度を上げていく作業を行います。

一つだけルールがありまして、
一度書いたものは絶対に消さないことだけをルールにしております。


これは、何かの発想を基準に書いていたものの、違う観点が出て来て途中で書くのを止めたり、進めていても何らかの理由で変更する場合があります。

それらの事は全て残したまま、次の新しい紙に書くようにしております。
消す時間がもったいない無駄な時間だということもありますが、いったん出てきたアイディアはその後違った形で採用になったり、違うことと繋がったりするケースがままあるからです。


一瞬間違えたかなと感じた時は、そのまま書いている途中のままそこに置いておき、新しい紙に文言を書き進めます、すると、また一旦捨てた内容が何かと繋がって復活することがありますので、捨てずに消さずに次に進めることをルールにしております。

店舗コンセプトを決めるのは基本的に経営者だと私は感じております。


ある程度の規模に会社が成長すると、会社の成長に伴ってスタッフが成長し、業態をまるまる企画段階から立ち上げることもあると思いますが、起業の段階は勿論のこと起業して間もない会社ではやはり、経営者自らが店舗コンセプトは作成するべきと思います。

当然企画が外れることもありますし、軌道修正を迫られることもままあります。

その責任をスタッフに分担させるには荷が重すぎますので、起業時は勿論の事、起用して真の無いころは経営者自らが店舗コンセプトを立ち上げるようにしましょう。

勿論、自分で企画書を書くのも良いですが、起業して経営が順調に推移しているようであれば、若いスタッフに企画内容を伝えて企画書にまとめる作業をお願いすることはよろしいかと思います。

作業の時間は意外と取られるので、パソコンの操作に慣れているスタッフに依頼することは効率が良いと思います。

ただ、あくまでも作業のみを依頼して、考えることは経営者であるあなたが行ってください。

経営者はやはり持っている責任感が違いますし、発想もスタッフよりも多くの経験をしている分豊かになっています。

ですから、制限なく自由な発想で店舗コンセプトを立ち上げてみてください。

店舗コンセプトを作成したならば、必ず商品コンセプトとメニューコンセプトを作成してください。


商品コンセプトとは、行う業態に関しての商品の方向性を決めていくことです。

前回の事例の炉端居酒屋を例にするならならば、鮮度を何よりも重要視すること、北海道産に拘ること、提供する柱メニューは炉端での炙り焼きであること、刺し盛りをボリューム感と潔さを提供することなど、行なおうと考えている業態の柱となり、お客様が思わず反応してしまうポイントを、商品を中心にして組み立てていきます。

勿論商品はそれだけでは成立しないので、ホールオペレーションもセールスの仕組みも、提供する商品をいかにしてお客様にダイレクトにお届けするのか、その仕組みを構築することも商品コンセプトに盛り込みます。

商品をお客様に販売するためのあらゆる施策を考慮して仕組化するための作業が、商品コンセプトを作り上げることとなります。

次に、メニューコンセプトです。

業態コンセプトと商品コンセプト決まると、次は具合的なメニューコンセプトを作成する段階になります。

このメニューコンセプトが無ければ、本来調理担当者は商品を作れません。

このことを理解出来ていない方も多く見受かられますが、具体的なメニューコンセプトを作ることは、商品を作るうえでブレを予防し、基本ラインに沿った商品開発を行う際には最も大事なコンセプトとなります。

メニューコンセプトは、商品コンセプトを基礎にして具体的なメニューの在り方を決めていきます。

炉端居酒屋の例で言うと、メニューのカテゴリーを決めます。
炉端焼きの中でも鮮魚と貝類と野菜類など、何を炉端で焼くと美味しいのか価値が高いのかを決めていきます。

浜焼は七輪をテーブルに持って行き干物をお客様自ら焼いて頂く、その他の肉系の焼き物はどのようなラインナップでどのようなスタイルで提供するのかを明確にしていきます。

刺し盛りはどのような表現をするのか、何点盛りにして何種類用意して見せ方はどのようにするのかなど、お客様に刺身でどうインパクトを与えるのかを決めていきます。

これらの作業を各カテゴリーで行い、必ずカテゴリーごとに集客商品と利益獲得商品を盛り込むようにします。
見せメニューを置くことも忘れないでください。

その次は価格設定です。

価格の大まかな幅を決め、最も中心の価格帯を決めて、数字が持っている説得力を考えながらお得感と値ごろ感を表現して、商品価値と価格のバランスを考慮してコストパフォーマンスを上げていく作業を行います。

この売価と商品の具体的なイメージが無いと、本来、調理担当者は料理のメニュー化が出来ません。

コストをどの程度かけていいのか、集客商品は何%までかけるべきなのか、どれを利益獲得商品として利益率と利益額を幾らで設定するのか、これらを決めてあげないと暗中模索状態で商品開発をすることとなります。


効率が悪くなり完成度が低くなってしまいます。

ですから、メニューコンセプトは詳細に決め込んで行ってください。

最終的には業態を表現するのは、全てはメニューで表現します。

消費者が具体的にお金を払う対象はメニューですから、ここには時間をかけて慎重にメニューコンセプトを創り込んでください。


メニューコンセプトの完成度が高いほど、調理担当者はブレることなく商品を創り込めます。

店舗コンセプト、商品コンセプト、メニューコンセプトのそれぞれの意図と役割を理解して、開発段階で正しく活用してください。


最後に最も大事なことをお伝えします。

経営者であるあなたは、この三つの企画書に事業計画書を紐づけする作業が最後に残ってきます。

企画内容を実現させるための投資はいくらまで投資するのか、資金はどこから調すするのか、ランニングコストはいくらなのか、返済期間の設定は、レギュラープランと繁盛プランとミニマムプランを作成して、利益のパターンを幾つかのシミュレーションで行う必要があります。

事業計画はプランA・B・Cと3種類作成する必要があります。

通常はこの売上を目標とするプランA、予想を上回る繁盛した場合のプランB、想定以下の結果になった場合のプランC、この3種類の事業計画書を作成する必要が有ります。


これにより、経営者であるあなたの覚悟が決まり、具体的なビジネス上のゴールが確定し、スタッフとゴール共有することが可能になります。

そして最も大事な金融機関の応援を取り付ける作業に移行します。

三つのコンセプトと三つの事業計画書を携えて、金融機関の融資担当者と面談をすることとなります。

この一連の企画書と事業計画書を金融機関に納得いただき、事業の成功が共有出来るようにプレゼンテーションを行ってください。


最後のハードルは経営者であるあなたのプレゼンテーションの能力です。

情熱的で実態に基づいたプレゼンテーションを行うことで、資金確保は優位になってきます。

コンセプトの本質的な意図は、そのプロジェクトに関係する全員を巻き込み共通のゴールを設定して、供に闘う仲間を増やすことです。

金融機関も大事な仲間ですから、プロジェクトに参加していただくようになさってください。

そのための最も大事なツールがコンセプトです。

次回は消費者心理についてお伝えしたいと思います。

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