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「お好きな席にどうぞ」て言ってませんか?

宇宙一外食産業が好きな須田です。

私は現在、積極的に情報のやり取りをしている不動産会社さんが数社あります。
お目にかかる頻度もある程度高いと思います。

ご担当の方から頻繁に居抜き物件の情報が届けられますが、気になった物件のマイソクを確認すると、その多くはそもそものレイアウトが悪くて、どう見ても盛業するとは言いがたい物件ばかりです。

言い換えれば、そのような物件だからこそ居抜き物件として市中に出回るとも言えます。

レイアウトのダメな要素はどの物件もほぼ同じ傾向です。

厨房の位置取りが悪い、厨房が広すぎる、ホールのレイアウトが悪い、席効率が悪い、そもそも席数が不足しているなど、レイアウトが悪いために売上が確保出来ない物件ばかりです。

どう考えても、売上は頭打ちになるような物件ばかりです。

厨房の問題は、メインの設備管がどこに立ち上がっているかが大きく影響します。

設備のメイン管の位置で厨房を設定してしまい、盛業する可能性を限りなく低くしてしまう。
予算がかかるからという理由で、工務店に勧められて間違った位置に厨房を設置してしまいます。

本来、予算をかけてでも盛業するお店にすることが最も大事なのに、投資した“少ないはずの予算”ですら回収できないお店を作ってしまい、結果的に本末転倒になってしまう。

予算は利益を出すために投資するものであって、予算がかかるからと言って使い物にならないものを作る為に投資する方が大問題です。

予算がかかるといっても、実際にいくら金額が上がるか確認したのか、投資対効果はどうなるのか確認したのか、私はその部分を確認したくなります。

居抜き物件を見ていて、居抜き物件に限らずですが、私が本に書いたゾーニングの理論を導入しているお店は少ないです。

厨房を基準に考えて効率的に席をレイアウトすることが、いかにお店をスムーズに回せることになるかを、ご理解していない経営者と設計デザイナーの多いこと。

何度も言いますが、お店は事業のための道具です。
いかにして使いやすく作り、効率よく運営するのかが最も重要なことです。

ですから、このゾーニング理論を取り入れて、繁盛を現実的に引き寄せてください。


以下が本文です。


法則07
「お好きな席にどうぞ」はお客さまとお店の両方にデメリットがある!

・回転率と組単価を考えた「ゾーニング」ができていますか?
・きちんとゾーニングをすると作業効率と売り上げが上がります。
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厨房からの距離を基準に「お客さまのエリア」を分ける

 皆さんもお店に行ったときに、次のような体験をしたことがあると思います。

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「お客さま、何名さまですか?」
「4人です」
「お好きな席にどうぞ」
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 そう言われて、店内を見渡したところ、4人用のボックス席はすべて1人客や2人客で埋まっている。一方カウンターや2人席はガラガラ。そこで「席が空くまで待とうか」となる――
こんなお店は廃業に向かってまっしぐらに突き進んでいます。
 なぜなら、「ゾーニング」という発想がないからです。
 ゾーニングとは、「どのエリアにどのタイプのお客さまに着席していただくか」を明確にすることです。お店側は商品の提供にかかる時間を考えて、通常は、厨房から近いところに「回転の速い少人数のお客さま」、離れたところに「回転のゆっくりな団体のお客さま」などとゾーニングします。
 そして、厨房から近い回転の速いお客さまのエリアは客単価が低いエリア、それに対して遠いエリアは組単価(グループ全体の客単価)が高いエリアになります。

 中華料理店の場合で考えてみましょう。そのお店の地域にある中華料理店は1人客が一番多くて、ついで2人客、ファミリーという順です。
 まず厨房に近い場所には、カウンターに10数席を作り、ラーメンやチャーハンを「はい、お待たせしました」とカウンター越しに提供します。このエリアでは、とにかく回転数を上げることを目指しましょう。
 次に近いエリア、カウンターのすぐ後ろは2人客用のエリアです。なぜ、カウンターのすぐ後ろかというと、「客数が少ない=料理の量が少ない」ので、滞在時間が短く、回転数がそれなりに速くなります。
 このエリアでは、客単価よりも組単価を期待します。
 カウンターの1人客の客単価は1000円ちょっとまでが限界です。多めにオーダーするお客さまでも、せいぜいラーメン、餃子、ビールを頼んで計1500円といったところです。2人客も、同じようなオーダーで組単価で2500~3000円程度でしょう。
 店の奥の4人用テーブルやボックス席は、お子さま連れのお客さまのためのファミリー席です。このエリアのお客さまは、食べ終わるまでに時間はかかりますが、組単価を稼げます。ゆっくり滞在されるので、厨房から一番遠くても大丈夫です。


ゾーニングが明確になるとホールスタッフが迷わなくなる

 こうしたゾーニングは、居酒屋でも一緒です。厨房から一番近いエリアにカウンター席を設け、その後ろに2名席、4名席と設置します。4名席以降はある程度、多めの人数のお客さまに入っていただいて高めの組単価を狙うエリア。そして、厨房から最も離れた座敷には宴会客を入れて10万~15万円のまとまった売り上げを狙うという考え方です。「このゾーンは客単価・組単価がいくらのエリアだ」ということを明確にします。
 このように設定することで、ホールスタッフのオペレーションが明確になります。お客さまをどうアテンドすればいいかがすぐにわかるのです。「1名様、こちらにどうぞ」「5名様、一番奥へどうぞ」と迷う必要がありません。
 お客さまも、店内を見渡して「あっちの席がいいんだけど」ということがなくなります。
 厨房付近は客数、回転率を稼ぐ、真ん中の席は組単価を意識する。そして奥は最も売り上げの大きい宴会席。すべて厨房からの距離を基準に決めます。この考え方をもとに席の配置を変えただけで、売り上げが1・5倍増加したケースがあります。


この1.5倍になったお店は横浜の地下にあった居酒屋ですが、改装を機にこのゾーニング理論を導入した結果、このような成果とりました。

同じ理論でコロワイドさんの甘太郎も三間堂も設計しました。
他のクライアントでも何度も導入していて実証済みの理論です。

効率運営が可能なレイアウトです。

起業の段階では、人もいない、資金もない、お客様もいない、と無い無い尽くしです。
その無い状況から何を産みだしていくのかを考えると、行きつく先は効率化しかありません。

少ない人数で回せる、限られた予算でシッカリ回せる店にする、効率よくお客様を回転させられる、この方法でしか繁盛は手に入りません。

お店のレイアウトの善し悪しが、ゾーニングが成功するか廃業に追い込まれるのかを左右します。
決して過言ではありません!

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