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家賃の交渉について知って欲しいこと

宇宙一外食産業が好きな須田です。

デリバリーに関して、酒類販売の特別許可が出ました。

これで酒類もお届けすることが可能となります。
飲食店にとってはよろしいことと言えます。

さて、今日は賃料交渉のことをお伝えさせて頂きます。

今、飲食店で最も厳しい固定費は家賃ですよね。
営業をしていようがしていまいが、物件を借りている以上、常に発生し続けるのが家賃です。

家賃が一定期間減額出来るだけで、他に資金を充当できるので助かるのは言うまでもありません。

先だって、国土交通省からこのような要請が出されました。



ただ、出されてはいますが、大家さんサイドから家賃の減額のお話が来ることは稀だと思います。
ネットではそのような大家さんがいたようで、SNSで上がっておりましたが、やはりここは勇気をもって、自ら交渉に行かなければならないと思います。

先ず、交渉をするにも、きちんとした計画をたてなければなりません。
やみくもに家賃を下げてといっても、大家さんが不安になるだけで、二つ返事で下げてくれることはありません。

では、賃料をどのように下げて、どのように返済していくかの考え方をご紹介します。


先ず、現行家賃の割引率を仮設定します。

現在の賃料が税別30万円だとして、50%減だと15万、30%減だと21万など、実際の経営状態から考えて、どの程度の減額ならば経営が持ちこたえられるのかを基準に算出します。

賃料の適正比率は月商の10%以下ですから、例えばコロナショックの影響で月商が300万から200万に減少したとすると、適正家賃は20万となります。

仕入れは30%の60万、人件費は月商300万の時の30%だった90万から、変動人件費をコントロールして70万までに抑えて、一般販管費も10%以下の15万まで下げるとします。

するとここまでの経費総額は145万になります。
ここで、賃料の設定額となりますが、月商200万であればその10%の20万となるのが一般的ですので、賃料を20万にすると、経費合計が165万となり利益は35万となります。

ここから、借り入れの返済と税金関係が発生します。

このような一覧表があると、話し合いの基準となるので、やみくもに“まけてよ”とお願いしているイメージから、経営判断として言ってきているイメージに変化します。

伝え方が9割というタイトルの本があるように、要は伝え方をどうするのかが大事になってきます。

今の賃料を基準にしてある割合を減額して欲しい、もしくは、売上を基準にしてある額を減額して欲しいなど、具体的な数字を根拠にして伝えることです。

家賃30万円の30%減の21万円にして欲しいとか、30万円のところを売上に対する家賃比率10%の20万にして欲しいなど、具体的な数字的根拠を示しながら交渉をすると、要望は通りやすいです。

この時に必ず、落としどころを設定して交渉に臨みましょう。
心理学を応用した作戦を立てることです。
人は、最初の要求を断ると次の要求は断りにくいという心理が働きます。
ですから、最初は大きな要求を突き付けて、あえて断ってもらいます。

この例で言うと、賃料30%減で良いとするならば、最初に提示する金額は50%減とします。
すると半額は出来ないと反応してきますので、ならば40%では如何?と投げかけ、それでもNOならば、では30%では、と段階的に交渉するとほぼ狙い通りの30%で締結出来ます。

必ず、本音と建て前を用意してきましょう

次に減額協力の期間の決め方ですが、これは月単位で決めます。
現状では最低3ヶ月、長くて6か月が良いかと思います。
5月からの3ヶ月で7月までとするか、6ヶ月間の10月までとするか。

あまり長くなると返済額が大きくなり、その後の経営を圧迫するので、長く設定しすぎないことも大事になります。

最も大事なことは減額後の返済計画です。

売上がどの段階で戻るのかの読みと、その時の返済額の上限を設定してします。

仮に月商が300万に戻ったとしますと、家賃比率の限界を12%の36万に設定すると、月額返済額は6万となり、年間で72万となります。

減額された金額がこの72万が上限ですので、返済額がこれ以下になるように減額の期間を設定します。

家賃が本来30万のところ、大家さんのご協力で20万にして頂いたとして、月額10万の差額となり、合計減額賃料は6ヶ月で60万となります。
これを1年間で通常家賃に上乗せして返済するとなると、60万を12ヶ月割りすると月額5万となります。

この5万を30万の家賃に上乗せして、35万円を1年間で返済して行きます。
月商が300万ならば家賃比率11.6%で、ギリギリなんとかやりくりできます。

この間は会社としては利益が出ない状況となりますが、覚悟して乗り切るしかありません。

緊急融資の返済もありますので、アフターコロナでは売上を取っていく覚悟も必要です。

このように、ご自分の考え方を整理して、わかりやすくまとめて、減額案と返済計画を一覧表にして大家さんに持参し交渉しましょう。

すると、“そこまでシッカリと考えているなら”と、減額に応えてくれる率は高まります。

最後に心理学的なことを一つ。

人は美しい心情に反応する特性があります。

あなたのお客様に対する想い、お店に対する想い、家族や仲間に対する想い、ビジネスとして継続することの想い、大家さんと良い関係を継続したい想いを、素直に、本心で、自分の言葉で伝えてください。

すると、あなたの美しい心情が、大家さんの美しい心情に響いて、要求は通りやすくなります。

緊急事態の今です。

経営者として、泥水を飲んでも切り抜けていく覚悟を持ちましょう。

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