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緊急事態宣言下での、生き残り戦略とは。なんとしても、生き残っていきましょう。

宇宙一外食産業が好きな須田です。

緊急事態宣言が発令されました。

期間は1ヶ月間、この自粛要請を受けて、休業を発表したお店も沢山あります。
弊社のクライアント先も何件か、休業宣言をしております。

各店の今月末の支払いが心配です、緊急事態宣言の発令で、今月の赤字が確定したところが多数と思います。

来月になり、お客様が戻ってくるかは不確かです。

180万の給付金で助かるのは、小規模店だけでしょう。
同程度の月商のお店は何とかなると思いますが、それ以上の固定費があるお店はやはり厳しいことに、間違いありません。


最も厳しいことは、終わりが見えないことだと思います。

何事も期限が決まっていれば、もっと楽に我慢ができます。
耐える辛さが違ってきますが、このコロナに関しては終息が全く見えません。

そこが、一番つらいところかと思います。

でも、事態を嘆いているだけでは、この難局は乗り切れません。
そこで、この時期に行うことで、少しでも売上を獲得できること、損益を下げることを考えてみたいと思います。

1 ディナー帯に、お酒の肴になるセット商品を販売する

ディナー帯の営業で、ほとんど売り上げを見込めない状況です。
居酒屋業態のようなアルコール主体のお店は、アルコール需要はほぼ見込めないということです。

であるならば、ディナー帯の積極的なアルコール販売を控えて、家飲みに対応した商品を、テイクアウトできるようにしてはいかがでしょうか。
しかも、唐揚げだけ、焼鳥だけという、1品だけ販売するのでなく、お酒のあてになる肴セットにして販売してはいかがでしょうか。

彩り豊かに、複数の商品を盛り付けて販売する。
単身者は、それだけで満足できるものになると思います、ご家族がいらっしゃれば、ご家族の夕食のおかずのもう1品になると言えます。

勿論、店内で消費していただくことも可能です。
すると、アルコールも販売できますので、1プレートで提供するお酒とのセット商品にもできます。
〆の食事まで消費していただくことも、見えてきます。

この肴セットは、1品だけの商品を販売するよりも、売価のアップも見込める利点もあります、満足度も格段に向上します。


ポイントとなることは、持ち帰ったあとの、食卓のシーンを想像できるかです。
食事のシーンを、より豊かに楽しく演出するという観点で、商品を組み立ててみてください。
この施策は、クライアント先の都内のあるテイクアウトとデリバリーの専門店で導入した施策ですが、このコロナの状況でも、売上が安定しています。

商品を持ち帰ってレンチンした唐揚げとかが、テーブルに1品だけ乗っている絵と、同じくレンチンしたとしても、テーブルに何品かが乗っている絵を、想像してみてください。

本来、お店では色々なものを楽しみます。
テーブルには、何皿かの商品が乗っています。
その食事のシーンを再現できるようにしてはいかがでしょうか、という提案です。


2 アルコール販売をいっそのこと控えてみる

大胆な提案ですが、これまでと同様にアルコール販売を行うということは、同じようなメニューをそろえて営業を行うということです。
仕入れも仕込みも同じように行うことは、これまでと同様の経済的にも労力的にも同じ負担がかかってしまいます。

そこで、いっそアルコール販売を控えて、最もお客様の需要とマッチする食事メニューに絞ってはいかがでしょうか。
その食事と併せて、軽く1杯程度はあると思います。

ディナー帯に長居できないことはわかりきっているので、短時間に食事が取れて少し時間的に余裕があるならば、軽く1杯という流れはいかがでしょうか。
アルコール主体から、食事主体に変化させることで、仕入れ額は格段に少なくなります。仕込み作業も大幅に軽減されます。

それによって、仕入れ原価を下げられます、人件費も抑えられます。

売上が確実に下がることは明白ですから、徹底したコスト削減をして、利益をなんとか残すことを考えてみてはいかがでしょう。

この施策をクライアント先で実行したところ、ディナー帯の客数は通常時の80%まで戻り、客単価は70%となりましたが、コスト削減の結果、損益はクリア出来るまでに回復しております。
アルコール販売に拘っていたところを、一気に方向展開したことで、最悪の事態は回避されています。

ビジネス街に出店しているお店ですが、ランチ営業の業績が維持出来ていることもあり、損益は確実にクリアできています。
ランチと併せての月商は70%程度となりましたが、FLコストが下がったことで、損益が大幅に下がりマイナスは回避できていて、5%~3%ほどの利益も上げられています。


ポイントは、売上を獲りに行かないことです。
売上を獲りに行こうとすると、どうしても営業体制を整える必要があります。
売上を獲りに行こうとするのではなく、持ち出しをいかにして無くすかということに、意識を向けてはいかがでしょうか。

今は、緊急事態です。
緊急事態にもかかわらず、今までと同じ営業体制では、それまでと同じ損益分岐点となってしまいます。
いかにして損益分岐点を下げるか、その下げた分岐点までの売上をどうやって積み上げるかに、考え方をシフトさせてみてはいかがでしょうか。

積極的に、ミニマム営業に切り替えましょう。


追記で、厳しい提言ですが、思い切って人件費をカットしましょう。

人件費カットに抵抗がある経営者の方が沢山いますが、勿論、私も心情的には大きな抵抗がありますが、経営者たるもの、ある時は冷酷さも必要です。

社員の棚卸もこの機会に行って、本当に必要な人材のみで、この難局を切り抜ける覚悟が必要です。

人件費は大きなコストです。

大きく厳しい難局を迎えている今、涙を呑んで人件費をカットすることをしなければ、景気が回復するまで自社が持ちこたえられません。

冷静な判断が求められます。

少ない人件費で営業を賄う手段が身に着くということは、生産性が上がったということにもなります。
その上がった生産性を維持し、さらにお客様が戻ってきたときには、カットしたメンバーを呼び戻すことも、また新たなメンバーを招くことも可能になります。

長い視点で考えた、お店の復興策を導入しましょう。

冷静になること、大局を見て冷酷になること、これらは、経営者には必要な要素です。


3 ランチ営業にダイナミックプライシングを導入する。

ダイナミックプライシングとは、時間によって販売額を変更するということです。
これにより、ターゲットになる客層が変わってきます。

ビジネス街でのランチの1例ですが、先ず、11時30分から15時までのランチタイムを4つの時間帯に分けます。
その時間帯ごとの価格を設定します。
11:30~12:00は880円、12:00〜13:00は1,280円、13:00~14:00は1,180円に対して、14:00〜15:00の時間帯は1,500円とします。
早めに食事をとれる方にはお得にして、混雑する時間帯はある程度の価格を設定し、2時以降にランチに来れる方は、通常、経営者もしくは経営幹部の方ですから、この時間帯は思い切った価格設定にします。

空いている時間帯を安くして集客したくなりますが、そもそも少ない客数で低単価の商品を販売してしまっては、利益が全く取れません。

一般的に、時間をずらして、ゆっくりとランチの時間を確保できるのは、その特権を許されている方々、即ち経営幹部の方々です。
逆に収入の少ない若手社員を早めにランチに出してあげ、一般社員は最も混雑する時間帯に、本来お店が欲しい客単価の商品を販売してはいかがでしょうか。

ターゲットが変わり、販売価格も変わりますから、1,500円のランチは内容を豪華にしても良いと思います。
1,500円の売価に即した価値にして、売価と内容のバランスを整えましょう。
逆に880円のランチは、何か1品削ってもよろしいかもしれません。
ここも、売価にあった価値に整えることも可能です。

ここで提示した単価は、あくまでも一例です、あなたのお店の単価で再設定してください。
価格の設定の基準として、提示しただけですので、自由に変化させてみてください。

この事例は、都内のビジネス街にあるレストラン数店舗で見たものです。
確かに時間によって、利用者の客層も収入も時間的な制約も違ってくるので、この施策は有効と思います。

ポイントは、時間帯ごとに商品を微妙に変化させること、それにより客層を分けることです。

同じ商品を、違った単価で販売すると、売価と商品価値とのバランスが取れなくなり、お客様かお店か、どちらかに大きな負担となってしまいます。
設定した売価の商品を変えて、お客様のすみわけをスムーズに行える施策と言えます。



4 テイクアウトにデリバリーにアップセールスを導入する

テイクアウトとデリバリーを導入しているお店が、どんどん増えてきています。
お店でテイクアウト商品を販売しているお店も、テイクアウト商品を予約販売しているお店もあります。
出前館やウーバーに登録して、デリバリーを行っているお店も益々増えてきています。

そこで、テイクアウトとデリバリーで、客単価を上げるために必要なことはアップセールスです。
もう1品欲しくなる、サブ商品を作りましょう。

ここで大事なことは、メインの商品だけではちょっと物足りないかも、もう1品あると満足度が上がるかなぁと思わせる、ボリューム感と見た目の商品を構築することです。

満腹になるグラム数は500グラム以上です、胃袋の容量はおおよそ600グラムです。
女性を基準に考えると、400グラム程度でほぼ満たされます。
この、見た目は十分豪華でも、ちょっと少ないかもとしれないと思わせる量にすることで、アップセールスは格段にしやすくなります。

しかも、ここに売価戦略を組み込むと、更に効果的です。

単品780円、アップセールス品280円、合計1,000円でお釣りを無くす、この価格戦略を導入すると、もう1品購入するアップセールス戦略の効果は最大化できます。

又、そもそもセット商品として、メインと炭水化物を別に販売する方法もあります。

これは、ファミリーレストランが導入している販売手法ですが、ハンバーグ単品に、サラダとライスのサラダセットとか、スープとパンのスープセットなど、2品を組み合わせることで完成する仕組みを導入することで、単価アップは可能です。

ポイントは、あくまでも満足度を上げることに意識を集中することです。
アップセールスは、メイン商品の価値と、価格の設定の仕方で出数が全く変わってきます。

マクドナルドのポテトはいかがですかが良い例ですが、ハンバーグだけではちょっと物足りない、気分的にももう1品あると満たされる、この心理を上手に活用することです。

因みに、FF業態は今過去最高売上を計上している状況です。

多くの方は、FFは低単価だから集客が出来ていて、その結果、業績が好調だと分析しがちですが、私の考えは違います。

確かにその側面もあるかと思いますが、マクドナルドで買物をすると、今や700円から800円はします。
一般的な食堂と変わらない客単価です。

FFがすごいのは、食品販売業だからです。

しかも、セット販売で売価を上げる施策を導入しているからです。
レストラン業ではなく、カウンターで商品を販売する、そのことに徹底的に拘り、低単価の見せ商品で集客を行い、セット販売で必要な客単価を獲得している、その施策を数多く再現できる仕組みになっているから、大きな成果を維持出来ています。

販売力があることがFFの本質的な強さです。
ですから、テイクアウトとデリバリーを導入するならば、このアップセールス戦略を導入するべきと思います。



5 サブスクリプションの導入

このサブスクリプションも増えてきましたが、上手に出来ていないお店が多い気がします。

サブスクリプションの単価を上げ過ぎると、販売数が伸びません。
単価を下げ過ぎると、効果が下がってしまいます。

必要なことは、セット内容と価格のバランスと言えます。

お店を利用する権利を先行販売するサブスクリプションの場合、利用頻度と利用できる期限の設定が肝になります。

仮に客単価3,000円のお店で、10,000円のサブスクリプションを販売したとしたとします。
期間内に3回利用することを想定していますが、お客様はその期間内に本当に3回も利用するか、利用できるかを考えて、躊躇してしまいます。

勿論、お客様との関係が出来あがっていて、応援する気持ちで購入してくださる場合は全く問題がありませんが、ただし、その場合どうしても販売数に限りが出てきます。

どのお店もロイヤルカスタマーの数はそう多くはありませんので、上限が見えてきます。

サブスクリプションは、消費者サイドに大きなメリットがある必要があります。
そこで、先の例で言うと、1回に使用できる上限額を決めることにします。

1回2,500円の使用を上限として、4回使えることとします。
1回利用するごとに、何か1品必ずお店からプレゼントします。
ちょっとした気の利いた商品で構いません、サブスクリプションのお客様の承認欲求を満たし、特別扱いを感じて頂けるようにします。

このお土産戦略が必要であり、効果的です。

2,500円を超えた利用額は、その場で精算してもらうようにします。
これにより、お客様には罪悪感が無くなり、お店はアップセールスが可能となります。

この方法では、おまけされたような、不思議なお得感も感じられます。

一般的なリピート期間と頻度を調査して、利用期限を設定しますが、リピートが1ヶ月程度なら4か月で10,000円を使える期間となります。

この場合、期間を3ヶ月にすると、設定期間内に使い切れなので、販売できる可能性が極端に少なくなります。
4か月にすると、お客様に使えるかどうかの迷いが出てきます。
やはり、販売数は伸びません。

いっそ6ヵ月にすることで、必ず利用できると思えるので、購買確率は格段に上がります。


ポイントは、お客様と良好な関係を構築するために、サブスクリプションを導入すると、明確に正しい意図と意識を持つことです。

以前にサブスクリプションの相談を受けた時に、何パーセントのお客様は利用しないで、お店が得をするのかと聞いてきた方がいました。


この考え方は、ほぼ詐欺に匹敵する考え方です。


お客様に応援していただき、お店のファンになっていただき、良好な関係を構築することを目的に、サブスクリプションを導入しないと、導入は失敗に終わります。

消費者には、その騙すような考えが伝わってしまい、そもそも販売数が伸びません。
販売したとしても、お客様に大きな価値を提供できていませんから、結果的に大きなしっぺ返しが待っています。

サブスクリプションは、顧客との良好な関係構築のために行う必要があります。



6 クラウドファンディングの実施

クラウドファンディングも、有効な施策です。

マクアケさんやキャンプファイヤーさんなど、いくつかの専門サイトがありますが、このサイトを利用して多くの飲食店が顧客獲得と売上を上げています。

ミシュランで星をとっているお店がケーキを販売したところ、8,000万円を超える売上を上げていました。

これには、驚愕しました。

なぜこのような結果になったかと言いますと、勿論、ミシュランで星をとっていることは大きな要素ですが、それ以上に、このお店にはコアなファンが多数存在していたのが、本当の理由です。

不況になればなるほど、既存顧客へのリピート販売が、効果を発揮することは定説ですが、このお店は、この既存顧客に高額商品を大量に販売したことで大きな成果を上げました。

ですから、これからクラウドファンディングを仕掛けるならば、クラウドファンディングを行う前に、既存顧客に徹底した告知をすることが必要であり、効果を生みます。

その為には、リストが必要になってきます。
それが厳しい場合は、クラウドファンディングを行う理由を、新規客の獲得と会員化に意図を変更する必要があります。

どうしてもクラウドファンディングを行う場合、この意図を明確に出来ていないまま実行しているお店が多い気がします。

新規客を獲得する場合は、大きな価値を提供する必要があります。

サイトの中には、同じようなお店が沢山出店しています。
当然のことながら、リサーチされ比較され、自然とふるいにかけられます。
このサイトの中で勝ち残らなければならないので、どこまで大きな価値を提供できるかが課題となります。
ですから、思い切った商品施策と価格戦略を導入しましょう。


ポイントは、クラウドファンディングを利用していただいた後に、リピートさせる戦略を用意しておくことです。

大きな価値を提供するとなると、コストが高くなります。
クラウドファンディングを行っている会社には、15%程度の手数料も支払う必要があります。

すると、クラウドファンディングを利用して1回で終わってしまうと、お店側は実質的な利益にはなりません。
リピートしていただき、常連になっていただきファンになっていただく。
そのために、キッカケをクラウドファンディングを利用することで作り出す意図で、内容を決めて下さい。

クラウドファンディングを行う場合、重要になってくるのはビジュアルとストーリーです。

クラウドファンディングを行う裏に隠れているストーリーを、強烈に魅力的に語ることと、それが秀逸なビジュアルで伝わること、この2点が最も重要なポイントになります。

ですから商品写真や動画は、必ずプロに依頼してください。

今、経費をケチって、スマフォの写真で誤魔化すと、全く成果を上げられなくなります。

クラウドファンディングを行っている担当者の方と、膝を突き合わせて聞きだしたポイントですから、間違いがないノウハウ情報です。


業績が好調なお店に共通するのは、そのお店独自の手法を、しかも複数取り入れている点です。
何か一つだけを導入して、成功した失敗したとならずに、貪欲に色々な施策を成果が出るまで継続して行っています。

何ごとも、成果が出るまでには時間が必要です。
告知も、周知させるには時間が必要です。

この時間を耐えきる忍耐力が必要になってきます、やりきる覚悟も必要になってきます。

経営者としての資質や覚悟を、試されることとなります。

従業員のため、家族のため、お客様のためにこのコロナショックを乗り切る必要があります。

応援してくれる常連さんの協力と、いくつかの施策を導入することで、なんとしてもこの難局を乗り切りましょう。

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