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商品コンセプトは知っているようでも、構築していないものです、商品コンセプトの本質をお伝えします。

宇宙一外食産業が好きな須田です。

さて、本日から7月に突入です。
早いもので、今年も半年が経過しました。
今月はいよいよ、東京オリンピックも始まります。
緊急事態宣言も明けて、蔓延防止策も解除されるとオリンピックが始まります。

2019年の段階では、2020年のオリンピックに大きな期待を寄せて、インバウンド需要を想定し、ホテルの開業ラッシュとなり飲食店も各種イベントを企画していましたがいましたが、2020年になったとたんにコロナショックが世界を席巻してしまいました。

まだまだ飲食業には辛い時期が継続すると言えます。

でも、そのような状況でも前に進むために策を講じていくのが、経営者の務めです。

下を向いていても、小銭すら落ちていません。
上を向いて、前を向いて確実に歩いていきましょう、必ずいつかはコロナも終息します。

100年前のスペイン風邪は、ほぼ2年で終息しました。
今回も歴史が繰り返されれば、あと半年も経たずにコロナは終息します。

世界を見回すと、復活への兆しも見えてきております。


そこで、今回から商品に関することを、連続でお伝えさせていただきます。

飲食業で最も大事な商品について、多くの方が直面している課題と疑問について解説していこうと考えています。

今日は、商品コンセプトについてです。

飲食業を開業する時には、必ず提供する商品を決めます。
当然のことですが、実はここに落とし穴があります。

商品は決めていますが、コンセプトを抜きにして決めてしまいます。

すると、業態と商品の軸がブレたまま、商品を構築してしまいます。

業態コンセプトを明確にする方は、徐々に増えてきているように見受けられます。

完成度を別にして考えても、多くの方が何となくでも業態コンセプトを決めている方は増えてきています。
特に若い起業家の方々は、業態コンセプトを決めているケースが増えています。

肝心なのはここからですが、業態コンセプトと決めた以降に商品コンセプトを決めていないケースがほとんどです。
業態コンセプトが決まったので、そのまま商品を作りだしてしまい、業態と商品がちぐはぐは事が頻繁に発生ししています。
では、そもそも商品コンセプトとは何を決めることなのかですが、この業態コンセプトと商品コンセプトの違いと関連をご理解できていないでの、作らないい、作れない、必要性が理解できないとなってしまっています。

ここを理解していないので、その必要性も、決めなければいけない事項も理解しないままオープンを迎えてしまいます。

その結果、予想外の結果を引き寄せしまいますが、当然と言えば当然の結果です。

商品コンセプトとは、商品のストーリーを決めることです。

設定した業態において、商品をどのように作成し、どのように提供し、どの程度の消費量となり、売価のゾーンと原価のゾーン、商品ミックストと食材ミックスなどを決めて行きます。

ここで、何を集客商品として、何を利益獲得商品にするのかも決めます。

この集客商品と利益獲得商品を軸にして、売上をどうやって構築するのかを決めることを、ストーリーと表現しています。

言うなれば売上と利益確保の、         「仕組みを構築する」 ことこそが、商品コンセプトの役割です。


商品を通じての消費の流れと展開を、ストーリーとして構築することを行います。


弊著の事例を参考にしてお伝えします。
ここではホルモン焼き業態を紹介しました。

業態コンセプトは、


「鮮度抜群で安心・安全な国産ホルモンを毎日仕入れて、ていねいな手仕事で仕込むことでホルモンの価値を最大限に高め、驚きのロープライスで提供する。
 お客さまは、ハイボール、ホッピー、サワー類をガブガブと飲みながら、仲間と楽しく、おいしい料理を堪能できるホルモン焼き専門店。」


このコンセプトからは、ホルモンが主力商品であること、毎日仕入れで鮮度の担保を行い、当日仕入当日消費、その為に小ロット低売価で売り切り、低原価のお酒とのマッチングで売上と利益を構築していくことをテーマにしていることが理解できます。

そして、業態特性はホルモン焼き専門の居酒屋業態です。

ここまでで、消費のストーリーが見えると思います。

見えてきたストーリーを実現させるために、商品のストーリーを、この業態コンセプトに乗せていきます。

すると、商品コンセプト(ストーリー)は次の通りです。

「鮮度に徹底的にこだわる。
おいしさはもちろんのこと、安心と安全を担保するため、国産豚のホルモンのみを仕入れ、仕入れたその日のうちに使い切る。ホルモンは少なめのポーション(1皿60グラム)で提供することで、お客さまは多品種を注文できるうえ、店側も安価に提供できる。お客さまにいろいろなホルモンを安く食べられるという、楽しさ・満足感・満腹感を提供する。
ホルモンのたれは、オリジナルレシピの無添加塩だれを開発することで圧倒的な集客商品にするとともに、ホールスタッフにはおすすめを徹底させる。
ホルモンの原価率は25~45パーセントとある程度高めの設定にしてお得感のある集客商品にする。そして鮮度と味と低価格により、圧倒的な差別化を図る。
利益獲得商品のメインはアルコール類。しっかりと利益を確保する。
ビールの実注量は270ccに抑えて価格は480円と高めに設定。これにより、低原価のハイボール、ホッピー、サワー類へのすみやかな移行をうながす。この炭酸系アルコール飲料の消費杯数を伸ばすことで利益をしっかり確保する。主力商品であるホルモンのプライスレンジ(価格帯)は280~480円に設定。
目標客単価3800円。
お通しの「無限バリキャベ」(独自開発)は、それだけでビールを一杯飲んでしまうほどのインパクトを表現する。
最後は冷麺かご飯類でシメてもらい、味の記憶をダメ押しするとともに、満足感・満腹感を提供する。」

としました。

如何でしょうか。
商品の在り方、単価と価格帯と原価率も明記されています。
集客商品の選定と、なぜ集客商品なのかの理由、そして利益獲得商品をドリンク類にしたこと、アルコール類の価格の基準となるビールの売価を高めに設定したことにより、低売価のハイボールとサワーへ移行するように仕向けていること、この消費の流れで確実に大きな利益を獲得することを設定しています。

商品コンセプトで大事なことは、この消費の流れを明記すること、そして何でお客様を集めて、どうやって売上の分母を上げさせ、いかにして確実な利益を獲得するかを決めること、それが物語を読むように流れるストーリーとして理解することが必要なことです。

コンセプトの一つ一つを解説していきます。

最初に、「鮮度に徹底的にこだわる。」とあります。
一番にこれを表記しています。
理由は、消費者の中にあるホルモンへの潜在的な不満と恐怖を解消することで、お客様が同じホルモン業態と比較した場合に、圧倒的な優位性を感じてもらうための担保として、鮮度にこだわるとしました。

それが、以下の一文に表現されています。
「おいしさはもちろんのこと、安心と安全を担保するため、国産豚のホルモンのみを仕入れ、仕入れたその日のうちに使い切る。」

毎日芝浦から屠殺された新鮮なホルモンが店着します。
この仕組みが構築できたので、この業態が生まれましたが、毎日屠殺したものしか仕入れられないのが弱点です。
冷凍品などを活用しての安定供給が出来ない、弱点があります。
その弱点を逆手に取ったのが、以下の考え方です。

「ホルモンは少なめのポーション(1皿60グラム)で提供することで、お客さまは多品種を注文できるうえ、店側も安価に提供できる。お客さまにいろいろなホルモンを安く食べられるという、楽しさ・満足感・満腹感を提供する。」

この一文からは、一皿あたりのポーションを下げて、あらゆる部位のホルモンを消費するような流れをつくります。
これにより売れ残って在庫になることへの回避と、楽しさ・満足感・満腹感を提供するということまで達成してしまいます。

鮮度の良さを感じて頂き、調理の手間を省くためにも、オリジナルの塩だれをつくりました。

鮮度が良くなければ、塩ダレは使えません。
逆に言うと、ホルモンの独特の癖と鮮度の低下を補うために、味噌ダレは発明されました。
タレの味でホルモンを美味しくしてしまうということが、古くからホルモンを扱う業界では常識とされてきました。

また、オペレーション上でも、タレの好みをお客様に効くことがなくなり、簡素化できました。

ビールの実注量は270ccに抑えて価格は480円と高めに設定。これにより、低原価のハイボール、ホッピー、サワー類へのすみやかな移行をうながす。この炭酸系アルコール飲料の消費杯数を伸ばすことで利益をしっかり確保する。
主力商品であるホルモンのプライスレンジ(価格帯)は280~480円に設定。
目標客単価3800円。

この部分には、アルコールの考え方、利益確保の仕方、ビールからハイボールへ移行させるためのサービススタイルまでがストーリーとして表現されています。

これを理解し確実に実行することで、利益確保が確実に実現されていきます。
ホルモンの価格帯を表記することで、アルコールの売価との比較によるイメージを感じられるようにしました。
一皿280円~480円のホルモンと比較すると、480円のビールは高く感じられます。
意図的に、そのように仕向けました。
その結果、ビールよりも安いハイボール・サワーへと移行しやすい流れを意図的に作りました。

ビールの売価が480円ということは、原価ではおよそ180円前後はしますから、税別売価436円では原価率41%にもなります。

ところがハイボール390円、サワー類は380円~680円にしました。
メガサイズをつくることで、1回のオペレーションで高単価の商品を販売し、お客様には満足感を提供することで、双方のメリットが得られるようにしました。

が、実はメガサイズが一番利益額を確保できます。
グラス容量が増えると、当然、氷の量も増えます。
売価は上がりますが、実注量は売価の上昇率と比較して比例しない量になるので、実は利益額が一番確保できます。
基準となるレモンサワーは、原価が60円程度、税別売価が345円の場合、原価率は17%程度ですが、メガサイズは税別618円、原価は100円程度で原価率は16%で利益額は518円となります。
メガサイズ1杯で、ビール2杯分の利益が確保できます。

そして、そのお酒を売るために以下の施策を導入しました。

 お通しの「無限バリキャベ」(独自開発)は、それだけでビールを一杯飲んでしまうほどのインパクトを表現する。

この無限バリキャベは、本当にお酒が進みます。

いつ、どの業態に導入しても、本当にお酒がバンバン出る一品です。
そして、最後の〆の仕様も決めています。

これにより、この商品の発注が有ったら、このテーブルはそろそろ終わりだと理解できます。
お待ちいただいているお客様がいる場合は、そろそろテーブルが空くことをアナウンスできます。

「最後は冷麺かご飯類でシメてもらい、味の記憶をダメ押しするとともに、満足感・満腹感を提供する。」

本日の来店で、商品を通してお客様にお伝えしたいメッセージが最後の一言に示されています。

それが、満足と満腹の提供です。
この二つを満たすことで、この体験が楽しかったと感じてただくことが、この業態の、 仲間と楽しく、おいしい料理を堪能できる というコンセプトの現実化のための商品の在り方を示すことが、商品コンセプトの存在です。

この業態コンセプトの最も大事な部分を、的確に商品を通して実感して頂くための軸を構築することが、商品コンセプトの役割です。

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