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業態力を高めると繁盛店になる


宇宙一外食産業が好きな須田です。

先だって久々にセミナーを開催し、その会場で素敵な出会いも沢山ありました。
今後、少しずつこのご縁を深めていきたいと思います。

さて、今日は業態力についてお話ししたいと思います。

先だっての記事で、業種と業態の違いをご説明させていただきました。

業種とは、一般的に何屋さんかということ。
業態とは、どのような何屋さんかということ。

例えば、業種はお寿司屋さん、業態は回転寿司。
例えば、業種は中華屋さん、業態は麺飯専門店。
例えば、業種は焼鳥屋さん、業態は串焼き専門店。

この違いをご理解頂いていないと、業態開発を行う際に業種の開発をしてしまうことになり、具体的な業態にまでたどり着かないでオープンを迎えることになってしまいます。

と、お伝えしました。

今日はその業態の強さと完成度が経営に影響するということを解説したいと思います。


私は一言で業態力という言い方をしております。
これは業態としての完成度の事を表しております。


業態を構成している要素にQSCがあります。
QSCをご存知ない方の為に簡単にご説明すると、
Q=QUALITY 品質のことを指します。
S=SERVICE おもてなしのことを指します。
C=CLEANLINESS 環境を整え維持することを指します。

この3つの要素がバランス良く整っているのか、整っているのならば高い位置にあるのかそれが維持できているかを業態力という表現で表しています。


業態の完成度をこう表現するのは、恐らく私だけと思いますが、業態力と表現する方が概念的に伝わる気がします。


一つのポイントを解説して全体像を判断するよりも、業態力が高いと表現した方が、感覚的に業態の完成度の高さがスムーズにご理解できると思います。


例えば焼肉業態を例にして業態力を解説してみると、焼肉業態は素材特化型業態です。
扱う素材によって業態の在り方と業界内でのポジションが決まります。

高級和牛を扱うのか輸入牛を扱うのかで、お店の出店場所もサービススタイルも、内装デザインも食器も客単価も全て違ってきます。

高級店は扱う素材に伴って出店立地を選択し、客単価を決めその単価を払えるお客様がご来店して、その方々が普段接しているサービスのクオリティーを提供します。
それらの総合力を評して業態力と表現しています。

実は、反感を恐れずにお伝えしますが、
一般的な焼肉業態の業態力は低いです。


素材特化型業態ですから、素材力に牽引されて業態力を高める必要が無かったという所が本当のところだったと思います。


QSCの視点で解説すると、クオリティーは、仕入れた素材をカットしてタレにつけて提供するだけ、基本的には料理という部分が極端に少ない業態です。

実際に焼肉業態を始めた方にインタビューすると、
「だって焼肉って、肉切って出すだけだろう! 
簡単で、これなら俺にもできると思って始めたんだよ!」という
答えが帰ってくる割合は非常に高いです。


年商14億になる焼肉を経営している、60代後半の社長もこのように言っておりました。

焼肉業態のサービスは、基本的には商品をテーブルに提供したらおしまいです。
それ以上のサービスはほぼない状態です。

環境維持は、この部分が最も他業態との違いを表しているかもしれません。
決して清潔な環境ではないお店が目立つのは事実です。
テーブルがべたつく、店内に臭いがこもっている、決して衛生的でクリーンなイメージはあまり持てません。

これらを総合評価すると業態力低いと言わざるを得ません。

そこで、焼肉業界で何が起こっているのかというと、業態力に気付き業態力を高めているお店が圧倒的な集客力を発揮して繁盛店になっています。

SATOブリアンさんしかり、よろにくさんしかり、うしごろさんしかり、地方では雪月花さんしかり、沢山のお店が業態力を上げて、繁盛店になっていっております。

今後、この流れは焼肉業界に伝播していくと思います。

渋谷に知り合いの方が経営している焼肉業態があります。

彼のお店は山形牛を中心に希少部位を小ポーションで提供し、色々な焼き方と味付けを施し、カウンター越しに店長が焼いて見せたり、焼いてあげたり、スタッフも非常に多くのコミュニケーションをお客様と取るようにしています。

実はこのお店は、イエルプとトリップアドバイザーで人気№1のお店です。


サービスに対して、日本人とはまた違った判断基準を持った海外の方々に、非常に高い評価を得ています。

海外の方は、WAGYUの美味しさはなんとなく理解していても、自分で焼くということに抵抗がある方がいますが、このお店はサービス力が高く、その部分を払拭しています。


環境も、常にお客様目線で気になる部分を徹底して磨き込んでいます。
オープンキッチンで、外から冷蔵ケースにびっしりと入っている肉が見えるようにして、誘客とインスタ映えのポイントを明確にしています。
また、店長と一緒の写真をインスタグラムにアップするようにしたりと、情報を発信しやすいような施策をとっています。


都内にある食べログアワードで頻繁に出るお店も、同様に扱う肉の素材力を圧倒的に上げて、サービススタイルも高級業態に相応しいものにして、環境もデザインも整えたお店にしております。


なんとなく顧客のイメージにある焼肉屋さんに対する概念を大きく凌駕している店舗が圧倒的に支持され集客しております。

元来、業態力が低かった、あまり気にしていなかった、品質の良い肉さえ出せばお客は来てくれると思っていた提供者サイドとは違った価値観として、業態力を上げることに気付き改善を実行したお店が圧倒的に集客している実態があります。


これは、もう数十年以上前にラーメン業態でも発生しました。


それまで、怖くて汚くて臭いと思われていたラーメン業態が、品質もサービスも環境も見直していき、今では業態力の底上げは出来ている気がします。


我が社の近くに、煮干し系ラーメンの行列店があります。
ご夫婦2人で営業している、1日200杯は完売している繁盛店ですが、この場所に出店したラーメン屋さんは私の知る限り、彼のお店で4店舗目です。

最初は大手のチェーン店がFCとして開業していました。
次は宮崎系の豚骨ラーメン屋さん、次は個人店が営業しておりましたが、どのラーメン屋さんが出店しても長続きしませんでしたが、しかし、彼のお店は繁盛店になりました。

分析すると、やはり業態力が高いという結論に至ります。

まず、それまでのお店はほぼ居抜きのまま営業を行っておりました。

彼は、内装を一新して過去ダメだったお店の記憶の全てを払拭して、新たに開業しました。
開店したお店には、過去のお店の記憶にたどり着くものは一切ありません。


確かな技術と発想が商品クオリティーの高さを産みだし、それを維持するための努力と仕組化、夫婦のチームワークと気遣い、高いサービス力、常に環境維持に労力を厭わないことなど、飲食業の基礎の基礎を実直に維持しております。

なので、繁盛店になったと思います。


結果的に彼のお店は、食べログで3.9点、2019年ラーメン百名店にも入り、ラーメンオブザイヤーにも選出されました。


さて、業態力を高めると繁盛店になるイメージは持てたかと思います。

では、何をどうすれば実際に業態力を高められるのかという具体的なポイントを、次回お伝えしたいと思います。

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