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【韓国映画】JUNG_E(정이/ジョンイ)|母と娘の絆の行き着く先には

公開から1日で世界31ヶ国で1位になりほどの話題作!

あまりSF系作品は見てこなかったのですが
韓国Netflixがアツい今、こんだけ話題になるということは
良作に違いないと公開から何日もせずに視聴しました!

恋愛ドラマは全く見ないのであまり韓国ドラマについて詳しくないですが
『The Glory』が面白かったし、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』とかも
すごく評価が高く、年々ファンを増やし続ける韓国Netflix作品。


ストーリー ★★★☆☆
映像美 ★★★★☆
アクション ★★★☆☆
もう一度見たい度 ☆☆☆☆☆
総合 ★★★☆☆

製作国:韓国(2023年)
原題:「정이」(英題:「JUNG_E」)
監督/脚本:ヨン・サンホ(『新感染 ファイナル・エクスプレス』『地獄が呼んでいる』他)
配信:NETFLIX
上映時間:99分

※ネタバレが含まれています。
※画像はお借りしています。

あらすじ

内戦により荒廃した近未来の世界。人類は宇宙シェルターを作り、シェルターに移り住んでいた。そこでは何十年も内戦が繰り広げられていた。
人口知能研究所の研究員であるユン・ソヒョン(カン・スヨン)は、自分の母である伝説的な傭兵『ユン・ジョンイ(キム・ヒョンジュ)』の脳データを複製することで、戦争を終わらせようとするが、、、

予告編

金のかかり方がこれぞ韓国Netflix!

とにかくCGがすごい!
SFもハリウッドの大作もあまり見ない私からすると
あまり比較できる作品が想い浮かばないのですが、、、(笑)
それでもCGを見るためだけにこの作品を見てもいいかなと思えるほど
映像は綺麗でした!

日本でもこれだけのお金がかかっているな!ってわかる
面白い作品が出てくることを祈るばかりですが、、、中々難しいのが現実、、、
低予算には低予算なりの良さもありますしね、、、

死後も自分の脳が生き続ける世界

死後も脳データを取ってその人口知能を搭載したアンドロイド(AI)を製造し、
ある意味永遠と生き続けることが可能となる。
そのアンドロイドも『Aタイプ、Bタイプ、Cタイプ』があり
Aタイプだと高額だが権利から能力まで人間と同じように生きていけて、
Cタイプだと権利も何もなく、自分の脳データを企業に渡すことになるが
遺族にお金がもらえるというような仕組み。企業はそのデータを自由に使えてしまう。

自分の死後もお金で全て決まってしまう。
この格差社会は現代の社会と同じである。

ジョンイが戦闘での負傷により植物状態になった後
残された家族は貧困のため『Cタイプ』を選びジョンイの脳データを企業に売ってしまう。
そのおかげで娘のソヒョンは学費の援助などを受け、その後も生きていくことが出来た。

しかし、そのせいでジョンイの脳データは戦闘用AIの開発に使われてしまう。

女性戦士であり、アイドル戦士

ジョンイはかつて人気を博した女性戦士である。
戦線から離脱して35年経った今でも人気があるほど。

そんなに若くない女性戦士が主人公になるのも、
語弊を恐れずに言うととても『今』らしいなと思います。
すごい昔だったら女性戦士が主人公にすることはあまりなかったと思うし、
ちょっと昔だったら女性戦士が主人公になったとしても
キャプテンマーベルを代表するような『若くて綺麗で、どことなくセクシー』な
キャラクターとして作られていたと思います。

なので、今回のジョンイはヨン・サンホ監督なりの「フェミニズム」を描いたのかもしれない。

ジョンイも人気がある最強の女性戦士としてだけではなく、
『アイドル』として消費されてしまっている面も描かれている。

新人研究員として入ってきたジェギョンは、ソヒョンに
「自分はジョンイの大ファンなんだ」と伝え、ソヒョンからジョンイとのエピソードを
聞いたときは「アナザーストーリーを聞けてラッキー」と発言しています。

そんなジョンイの大ファンであるジェギョンは
ジョンイの脳データを盗んでしまい、それに気づいたソヒョンが
彼の部屋に行くと、部屋中に大量のジョンイのフィギアが置かれており
中央には等身大のセクシーな格好をしているジョンイのサイボーグが作られていた。
ソヒョンに問いただされたジェギョンは
「本社の方で家庭用として商品開発をしているんだ、こういうのも必要でしょ」と言い訳をした。

『やはり女性である限り、自分の望まないところで性の象徴として消費されてしまう虚しさは避けられない』
実際のところは女性に限った話ではないが、統計的に女性が被害に合う率の方が高いのは事実である。
綺麗な話だけでなく、このような虚しい現実も描いてくれたところは個人的には良かった。(胸糞悪いが、、、)

自分は人間だと思っているアンドロイド

『ユーモアだよ ユーモア』
このセリフが特徴的なクロノイド研究所所長のキム・サンフンは
いつも会長の言いなり。

会長もいつも『ユーモア』と言っているので
会長の発言を真似しているのかと思いきや、
実は、キム・サンフンは会長の脳データから作られたアンドロイド。

ジョンイを逃がすソヒョンを追って、ジョンイと戦って顔を負傷し
皮膚の下が鉄の塊になっているのに気づくまで
サンフンは自分がアンドロイドだとは知らず人間として生きてきた。

会長はというと、自分の脳データを使用してアンドロイドを作ったにもかかわらず
サンフンが優秀ではないことで、優秀な脳データを使用してアンドロイドを作っても
アンドロイドが優秀になるとは限らないと悟り、今まで研究所で行ってきた
ジョンイのアンドロイド製作プロダクトもやめて、戦闘用AIではなく
家庭用AIの製品開発に力を入れていくことを決める。

母は娘を想う

ジョンイが戦闘員になったのは、娘の手術費用を稼ぐため。
ジョンイが植物状態になるほどの負傷をおってしまったのは、
娘が手術前にくれたお守りのキーホルダーを戦闘中に無くしたのが気になって
集中出来ていなかったから。

ジョンイの脳データを使用したアンドロイドで戦闘実験をしている時に
脳に初めての反応が起こった。その反応を示す時はいつも以上の力を発揮し、
研究所ではその領域を黄色でマーキングしたが、
中々2度目は現れず、何に反応したものなのかわからないでいた。

次に反応が確認出来た時は、ジョンイがもう自分の最期が近いと知り
娘の手術が成功したか心配しているときだった。

黄色の反応は『母の娘を想う気持ち』だったのだ。

娘も母を想う

ジョンイの娘である、ソヒョンは研究所でジョンイの戦闘AI研究に打ち込んでいたが、
ずっと自分の病気のせいで母は戦場に出なきゃいけなくなったから
自分のせいで死んだのだと、自分を責め続けてきた。

ソヒョンはジョンイが戦闘AIになった後にも
自分の手術の結果を心配してたことや自分があげたキーホルダーを気にしてたことを
覚えていたことを知って泣き叫ぶ。

ジョンイが戦闘実験で傷つけられたり、等身大フィギュアにされたりするのを見て
もうジョンイを戦闘AIから解放することを決意する。

そして、娘というしがらみからも解放させて自由に生きていってもらうために
『黄色の反応領域を削除=娘との記憶』も削除する。

お互いを想う気持ちは消えない

娘との記憶を削除されたジョンイとソヒョンは
研究所から逃げ出し、二人を追ってくるアンドロイドの警察官やサンフンと戦う。

ソヒョンはケガを負ってしまったが
二人はなんとか勝つことが出来た。

ソヒョンのケガを心配するジョンイだったが
追手がもうすぐまた来るから心配せずに
遠くまで逃げてください。とソヒョンはジョンイに頼む。

最後にジョンイはソヒョンのことを抱きしめて、
頬をすりすりさせる。

それは生前親子二人でよくやっていた
『幸運のスリスリ』そのものだった。


SFアクション作品というよりかはヒューマンドラマと言った方が良いような内容。
アクションシーンはありますが、そんなに印象強い感じではなかったし
そこを描きたいって感じも無かったので!
正味、ラスト20分くらいまではそんなに面白くなかったです、、、

ラストは見応えありましたが、
でも想像できる範囲のストーリーではあるって感じで
話題作なだけあってちょっと残念な感じはありました、、、!

ただCGなどはハリウッド作品に追いつきそうなくらいすごかったし、
俳優さん達の演技も良かっただけに
もったいないなという感じ、、、

色々な疑問が残るままで終わってしまったので
映画の99分じゃ短かったか、、、
正直60分×4話くらいのドラマがちょうど良かったのかなと思います。

人にオススメもそんなしようと思わないし、別に2回目見たいかって言われるとそうでもないけど
見て後悔はなかったです!
話題になってなかったら見なかった作品だと思うので
このタイミングで見れて良かったです!

また、本作は故カン・スヨンさんの遺作ともなってしまいました。
55歳と若くして昨年亡くなってしまった彼女は子役時代から活躍し、ヴェネツィア国際映画祭で、女優賞を受賞するなど韓国を代表する俳優でした。
ご冥福をお祈りいたします。

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