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【#20】「好きなことを仕事にする」ために競争地位別戦略を理解しよう

<この記事を書いた人>
Kai Nishitomi
1988年生まれ。兵庫県神戸市出身。
塾講師(兼塾経営)。
「学習法を教える」ことを専門とした新しいスタイルを開拓し、プロ講師として自塾や大手塾で授業を担当。
現在は指導者向けの研修、社会人向けの学習サポート、20代向けの起業・独立支援など活動の幅を広げる。

こんにちは!今回は「好きなことを仕事にしている」または「好きなことを仕事にしたい」という人向けに、ちょっとビジネス戦略っぽいことを書いていきます。

この記事の目的

好きなことを仕事にする人の多くは、フリーランススモールビジネスで生計を立てています。さらに、職人気質で業界の動向とか戦略とかに疎い方が多いです。ちなみに僕は二つとも当てはまります。

ですが、それだとどうしても不安定で潰れやすいし、何より自分にとってベストなお客さん(自分の技術やサービスの価値を理解して購入してくれる方)に出会える確率が低くなってしまいます。

そこで便利なのが競争地位別戦略というものです。コトラーという有名なマーケターの方が提唱したそうなのですが、これに従って業界を整理していくと、自分の立ち位置や立ち振る舞いがわかりやすくなると思います。

また、将来フリーランスや独立を検討されている方が、下積みとしてどんな会社を選んでどんなことを学べば良いのかもわかりやすくなると思います。

競争地位別戦略とは

競争地位別戦略とは、簡単に言えば業界内の企業を4種類に分類してみよう。そして、それぞれの戦略を整理してみよう的なものです。

4種類の詳しい説明はpaddle design companyさんのこちらのページがわかりやすかったのでご参照下さい。
ここではざっくり書くと

1.リーダー

いわゆる「最大手」というヤツです。業界内でトップシェアを占める企業です。

2.チャレンジャー

業界内で2-3番手に位置する企業で、リーダーに挑戦し、業界内トップシェアの座を虎視眈々と狙う企業です。

3.フォロワー

リーダーの座を狙うワケではなけれど、リーダー(やチャレンジャー)と同じビジネスモデルを採用し生き残りを狙う企業です。

4.ニッチャー

業界全体でのシェア率は高くないものの、特定の市場において特別な強みを持っている企業です。

僕がいる塾業界で言えば
・誰でも名前を知っていて
・どこにでも看板があるイメージ
の塾がいくつかあると思いますが、それがリーダーチャレンジャーです。

一般の方はあまり名前を言えないけど、調べてみたら意外と教室数(店舗数)があるなというのがフォロワーのイメージ。

そして
・医学部受験専門
・早稲田/慶應受験専門
みたいなのがニッチャーです。

こんな感じで企業を整理しようというのが競争地位別戦略の第一歩になります。

下積みにオススメの企業

この中でも特に、リーダーニッチャーが何をしているのかは学びになります。
これから社会に出て下積みをするという方は、リーダーとニッチャーのどちらかから選ぶのがオススメです。

リーダーは業界内に1社しかありませんが、ニッチャーはたくさんいます。
ニッチャーの中から選ぶコツとしては
・高単価
・高利益率

のどちらかを達成している企業がオススメです。

ニッチャーは顧客の絶対数が少ない(マス層ではなくニッチを狙っているから)ので、高単価か高利益率のどちらかを達成しなければ圧倒的に不利になってしまいます。

逆に言えば、このどちらかを達成しているということは
生き残るべくして生き残っているニッチャー
ということになるからです。

リーダーから学べること

①マーケティング

リーダーつまり業界最大手の企業とは、つまりマス層へのリーチに成功している企業ということです。
リーダー企業がどんなチラシ・ホームページを作っているか。どんなメッセージを顧客に届けているか。どんなサービスをどんな価格帯で届けているかを詳細に知ることで、いわば業界内でのスタンダードを知ることができます。

②品質の均一化

最大手の企業は、大量のサービス・商品を大量の顧客の届ける必要があるので、その品質を均一化するための手法をたくさん持っています。
マニュアルが充実していたり、人材育成がシステム化されていたり、管理体制が行き届いていたり。
これを知ることも大事な手掛かりになります。

③クラシカルな手法

最大手の企業は伝統のあるクラシカル(古典的)で洗練された手法を持っていることが多いです。
長く続き、ブラッシュアップされてきた手法というのは、一見すると当たり前のことを当たり前にやっているように見えて、実は深い意味があったりします。

「守・破・離」という言葉がありますが、まずはオーソドックスなスタイルを理解し、習得しないと特別なものは生み出せません。

塾業界で言えば授業の流れみたいなところに表れますが、僕は最初に習得した授業の流れが業界最大手のものだったので、それに助けられた部分が大いにあります。

ニッチャーから学べること

①マーケティング&ブランディング

ニッチャーは自社が得意とする層に対してピンポイントでメッセージを届けなければいけません。しかも、そのメッセージには「普通のサービスとはここが違う!」という差別化ポイントをはっきり打ち出し、ブランディングしなければいけません。
その手法はフリーランスやスモールビジネスといった、スケールの小さなビジネスで生計を立てる人にとって大いに参考になります。

②高単価/高利益率のカラクリ

ニッチャーとして生き残るには高単価か高利益率のどちらかを達成している必要があると書きました(もちろん例外はありますが)。
そのカラクリも学ぶべきポイントです。
凄まじく高品質なのかもしれないし、仕組みに工夫があるのかもしれないし、人材育成に違いがあるのかもしれません。

どんなサービスがどんな価格で顧客に届いて、その売り上げはどういうふうに分配され、どこにコストがかかっているのか。
それを学ぶことができれば、自身のビジネスの参考になります。

③最先端の手法

ニッチャーの中にはリーダー企業のクラシカルな手法に対抗して、最先端の手法を武器に戦っている企業も少なくありません。

最先端の手法は最初はニッチャーとしての立ち位置からスタートして、爆発すると瞬く間にリーダーの地位まで駆け上がっていくことがあります。

塾業界で言えば、20年ほど前の映像授業。今で言えばオンライン授業やAIを用いたシステムなどはニッチャーからスタートして一気に市民権を得つつあります。

こういった最先端の手法は一度広まってから導入すると競争に巻き込まれてすごく大変です。広まる前に、つまりその手法がニッチであるうちに取り入れたり、対策を考えたりする方が圧倒的にラクです。

まとめ

さて、今回はコトラーの競争地位別戦略に基づいて、フリーランスやスモールビジネスの方が生き残っていくために、どんな企業からどんなことを学べば良いかをまとめてみました。

僕はキャリアの中で
・リーダー
・チャレンジャー
・フォロワー
・ニッチャー(高単価)

の全てで各2年以上は授業を担当しました。

それぞれから学ぶことはとても多く、はっきり言ってその学びがなければ僕はとっくに潰れていると思います。

今回はリーダーとニッチャーに焦点を当てましたが、チャレンジャーやフォロワーからの学びが少ないという意味ではありません。

あくまで最初はリーダーとニッチャーから学んだ方が効率が良いと考えただけです。

「好きなことを仕事にする」はすごく幸せなことだと僕は思っています。
その時間ができるだけ長く、できれば一生続くために、この記事が参考になれば幸いです。




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