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【本要約】AI vs 教科書が読めない子どもたち

こんにちは!本日は私が最近読んで面白かった「AI vs 教科書が読めない子どもたち」という本の紹介をします!

この本の著者は新井紀子さんはAIを開発している第一人者です。AIは東京大学合格できるのか検証をする「東ロボくん」というプロジェクトを主導している方です。

この方が、AIについて一般人が誤解している点や今後の社会で何が求められるのかを書いているのがこの本です。

さっそく解説していきます!

シンギュラリティは起こらない

まずこの本で一貫して主張されているのは「シンギュラリティは起こらない」ということ。

シンギュラリティとは「AIがAIを作り出す」ということ。AIが意思を持って人間より優れているAIを自発的に作ることはありえませんということです。

昨今は「すべての仕事がAIに奪われる」「人間は必要なくなる」などAIが神様のように扱われています。しかし奪われるものはあっても人間の仕事は残りますし、人間は必要なくなることなどありえません

理由はこれから説明します。

AIとはAI技術のことである

まずは皆さんはAIをどのように認識していますか?私はsiriに代表されるように何でもできる未来のロボットだと思っていました。

しかしあれらは正確にはAI技術であってAIではないのです。AIというのは完全に人間と同じ思考や感情を持てる知能のことです。この世に「真の意味でのAI」は存在していません。

残念ながら皆さんがAIだと思っているのは正しくはAI技術であり、自然言語処理、音声処理、画像処理など一つ一つの技術のことなのです。これを理解しておいてください。(本文ではAI技術をAIと略します)

AIは東大に合格するのか

この本の著者である新井紀子さんは「東ロボくん」というプロジェクトを主導しています。このプロジェクトは「AIは東大に入れるのか」検証しているものです。

しかし新井さんは「AIは東大に合格できるはずはない」といっています。このプロジェクトの本当の目的は「AIは何ができて、何ができないのか」を明確にすることなのです。

AIができること

先に結果からお伝えすると「東ロボくん」の偏差値は57.1だったそうです。(2016年進研模試)これはMARCH合格レベルに達しています。

東ロボくんは世界史で偏差値61.3、数学で76.2という好成績を残します。世界史は問題に対して検索を行い、出てきたキーワードをもとに回答したそうです。数学は計算機でしかないAIにとって一番の得意分野です。

ここまで見ると2科目の総合点で東大に合格できそうに感じますよね。しかし残りの英語と国語がそこまで解けなかったのです。

AIができないこと

著者は「あきらめず東大合格を目指して欲しい」といわれたそうですが、運良くても偏差値60くらいが限界だそうです。それは国語と英語の成績をこれ以上伸ばせないからです。

AIが国語と英語の成績を伸ばせなかったのは明確な理由があります。

AIは意味や常識を理解できないからです。

AIはただの計算機

そもそもAIとは計算する機械でしかありません。数学にできることは論理、確率、統計の3つです。「私はあなたが好きだ」と「私はカレーが好きだ」という2つの文の本質的な違いも数学では表せないのです。

つまり我々が認識していることを全て数式に置き換えることは不可能です。

例えば「私は先週、山口と広島に行きました」という文。これを我々人間が英訳するなら、I went to Yamaguchi and Hiroshima last week.となりますよね。しかしAIに翻訳させるとI went to Hiroshima with Yamaguchi last week.となってしまいます。

「山口と広島」というのは「山口県と広島県」のことだと人間なら簡単に理解できますが、AIには「山口さんと広島に行った」という風に認識してしまうのです。

このようにAIは意味や常識が理解できないため、模試の英語と国語が伸び悩んでしまったのです。

人間の仕事はAIに奪われる

しかし安心してはいけません。AIが得意としている数学は様々な仕事で活用できます。

例えば半沢直樹のような銀行員。半沢直樹の仕事は担保や返済能力を加味して取引相手に融資をするのかしないのか決めるローンオフィサーという仕事です。

このような仕事はビッグデータによる機械学習で、融資するか否かを出力できてしまいます。

このようにAIによって奪われる仕事は存在するのです。オックスフォード大学が出した消える仕事ランキングによると特に事務職が上位にランクインしています。

消えない仕事に求められる力

「じゃあ消えない仕事をすればいい。」と私は思いました。

消えない仕事ランキングもこの本に記載されていました。消えない仕事には共通点があります。それはコミュニケーションや理解力が求められる仕事、柔軟な判断力が求められる肉体労働などです。

東ロボくんの成績から分かる通りAIは意味を理解できないので当然コミュニケーションも取れません。

つまり人間は読解力があれば仕事をAIに奪われることはありません

現代の日本人は読解力がない

そこで日本の中高生2万5000人に基礎的読解力を測るRSTという問題を解いてもらったそうです。

例題:「エベレストは世界で最も高い山である」この文が正しいとき、次の文に書かれたことは正しいか。「正しい」「間違っている」「判断できない」の3つから選べ。

エルブルス山はエベレストより低い

正解は「正しい」


このような簡単そうな読解力を測る問題を解いてもらったところ約3人に1人が解けなかったのです。このような3択の問題は適当に回答しても3割正解します。相当読解力がないことが分かります。

このような読解力がないと教科書や文章問題もまともに解くことができません。今の中高生は意味を理解できないAIと大して変わらない読解力なのです。

AIに代替される能力

中高生はコピペでレポートを書いたり、暗記だけで定期テストを乗りることが多いでしょう。そうして培われた能力は全てAIが代替できてしまうのです。

何度も言うようにAIが持っていないのは読解力です。読解力を獲得しない限りAIと共存する世界では生きていけないでしょう。

読解力はどのように養われるか

しかし読解力を養う科学的な方法はまだわからないそうです。読書習慣、学習習慣、得意科目、などをアンケートに取ったものの読解力との相関関係は見られなかったそうです。

ただ確実に言えることは、いくつになっても読解力が伸びる人はいるということ。著者とともにRSTの開発をお手伝いした方は、元々論理的に文章を書くことが苦手だったそうですがRST開発をしているうちにみるみる文章力が向上したそうです。この方は38歳です。いくつになっても読解力は伸びるのです。

AI世界恐慌が起こる

もしこのまま読解力のない人が増えてしまえば、AIがどんどん仕事を奪っていき読解力のある人以外が職を失ってしまうAI世界恐慌が起こりかねません。

人手不足な企業が沢山あり、求職者もたくさんいる。しかし求職者は読解力がないから採用できない。そうして日本が沈んでいくかもしれません。

人間は人間らしく意味を考えて生きていくしかないのです。計算はAIに任せて人間にしかできない仕事をしましょう。そのために読解力を意識していくべきなのです。


最後に

要約なのに長くなってしまい申し訳ありませんでした。それだけこの本に書いてあったことは興味深く、心に残ったのです。

かなり売れているビジネス書ですので皆さんも一度読んでみてください!

本日もありがとうございました。よろしければフォローとスキよろしくお願いいたします!






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