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【短編ホラー小説】短夜怪談「黒いマニキュア」

友人は、最近学校にいる間、決して一人でトイレに行かない。私が行く時にだけ、ついて来る。
「何で一人で行かないの?」
「一人で行くと気持ち悪いもの見るから、嫌だ」
「気持ち悪いもの?」
「トイレに行くとさ、奥の個室が閉まってて、ドアの上から手が、指先だけ出てるのが見えるの。爪に真っ黒なマニキュアしててさ。それがとにかく気持ち悪い。いつも誰もいないし」
休み時間は毎回必ず見たので、ある時わざと授業中に行ったところ、やっぱり黒いマニキュアの指先を見た。それ以来、一人でトイレに行くことを止めたらしい。
「複数で行くと見ないし。それにさ。最後に見た時、ただ出てただけの指先がドアを強い力で掴んでた。間違っても、出て来るとこなんか見たくないじゃん」
そう言って、友人は疲れたように笑った。

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