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【短編ホラー小説】短夜怪談「靴紐」

「おかしいなあ〜」
運動場で、同級生のAがしきりに首を傾げながら、屈んで靴紐を直している。
「さっきから、何回も靴紐直してね?」
違う同級生のBが、Aに笑いながら声をかけていた。
「そうなんだよなあ~きつめに結んでるはずなんだけど」
やがて立ち上がり、二人連れ立って駆けて行く。さっきから、地面から生えた一本の手が、直ったばかりのAの靴紐を解いては消え、直されたらまた解いては消えることを繰り返しているのを見ていた。だが、説明に困るので結局教えていない。  

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