【短編ホラー小説】短夜怪談「廃墟の警備員」
あるスーパー跡地に肝試しに行った。
何の云われも無いただの廃墟だから、実のところ肝試しもへったくれもない。時間も、そろそろ夕方に差し掛かるかという昼間の時間だ。明るい。いかにも地域密着型のスーパーだったと思しき建物に物は無く、薄暗いが無数の棚が朽ちているだけ。諸行無常ってこういうことかー、なんて柄にも無いことを考えてぶらぶらしていたら、不意に目の前が明るくなる。顔を上げたら、警備員の制服を来たおじさん。懐中電灯をこちらに向けられていた。眩しかったのは、その光。
「君、どうした