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日本の教育はダメじゃない〜国際比較データで問い直す〜を読んで学びになったこと箇条書き



ピザというOECD主体の世界80ヵ国の子供の学力を比較できる指標がある 本部はパリ
OECDは1961年に発足し、日本は1964年に加盟
子供のレベルを測るときに学力を使う理由は、測りやすいからというのと、答えが違うことがないからという、国際的な文化の差異がなく共通の基準として設定しやすいということがある
学力は大事かもしれないが、誰か喋ってる時に静かに聞くことができるとか、決まった時間に集合場所に着けるとか、そういうのも大事なのに学力を子供のレベルを比較するときに使う理由はここにある
だから学力だけが大事ということではないけど、学力でレベルを測っている
20世紀型学力→教えたことを覚えているか
21世紀型学力→教えたことを臨機応変に活用できるか

この結果では日本の教育がダメだと言われてるのはちょっと不思議
シンガポールと日本、学力を上げるのに苦労するレベルが違うからシンガポールには勝てなそう→面積人口が東京23区より小さい国と日本全国
シンガポールの国公立中学の数は200程度、日本の国公立中学の数は2万程度、この2万のなかには都会もあれば田舎もある
ゆとり教育はただ単純に学習時間を削ったのではなく、総合的な学習を取り入れ、21世紀的な学力向上を図ったことの功績もある
2010年以降、学習時間はゆとり教育の前の水準に戻ったが、総合的な学習は削られていないので2010年以降とゆとり教育以前は同じとは言えない

数学理科は健闘しているが、読解力という点だと日本はワンランク成績が下がる
東アジア諸国の教育は21世紀型の学力をつける教育にも成功していると言っていい結果になっている
中国(北京上海江蘇浙江の4地域、合わせたら日本より人口多い)が全部一位を取っていてスゴイ
20世紀型の知識をつける教育と21世紀型の創造性をつける教育はこの2つのテストの結果により、知識がないと創造性もつかないということを表しているようにも見えるので、知識じゃなく創造性を育もう!という日本の教育指針はちょっと危うい

2012年のピザから創造的問題解決という科目のテストも行うようになった
取扱説明書がない状況でリモコンを操作してエアコンで部屋の温度湿度を快適にできるかみたいな問題が出る
明瞭な答えがない問題に対して自ら実施して問題解決に導く能力を測ろうとしている

創造的問題解決のテストでも日本を始め東アジア諸国の成績は欧米教育よりも良い
2015年から協働的問題解決のテストも追加

協同的問題解決テストの成績も高い

頭のいい子と悪い子の格差も日本は少ない
韓国は日本よりも格差がありそう

OECDで日本より社会階層関係なく教育を行なってるのはアイスランド、エストニア、ノルウェー、ラトビア、カナダ、トルコ、イタリアくらいでそれ以外は日本と同程度かそれ以上に不公平な教育格差がある

2000年にピザを受けた子供が2011年にまたテストを受けても日本はトップレベルの成績だった→あまり勉強しない大学生を経て大人になっても頭が悪くなってない
逆に韓国、ニュージーランドは小さいころは勉強できたけど大人になると勉強できなくなってるということがわかってしまった

ゆとり教育は2002年から小中学校で始まり、小学校2011年、中学校2012年、高校2013年に終わった

15歳でテストを受けているので、小中学校9年間ゆとり教育を受けたパーフェクトゆとり世代のテストの点数は2011年~2013年のテストの点数なので、パーフェクトゆとり世代はゆとり前の15歳と同じくらいの成績になっている→それなのにゆとり世代は下に見られるのはおかしい?

日本人がピザやティムズの成績がいいからといって必ずしもそれが正しいわけではない
だから成績が悪いことを取り上げたり、成績が良いことを取り上げてもそれは絶対的な真実ということにはならないので注意が必要
ピザの読解の問題は欧米目線で作られているので、数学理科のように文化が関係しないものではないから、欧米人がスッと読みやすい文なのかもしれない

成績が世界に比べて高水準な日本の学生は学生生活を楽しく過ごしているのか??

日本の学生は他と比べて猛勉強してる割合が低いにも関わらず、学力テストの成績は韓国台湾レベルくらい良い成績をとってる

日本はオランダ、ニュージーランドと同じくらい勉強時間が少ない
1990年代は大学志願者の4割が大学入れなかったが、今は1割以下になっているくらい大学入学が簡単になった

日本人は思っているほど外国人から礼儀正しい、真面目だと思われていない
逆に思ったより知的で友好的だと思われている
塾に通い出すのは中学2年で半分、3年で3分の2になる
だが、小学4年の時点で日本の学力テストの成績は高いので塾通いのおかげで日本人の学力が上がっているとは言い難い

90年代にアメリカの教育研究者が教育レベルが高くないアメリカと教育レベルが高い日本の学校教育の差異をまとめた本を出した

大人になった後の学力も良い日本人
この結果から受動的な旧来の日本の教育は一概に悪いとは言えない

日本の学生は数学に対する興味は世界と比べると圧倒的に低いが、数学の成績は優秀→日本の数学教育は良い成績を収めている
能動的な教育だと自分が好きなこと以外のことは身につけにくいが、ある程度強制力を持った受動的な教育は勉強していくうちに面白さを見つけることができるので難しい学習内容も解けるようになる人間が増える

数学に対する自信がないけど学力は数学に対する自信のある国より高い→自信がないからこそ数学を頑張ろうとしているのでは
欧米人は失敗すると頑張らなくなるが、日本人は失敗すると一層頑張る傾向にある
日本人は自己を変えられると思っている、欧米人は自己は決まったものと考えている→自分を変える仏教的精神と、神の教えに従うもしくは神が決めた身分で生きる一神教的精神が関係してる??

教育の質でよく注目されるフィンランドの学生は日本の学生よりも学校が楽しいと思ってる割合が低い

学校を休みたい人は多いが、退学したい人は少ない
学生に対する学校の在り方という面では日本の学校は良いレベルになっている

日本の中学は他の国と比較したら比較的いじめは少ない方
欧米には学校に行くのが望ましいと必ずしも思われていないので、「学校に戻ってくるかもしれない不登校」という状態があまりなく、もう既に退学する、ドロップアウトしているという状態が多い

日本の高校卒業率は高い
留年をできるだけさせないという日本の独特な思想はあるが、このデータは一定の価値はある

10代の自殺率は世界の中でも上位ではない→学校が子どもたちにとって死にたくなるほど辛くなる率は高くない(低くもない)

日本の子供の肥満率は最低レベルに低い

日本は体育の授業が多い
ハンガリーは体育の授業数一位→オリンピックで小国ながらメダルいっぱい取ってるのは国の政策??

日本の学校教育はまあまあマシだと理解できずに改革を進めると、良い部分を削ぎ落としてしまい余計に環境が悪くなるから注意すべき
より良い学校教育にするためには
保護者、先生、教育関係行政、教育研究者それぞれに的確な働きをしてもらうこと

保護者→落ち着いて「安定した不安」を持とう
メディアは記事を出すことで社会的議論を喚起させる役割がある、そして記事を書いている教育研究者は批判をしないとお賃金がもらえないので批判的にならざるをえない

保護者は学校の先生に対しては比較的満足しているが、学校の設備や人員のことに対してになると満足していないが上回る

先生、教育行政→日本の学校教育のレベルの高さに気づこう
先生は胸を張って仕事を続けてほしい
日本で優秀な先生でもアメリカでは違かったり、アメリカでは優秀でも日本では違かったり、文化や習慣の要素が絡んでくるから先生の能力を測る指標作りは難しい

日本の先生の数理的能力、読解力は世界最高レベル

しかし、労働時間は他国より頭一つ抜けて高い
こんなに忙しいのに生徒から悪い印象は持たれていないくらい生徒とコミュニケーションとれているのはスゴイ
これからの教育改革はレベルの高い学校の先生のレベルを維持しつつ労働環境を見直す方針にすべき
教育行政関係者は保護者と同じでもっと落ち着いて安定した不安を持つべき
OECDのピザテストを執り行っている団体が日本の教育の維持を求めている声明を出したほど、日本の教育は一流の先生と家族の助力があると高い評価を得ている
授業研究という日本が発明した海外が参考にするくらいの良い習慣があるにもかかわらず、アクティブラーニングを導入すべきと自分より成績が下の国の教育制度を導入する文部科学省は、もっと俯瞰で自分の国と世界をみるべき

しかし文部科学省も経済界や政界の圧力を受けているので同情できる面もある
経済が芳しくないのは教育のせいだと言われてしまい政界も乗ってくることがある
景気が良くないと学校教育はダメだに陥りがち
「経済が成長しないとだめな社会」を作ってしまったのがダメなのでは、経済を成長させるために人間は生きているわけではない
ピザのテストで日本の成績がいいことからもわかるように、日本は21世紀を生きる能力がある人材を作ることに関しては成功している→優秀な人材をうまく使えてない経済界が悪いのでは?

教育研究者
アメリカに完膚なきまでに叩きのめされた戦後、アメリカに追いつけ精神で日本のさまざまなルールが決められた。
アメリカとの差があるときに教育学会ができたのは重要なポイント。
教育系の人間は追いつけ精神をまだ保持しているから今もなおアメリカイギリスの教育政策を何かあれば輸入したがる
教育研究者は欧米の教育政策を導入したら導入した後のことを考えてない。欧米ではその政策が下火になってることにも気づいていない。

日本の殺人発生率、乳児死亡率はOECDで1番低い
日本人の教育研究者は外国の学会なり、外国に対して論文を書くなど、自国の教育環境を発表することをあんまりしていなく、内々にこもってる人ばかり
もっと自信を持って教育政策について外国人と一緒に議論をすべきなのにしてない→そんなんで何が「教育研究者」なのか


感想
何だかんだでバランスが良いんだろうなと思った
極論自分達で改善ができれば評論家とか外野はいらんよな
賢い不安を持つようにしよとおもいました

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