N響×尾高忠明×カティンの墓碑銘
書いておかないといけない、などと、勝手な使命感で記しています。
戦争のことも、N響のことも、なにも詳しくありません。
ただ、小さなころから、忘れたように過ごしながらも心の隅の方に『伝え聞いただけの第二次世界大戦』を携えながら、気が付けばそれに関連した少女小説を一作、書き上げていました。
何かに取り憑かれたように、『そこ』へ向かうように。
そしてやがて角野隼斗に惹かれ、追いかける中で知った異国の『カティンの森』という事件もまた、私を『そこ』へ向かわせるのでした。
角野隼斗がYouTubeで使っている名前『Cateen(かてぃん)』に似ている『Katyn』……。避けて通れるはずもなく。
無知だった私は約2年前、偶然に知ったカティンの森のことについて少し書いていて、かてぃんさんからも少しだけですが、お話を伺うことができました。(こちらに書いてあります)
その後、ぼんやりとしか知らなかったポーランドの歴史に浅いながらも触れ、これまでとは違った想いの中、ポーランドで開催されたショパンコンクールの配信を鑑賞しました。
それから、昨年9月に行われたポーランドのオーケストラとの共演ツアーで演奏され知ったポーランドの作曲家バツェヴィチの『Overture』も、同じ戦火の中で生まれた曲でした。(ツアーの感想はこちらとこちら)
時は流れ、今は2023年。
ここでまた、私の前に再びカティンの森にまつわることが。
角野隼斗のファンで、古くからN響の大ファンであるフォロワーさんが、N響のお知らせをしているツイートに気がついたのです。
そこには『カティンの墓碑銘』と書いてありました。
作曲家はポーランドのパヌフニクという方。
私はあまりTLを見れていないので、お知らせに気付くことは稀。
稀な機会がたまたま『カティンの墓碑銘』だったのは、ただの偶然だったのでしょうか。
そもそも、2年前からのポーランド検索では行き当たることのなかった曲が、今になって浮上してきたことも、きっとタイミングなのでしょう。
単に私の勉強不足、探求不足でもあるのかもしれませんが……。
お知らせの内容は、定期演奏会の生放送をNHK-FMで行うというものでした。
ラジオの放送時間は、夕食の時間と被る午後6時から。聴ければいいけど難しいかも、などと思いながら、日常の育児を分刻みでこなしていくうちに、オンエアーになるころには放送のことが頭から離れてしまっていました。
それでも早くゲームに戻りたい子供たちが速攻で食べ終わり、夫も帰宅前で、7時前にはPCの前に戻ってこれました。
そこでTwitterを見ると、カティン、の文字が。ああそうだ! と直前に思い出すことができて、NHKのラジオサイト『らじる☆らじる』を開きました。
直前も直前でした。つけたらすぐに『カティンの墓碑銘』が始まりました。
あっというまの短い曲でした。
けれど大曲でした。命を込めた曲というものは、聴く方も命を差し出したような疲労感を伴います。
でもやはり聴けてよかった。
その後の『管弦楽のための協奏曲』も素晴らしい曲と演奏でした。
この曲を作曲したのもポーランドの作曲家でルトスワフスキという方。
公演の概要に『父・尚忠とその友人たち』と、ある通り、指揮の尾高忠明氏のお父様と『カティン』のパヌフニク、そしてルトスワフスキという、3人の友情を繋げたプログラムなのでした。
公演のお知らせがYouTubeにあり、尾高忠明Mo.の優しくも熱いお話が聴けます。
既にお気付きの方も少なくないとは思いますが、N響、尾高忠明といえば、7月のN響オーチャード定期では、角野隼斗がソリストを務めることになっています。
お父様である尾高尚忠氏と深い親交があり、Mo.自身も交流があったというパヌフニクが作曲した『カティンの墓碑銘』は、氏の中でも特別な曲のひとつであると言っても間違いではないでしょう。
この曲を、共演前の今、このタイミングで知ることができて本当に良かったと心から思います。
ずっと戦争を抱えて重苦しい気持ちで彼らを捉える必要はないと思います。これは彼らのほんの一面に過ぎないと思うからです。
けれど、この一面は、『かてぃん』の名を持つ角野隼斗のファンとして、知っておいた方が良い面であると、思うのです。
だから知れてよかった。そして知って欲しいと思い、書いています。
放送は聴き逃しがあるので、ぜひ聴いていただきたいです。
期限は2023年2月11日(土)午後8:15まで。
聴き逃しを逃した方はこちらを。(※Polish Radio Symphony Orchestra, Warsawは、かてぃんさんと共演したNOSPRとは別団です)
そして。
明日も同じプログラムで公演があるようです。
私は遠方なので行けませんが、見たところまだお席に余裕がありました。
会場は東京・渋谷のNHKホールです。
お近くの方、ぜひ足を運んで生の音を聴いてほしいと思います。
聴き逃しで通して聴けましたが、どの曲も尾高Mo.ゆかりの曲目とあり、オケもかなり気迫ある演奏でしたし、ソリストの宮田大さん(かてぃんさんとはピアソラでご一緒でしたね)も素晴らしいです。(私が言うまでもなく)
第1977回 定期公演 Aプログラム
2023年2月5日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]お昼の公演です!
↑このページの曲解説も必読です。
下の方の『ポーランド民族の魂に触れる。2023年2月A・Bプログラムの背景を探って』は特に特にです。(むしろ貼ります)
(備忘録で自分のツイ貼っています)
あとこれも読んでくださっている方には何の関係もないことですが……。
今回のことがあって、カティンの森の事件について書いた記事を見に行くと、日付が7月8日でした。つまり、ご本人がこのことについて話した日。
そして今年、角野隼斗とN響尾高の共演があるのも7月8日。
この、偶然にしては出来すぎている一致に驚いて、今回のnoteを書くことにしました。
※公開後、期限の切れたもの聴き逃しリンクなどを外したりなど、修正をするかもしれません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
20230223追記
Wikipediaに曲のことが追記されたようです。
ふと見にいって、曲名が記載してあったので(え?ここに前から書いてあったのに私は気付かなかったのか?と自分の頭を疑いながら)更新履歴を見たところ、最新の変更で追加されたようでした。
日付は2月5日。放送の翌日ですね。N響尾高の影響はやはりすごいです。
20230508追記:Eテレ【クラシック音楽館】でも放送されました。
クラシック音楽館 N響第1977回定期公演(5/14(日) 午後11:00 まで)
番組の中で尾高Mo.がお話をしてくださる場面があり、その中で、
「正直、この曲はやりたくなかった、名前も聞きたくない曲だけれど、日本人のあなたがが選曲したということを皆で話し合い、この機会を逃したら一生演奏しないだろうと」と、ワルシャワフィルの当時の心境を語っていました。(上記してあるN響のページでも少し語っていますが、もう少し踏み込んだ感じです)
日本人、というニュアンスが「ポーランド人ではない、当事者ではない人」なのか、それとも「ポーランド人ではないけれど同じ戦争で悲惨な目にあった当事者」なのかはちょっと判断つきかねるニュアンスでしたが、とにかくポーランド人ではない人間がポーランドの惨事を知り、そして素通りせずにいてくれた、そのことが彼らの心を動かしたのだと思いました。
前の記事を書いた時にも散々迷っていたことなのですが、「角野隼斗、かてぃん、とカティンの森を関連づけるような話題は避けるべきではないか」と今でもまだ迷いがあります。
彼の音楽性と、事件とは何の関係もありませんから。
やはり思い出したくない、触れたくないという人もいると思いますから。
ただ、やっぱり、この尾高Mo.のお話からも感じるように、当事者には、「忘れたい」と「忘れてほしくない」が同時に存在している。
それから当事者ではない人間が「知っている」ということの安堵や喜びのような感情も。
かてぃんさんご本人は、敢えて口にしないように過ごしていると感じます。
だからこそ、ポーランド人でもなく戦争経験者でもなく、「かてぃん」の名を持つ本人でもないという、いちファンという場所から「知っています」と発信することは無意味ではないのではないかと、改めて思うことにしました。
というわけで、ポーランドと無縁でない尾高Mo.と角野隼斗がポーランドの曲(ショパン)を共演するということに、奇跡や強い縁を感じる気持ちで追記してみました。
追記でお伝えしたいことは、
読んだら、こんな記事の事はすぐに忘れてください。
ということです。
ただただ「知っている」だけでいいのです。
20231023追記:7月8日のN響尾高×角野隼斗のショパンがYouTubeで公開されました
2024.7追記:かてぃんさんの世界デビューを受け、このことをファン(と本人が)知っている、ということが、もう少し広く伝わっても良いのではないかと考え、タグなど追加しました。
それから、投稿当時は記しませんでしたが、実は、この投稿をした直後、リンクを貼ったTwitterにN響公式さんから「いいね」があったことも追記します。
ご存じの方もいると思いますが、N響公式さんは基本的に関係者にしかいいねをつけていません。ごく稀に会場に訪れたお客様にいいねしていることはありましたが、本当に稀で。
なのでとても驚きましたが、共演前に書いたことで伝わったものがあるとすれば、やはり書いてよかったと思いました。
時折、この名に対して事件を連想し困惑している方の投稿を見かけます。なので、そういう意味でも、もう少し広く伝わってもいいのかなと。
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