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角野隼斗のバルトークを聴きに行ったら下野竜也のフィンジにハマってしまった話

2023年の夏、日本の夏、角野隼斗の夏はバルトーク祭り!
6月7月の短期間にピアノ協奏曲第3番を4回演奏します。

6月は下野竜也指揮・日本フィルハーモニー交響楽団との共演。
杉並・大宮と2日間連続で行われたうちの2日目、大宮公演へ行ってまいりました。

日本フィルといえばですよ、角野ファンは足を向けて寝られない、あの! 日本フィルです!
2018年にかてぃんさんがグランプリに輝いた『ピティナ特級のラフ2』の共演オケですよ! そしてかてぃんさんのYouTubeチャンネルにあがっている『ラプソディー・イン・ブルー』のオケでもありますよ!

個人的に下野竜也マエストロは私が小説家を目指すきっかけになったNHK大河ドラマ『真田丸』の指揮者様であらせられ(日本語w)、かてぃんさんと共演が決まった時にお名前でリンクして興奮してしまいました。
真田丸でも描かれた『犬伏の別れ』は下野(しもつけ)で今の栃木なので、栃木民としてもなんだか親近感。下野Mo.は鹿児島ご出身のようです笑
鹿児島といえば、かてぃんさんのお父様が鹿児島でしたよね。角野隼斗の『隼斗』は『薩摩隼人』が由来だとか。

ソニックシティは今年の2月にリニューアルしたばかりで、新築みたいな匂いも気持ちよかったです。

本編は長くなるので先に雑な感想を。
かっっっっっっっこよかった!!!!!!!
あとめっちゃ楽しかった!!!!!!!

今回、タイトルの通り、他のプログラムもすごくよくて、思いのほかバルトーク以外の文章が膨張しています笑(約1万字あります、読むの大変かも)

2023年6月30日(金)19時開演 
大宮ソニックシティ大ホール
日本フィルハーモニー交響楽団 第138回さいたま定期演奏会
『大自然との対話』
フィンジ:前奏曲ヘ短調(弦楽合奏)
バルトーク:ピアノ協奏曲第3番
ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』

なお、オケアンコール含め配信あり。※有料(角野隼斗部分はナシですが、オススメ!)


コンサート前の話(読み飛ばし推奨)

大宮ソニックシティは遥か昔のバンギャル時代に何度か訪れた場所。クラシックのコンサートをここで聴くのは初めてだけど、知っている会場だし東京に行くより近いことで、遠征感少な目の気軽な感覚で臨みました。

天気予報は曇り時々雨。でもかてぃんさんは台風を避けてツアーやれちゃう晴れ男、当日も地元を出る時には降っていませんでした。傘、どうしようかなぁと思いはしたものの、1時間予報にしっかり雨マークが並んでいたので、長傘を持って出かけました。折畳みはバッグの中を圧迫するのと出し入れが面倒なのであんまり好きじゃなくて。
結果、大宮も傘をさすほどには降っておらず。帰りにちょこっと降ったくらいで、傘の出番ほとんどナシでした。持ってたから使ったけど、程度。
今度コンサートに行くときは、晴れ男の角野隼斗を信じて(笑)出がけに降られてなかったら傘は持たずに行こうと心に決めました。

さてそんな微妙な空模様の中でしたが、ちょっと余裕を持ちすぎて17時前には大宮についてしまいました。
開演は19時……2時間以上空いている笑。

会場の近くでお茶しようかな、と考えたとき、かてぃんさんがNYに部屋を借りた話の中で言っていた『大戸屋』の存在を思い出しました。
大戸屋は独身時代に私の胃袋を満たしてくれた飲食店のひとつ。一時期は『にいむらのとんかつ』『ねぎしの牛タン』『大戸屋のチキンかあさん煮定食』ばかりをローテしていた時期もあるほど通い詰めていたので、話題が出たとき懐かしくて食べたくなったんです。でも今の近所にはないんですよ。最寄りで宇都宮です笑。
そこでチャンスとばかりに大宮駅なら! と検索したら反対側の東口に店舗がヒット。記憶とスマホを頼りに一旦ソニックシティを目視して、迷わないことを確認してから、いざ大戸屋へ。

ちょっと異世界っぽさある通りに昔と変わらない青い看板を発見。


チキンかあさん煮定食。マンハッタンで食べようとすると4000円くらいするらしい。

実に12年ぶり。いや13年かも? 干支一巡しちゃってます。
久々すぎて注文がタッチ方式になっていましたよ。いつからかな? コ口ナ禍で導入したところも多そう。
10年以上振りに食べた「かあさんの味」……沁みました。

大戸屋でニューヨークセレブ気分を味わったところで(笑)ほどほどの時刻に。
まだ余裕な時間だったけれど、他に何かするにはハンパなので来た道を戻って会場へ向かいました。

30分あればヒトカラでPenthouse歌ってくればよかったかなとか後で思ったし、大戸屋の話をTwitterで呟いたら「ネカフェでビジネスクラスごっこもやれそう」とリプがきて、しまったそのテがあった! と小さな後悔。
※かてぃんさんが先日はじめて予定外にビジネスクラスでフライトすることになり、曰く、ネカフェで疑似体験できるとのこと笑

次回のコンサートで時間があったらヒトカラでPenthouse歌うのと、ネカフェでビジネスクラスごっこ、やろうと思います。(野望)

では、コンサートの感想へ。。。

会場に飾られた盆栽。下から覗くと大木の下にいるよう、と解説のあった樹齢120年の山もみじ。
プログラムとも関連する趣き。

フィンジ:前奏曲ヘ短調(弦楽合奏)

オケメンの皆さまが入場するとき、満席の会場を見上げて「うわ~」って笑顔になっているのがすごく嬉しかった。

この曲は全く何の予習もしていかずに聴きました。
日フィル、弦が粛々と揃っていて素敵。深い海の底に沈んでいくような、どうにもできないやるせなさと、天に召される幸福な救いが同時にやってくる、厚みのある演奏でした。
死生観、戦争の空気も感じて、先日行われたチャイコフスキーコンクール参加者の想いを寄せた文章を思い返したりして、音楽の世界にも早く平和が戻りますようにと、祈るような気持ちで聴きました。
あとで読んだパンフレットにも、身近な人々の死や第一次世界大戦のことが。

映画音楽のような今っぽさもあって、帰りの新幹線の中で検索していたら、フィンジって最近の作曲家なんですね。(そこからかい)
1901年7月14日生まれとのこと。あれ、714……
かてぃんさんと同じ日!
これは偶然なのか、それとも下野Mo.がお誕生日のこともご存じで選んでくださったのか、気になります……!

フィンジさん、検索途中で下野Mo.がチラチラ出てきて、どうやら下野Mo.はよくプログラムに取り入れているようでした。
下野Mo.オススメのフィンジ、とても気に入ったのでいろいろ聴いてみています。
ビートルズや今のポップスにも通じるようなセンスも感じたり。ガーシュウィン、プロコフィエフ、バルトークとかより若い人なので当然と言えば当然かも。

未完成のピアノ協奏曲から緩徐楽章だけ独立して残っているという曲もあり、これも今の作曲家が映画音楽で作りましたって言われても私は信じちゃいます。年代的には近代作曲家になるのかな? でも歌メロがめちゃくちゃ今っぽい。というかバロックと近代が混ざるとすごい今っぽさありません?

フィンジの前奏曲を聴いたときも、バッハとかバロック(私はバロックの解像度が高くないのでたぶんルネサンスとかもごっちゃになっています、要は教会系とか)の香りがそこかしこに漂っているように感じました。
帰宅しながらの検索でフィンジがバッハに傾倒していたらしいと知り、やっぱり誕生日のことと併せてプログラムにフィンジを組んだ意図をマエストロに伺ってみたくなりました。

だって、このタイミングですよ。
もちろん、イギリスの田園に住まい、作曲をしながら造園をしていたという『田園繋がり』であることはパンフレットにも記載がありましたが(ちなみに希少種のリンゴを絶やさないように尽力したとかいうレベルの偉人)、下野Mo.は、角野ファンが今年のツアー『Reimagine』で角野船長の案内でバッハやバロック時代と現代を繋ぐ宇宙を旅してきたことをご存じなんでしょうか。知ってるか。
下野Mo.が以前行ったイギリスプログラムについてのトークの中ではアデスのお名前も出てきます。ソリストについて演奏経験など確認するのはきっと普通のことだと思うので、ツアーのことも、昨年アデスのピアノ協奏曲を日本初演していることもご存じでしょう。BBC Promsのことなども。そういう意味でもイギリスに縁があるフィンジなのかな、と、勝手に妄想。

角野ファン、とか大きく括るのは良くないかな。少なくとも私個人は、下野Mo.が角野隼斗の音楽性を深く理解して、その音楽を摂取しているファンに「角野隼斗が好きなら、きっとフィンジも気に入ると思うよ」
とオススメしてくれたのかな、と感じました。

この曲とかもう……どこ切り取っても角野隼斗が弾くやつじゃないですか。
というかやりましょう、ソリスト角野隼斗でやってくださいマエストロ! エクローグも聴きたいです! 角野隼斗は勢いある曲もかっこいいですけど、コンチェルトの緩徐楽章が実はめちゃくちゃ素敵なので!


バルトーク:ピアノ協奏曲第3番

『大自然との対話』、2曲目はいよいよ角野隼斗のバルトークのピアノ協奏曲第3番。
第二次世界大戦中にアメリカへ亡命したバルトークですが、この曲は晩年アメリカで作曲され、故郷であるハンガリーの美しい自然や民族音楽への郷愁が描かれているとのこと。
猫や様々な動物、鳥の鳴き声をたくさんスケッチしていたというバルトーク、この曲でも2楽章で様々な虫や鳥の鳴き声を聴くことができます。

ところで、2楽章に出てくる特徴的なフレーズから推察されている鳥『ワキアカトウヒチョウ』は故郷ハンガリーではなく、療養地のアッシュビルで出会った「聞いたことのないコンサートを開く」鳥のようです。(参考:英語
少し調べてみると生息域が北米に限られていて、他地域に住むことができるとしても、その北限はヨーロッパならブルガリアくらいまでで、ハンガリーには住めなさそうなんです。(近縁はもっと広範囲にいるっぽい)
奥様が弾くことを想定して作曲したというこの曲、ハンガリーの郷愁だけでなく、アメリカでの自然観察日記、のような思い出の記録も含まれているのかもしれないなぁ、でも終わり方とか嘘っぽいくらい派手で、歌舞(傾)いているというか、現実を織り交ぜたフィクションなのかもなぁ、などと思ってみたり。あ、でも最後は本人の譜じゃないとかなんとか。またいつかもう少し掘ってみたいと思っています。

さて、角野隼斗のバルトークといえば。
『僕は分かっていた。自分はバルトークとか弾けばいいことを』
という、倒置法のお手本のような名言があります。
かてぃんラボ(YouTubeのメンバーズコンテンツ)内での、ビートのある曲も好きだからやりたいが演奏機会があまりなく、オファーがあって嬉しいという話の中での言葉でした。
演奏と共に後世まで伝えていきたいですね。

昨年の4月1日、フジロックやらブルーノートやらと、エイプリルフールにしては手の込んだ情報解禁の嵐に驚かされる中での『代演』。

この時の共演が7月のハンブルク交響楽団とのご縁に繋がっているのですが、その話はまたそのときにするとして、とにかくこのときから角野隼斗のバルトークを聴きたくて聴きたくて。

1年越しに叶ったこの機会、本当に最高でした。かてぃん語録的に言うなら『Finally,』ですよ! というかなんでも1年で叶えてくれちゃうんだな!笑

この日まで、アルゲリッチやほかにもいろんな人の演奏でバル3を聴いていましたが、実際に聴いた角野隼斗の演奏はそのどれとも違っていました。
今までの本人の印象とも違う、また新しい角野隼斗の音楽でした。
まったく、毎回、最新Ver.になるかてぃんさん、どうなってるんでしょうね! ついていくの大変すぎます。また最新が最高を更新していましたよ。

回を重ねるごとにソリストとしての華もどんどん増して、まだまだ膨張する宇宙なんだなこの人、って眩しさハンパなくて困ります。

第一楽章
下野Mo.が束ねる纏まりの美しい弦楽器が先導して曲が始まると、かてぃんさんが優しいトーンではじめの特徴的なワンフレーズを奏でる……。
その音色の行方を追いかけるように何度も見上げては笑うかてぃんさん。
シャボン玉が空に向かっていくのを見ている子供みたいな。
私も一緒になって、音のシャボン玉を追いかけました。
淡くて、でも芯のある音が、生まれて昇って、また生まれて。

普段、あまり演奏している表情には目がいかないほうなのだけど、この日のあの表情は反則でした。
かてぃんさんはグランドピアノになったみたいな全身黒の装いで、2列目の大屋根越しに顔だけ見える席でした。
1列目の人との並びの関係で足は膝までしか見えず。

もうね、かてぃんさん、音が出るたびに破顔するんです。
初めてピアノに触れて「わっ、音がでた!」ってなる子供みたいな新鮮な驚きの表情。
あなたがいつも触ってるピアノじゃないですか、ってツッコみたくなるくらい、初めての顔をするわけですよ。
でもすごく分かる。なんて音。
ピアニストは自分の楽器を持ち歩かないのが普通なので、会場ごとに違うピアノに出会うんですよね。
こんなに楽しいピアノの音ってあるんだ。と私も驚きました。
綺麗でかわいらしい音たちが、いくつもいくつも生まれて。
ああもう! 語彙力が、あの音色に追いつけません!
音は減衰してどんどん消えていくはずなのに、楽しさが消えなくて、シャボン玉だった音は次第に力強くゴムと金属でできた鞠になって(なんだそれ、新素材すぎる)ピアノの響板のあたりからポーンポーンと弾んで客席に飛んでくる感じがしました。

ピアノそのものも、ハキハキと朗らかで、歌うのが大好き! という感じの明るい性格だなと思いました。ショパンツアーで訪れた山形テルサのピアノとちょっと近いかなと思い出したり。(そのときの感想)あと、デッド(響きにくい)とも言われがちな多目的ホール系の逆に好きなところ、ホールに演出されない、奏者の弾いたままの音がダイレクトにこちらへ向かってきて、ピアノの性格やお天気、セッティング位置などなど、きっと様々な条件でこの日だけの特別な音色になっていたんじゃないかなと思います。弾く人や調律師は大変みたいですが、私はこの直接音に近い音がすごく好きです。

第2楽章
始まったとき、かてぃんさんは膝に手を置いて、祈るように目を伏し気味にしていたように見えました。私は視力がそこまで良くないので、下を向いているから伏し目にみえたのか、全部閉じていたのかまでは謎。
私は密かにBBC Promsで弾いた吉松隆『メモ・フローラ』の時の甘露滴る幻想的な音色がくるかと想像していました。
でも全然そんなじゃなく、キッパリとした音色で、だけどとても柔らかで、なだらかな弧を描くような、まあるい音楽の流れ。青りんごとか新緑の香りがしてきそうな爽やかさもあって、清涼な森にいる感覚でした。

終わりの頃の叩きつけるような音が力強くて、ドラ? も霞むほどの迫力。
あれすごかったなぁ。大屋根に映るすべての弦が痺れて震えているのが見えたかと思いました。
本当に弦が動いたのか錯覚かは謎ですが、すごい衝撃でした。あー、映像が欲しい!
それでいて、音が割れるとか、嫌な脅かされ方をする騒音じゃなくて、全てが音楽的に響いていました。
かてぃんさんの金属弦の震える音が大好物なので、最高でした。

第3楽章
アタッカ(楽章間に休まない)で突入した3楽章に至っては、2楽章で弦をビシビシさせたところでトリップしてしまった感もあって、ほとんど記憶がありません。なんてもったいない。(よくある)
でもテンポやグルーヴが損なわれていたら一気に現実に引き戻されてしまうので、ずっと興奮させられていたってことは間違いなくすごかったんだと思います笑

一曲を通して、予習群の演奏よりほんのちょっとだけずらすような仕掛けが随所にあって、でもずらすといってもジャズでよくあるような大きな遊びではなくて、楽譜通りの範囲内みたいな、本当に隠し味くらいのずらし。
その、ほんの少しに心地よい引っ掛かりがあって、翻弄されるのがたまりませんでした。
ずらしのような遊びができるのは曲が手中にしっかり入っているからですよね、かてぃんさんだけじゃなく、オケもマエストロも、余裕だなぁって。
アデスとかアダムズを演ったときは初演のオケを気遣うように呼吸を合わせながらペースメーカーをしているようにも見えたかてぃんさん、バル3もそれほど演奏機会が多い曲ではないと思うけど、オケメンの皆さまにしても初演のアデスやアダムズほどのスリルは持たないで演れるのだろうなと感じました笑。

ソリストアンコール
演奏が終わるやいなや、男性のお客さんが「いえーい」か「うおー」のような野太い雄叫びをして、指笛が吹かれて、すごい拍手で、私もすごい拍手しまくって、アンコールはショパン『華麗なる大円舞曲』

予想外!!
でも予感はしたかも。連打・トリル系の反応が本当に素敵なピアノだったから、この曲とか子犬のワルツ、きらきら星あたり弾きたくなるピアノなんじゃないかなぁと思いました。でもアンコールでもうかなり弾いたし、きらきら星は前日の杉並で弾いたから、オケメンやマエストロに違う曲を楽しんで欲しいと考えそうだなとか、ちょっとだけ考えました。
でもまさかなぁという感じで、浮かんですぐ除外していました笑
指からCD音源の大円舞曲でした。
自由で気品あふれるショパン。
早い速度なのに、ところどころに絶妙なタメがあって、余裕のある演奏が華麗すぎました。
ショパンのこういうの、ツアーのアンコールでたくさん弾いていて(私の行った回は別のでした)もうなかなか弾いてもらえる機会ないんじゃないかなって思っていたので、特大サプライスでした。

前にかてぃんさんが、アンコールは共演者に自分(の演奏)を知ってもらえる機会でもある、お客さんにはもちろんだけど共演者にも楽しんで欲しい、のようなことを話していて、あとはその日のコンサートになにかしらの関係がある曲を選んだりすることもあって。今回、近現代繋がりでもない、出身地繋がりでもないショパンを演奏したのは、なにか意味はあるのかな。

前日のきらきら星は1年前のハンブルクでのコンサートで弾いた曲だったので、その時の感動を日本のファンにも、みたいな感じかなと思っているけど。
大宮は地域の文化事業で学生さんの来場もけっこうあったから、若い人にショパンを聴いてほしい的な考えもあったかも?(さいたま定期のパンフ表紙は地元の高校生作品だそうです)

時々、アンコールがその後のでっかい伏線だったりすることもあるので、覚えておこうかな。下野Mo.とショパンコンチェルトやるかな?笑
そしたら2番もいいなぁ……。感想ではなくてマエストロへのリクエストばっかりになってしまっています笑。

そういえば、昨年のバルトークの時に似てると話していたティグラン・ハマシアン。この公演のタイミングで告知のあったフェス(くるり主催:京都音楽博覧会2023)で同じステージに立つんだそうです。ジャストすぎ。縁があるんだなぁ。

割と最近のライブ映像があったので貼っておきます。かっこよ。


ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』

※シルヴァン・カンブルラン指揮の田園。いよいよ来月は共演ですね。

実は割と大本命的な気分で楽しみにしていたベートーヴェン。ゴールデンウイークにラ・フォル・ジュルネの関連コンサートのレポートをするという機会をいただいて、丸2日間どっぷりベートーヴェンに浸かってしまい、ちょっとしたベートーヴェン・ロスになっていまして笑。またベートーヴェン聴ける! と心待ちにしていました。
(その時のレポートはこちら 5/4 5/5

ちなみにこの曲、田園の舞台になったとされる場所がウイーン郊外のハイリゲンシュタットという場所で、つい半月前にアダムズのあと登ったドイツのツークシュピッツェ山(アルプス交響曲・感想はこちら)とは、アルプス山脈で繋がっているんです。

位置関係はこんな感じ。距離でいうと富士山から福島とか反対側だと大阪くらい。

西側にツークシュピッツェ、東の麓にハイリゲンシュタット。

近い、といっていいかは人によりそうだけど、地続きで文化も言葉もそこそこ共通点のあるあたりですよね。音楽の中に、アルプス交響曲のモチーフに似た形が出てきて、解像度高めで楽しみました。

下野Mo.と日本フィルの柔和で丁寧な演奏は、アルプス交響曲のときのような演劇的に景色や物語が映像化されるような印象よりも、お土産話を聞いているような感覚というのか、ベートーヴェンが見た景色、触れ合った人々、そこで聴こえた音、音楽、そういったものを言葉で受け取るような感覚になりました。ベートーヴェンとお話できちゃった! みたいな気持ち。ベートーヴェン、本当にこの場所が好きだったんだなぁと。

私は最初、雄大さを描いたアルプス交響曲と、のどかな麓の人里を描いた差かなと思ったのですが、帰宅して配信も聴き直して、指揮者や演奏者の、アプローチの違いのようなものかもしれないなぁとも思いました。(アルプス交響曲のほうは大編成だったので、その圧も絶対あったと思います笑)

後で見たパンフやネットなどでも「内面描写」と表現されていて、写真や絵画のような景色の描写ではないんですね、なるほど納得!

アルプス山脈という共通点がある2曲の生演奏を同じ月に聴けたことは、クラシック音楽初心者の私にはとても有意義でした。

あと座っていた席がヴィオラの前の2列目だったので、嵐の時のコントラバスが大迫力で大興奮! 最高に得した気分でした!

オケのアンコールはベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」より第一幕「マーチ」でした。
指揮台にピョンと飛び乗り「安心してください。超! 短い曲です笑」と会場を笑いで沸かせた「とにかく明るい」下野Mo.の言った通り本当にあっという間の、どこかコミカルさもある楽しい華やかな曲。ふわふわの幸せな気持ちで終演しました。

バル3のあとと同じかそれ以上に声援と拍手が注いで、振り向くと満席の大喝采。最後のカーテンコールで下野Mo.がコントラバスの主席のところにも歩いて来ていました。最接近! 近い!
終演時のカーテンコールは撮影OKでSNS拡散してねってアナウンスがあったのですが、私は電源を切ってしまっていたのと拍手が忙しくて撮れませんでした。
なので文章で拡散しようと書いています。
拡散してください!笑



旅の終わりに

とっても楽しいコンサートで、ウキウキふわふわの気分で新幹線乗り場に向かったら、危うく上越方面に乗ってしまうところでした笑

フィンジという新しい音楽との出会いや、ずっと聴きたかった角野隼斗のバルトーク、そしてLFJで好きになったベートーヴェン、アンコールにショパンと、私にとって最高のプログラムでした。

近代から、バッハを内包しつつフィンジ→バルトーク→ショパン(!こういうことですか角野先生?)→ベートーヴェンと遡る音楽旅行の中には、現在もかの地で続く戦争とも重なる描写や病など死生観も見え、『楽しい』だけでは終わらない、いつの世も悲しみや憤りが音楽と共にあるということも改めて感じました。それはどんな時代にあっても、どんな境遇にあっても、彼らは音楽を止めなかったということ。
そうやって受け継がれてきた音楽の長い歴史を共有できたことを嬉しく思います。
なんて書くとしんみりしてしまいますが、人生って、暗い部分に焦点を当てすぎてしまうとそればかりになってしまうけれど、この日の音楽のように、喜怒哀楽は常に同時に存在し得るもので、『総じて楽しい』と感じられるようなマインドが人生を楽しむコツなのかもなぁ、と思いました。
ほんと、楽しかったです!

今回も長くなってしまいました。。。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!

バルトーク祭り後半のハンブルク交響楽団との共演ももうすぐ!
かてぃんさんの、バルトークトーク(言ってみたかっただけw)を貼っておきます。チケットまだ浜松が若干数あるっぽい! 浜松の7/14はかてぃんさんのお誕生日ですよ!(高崎は完売)


※以下備忘録というか迷子防止Twitter貼り付け欄

参考:英語自動翻訳


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