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「100日の郎君様」 - ド・ギョンスという役者の引力

★★★★

海街チャチャチャ」を観ていたらキム・ソノの出演作を他にも観てみたくなり、長らく気になっていた本作をついに完走しました。運命の恋と過去から続く因果。期待に違わぬ少女漫画的なときめきと、そこに心地よい重みをつける役者たちの演技。とても好きな没入感がありました。

あらすじ

幼いイ・ユル(子役:チョン・ジフン)はある日、ユン・イソ(子役:ホ・ジョンウン)という少女に恋をします。子供ながらにプロポーズをするユル。しかしある日、ユルの父であるイ・ホ(チョ・ハンチョル)が謀反を起こし、手先のキム・チャオン(チョ・ソンハ)の手でイソの父に反逆者の濡れ衣を着せ殺害してしまうのです。その場に居合わせたユルとイソ。イソとその兄まで手にかけようとするキム・チャオンを必死で食い止めふたりを逃がそうとするユル。そのままユルとイソは離れ離れになってしまいます。

16年の月日が経ち、王位を継ぐ世子となったユル(ド・ギョンス / EXO - D.O.)は、文武両道でありながらも周囲に心を閉ざし、妻のソへ(ハン・ソヒ)にも指一本触れず孤独に成長していました。続く干ばつを責められ、妻との床入りを求められたユルは苛立ちから国中の適齢期を過ぎた男女に今すぐ結婚するようにという荒唐無稽な命令を発します。しかしそんな中でユルは王に雨乞いの儀式に向かうように言われ、道中で何者かに命を狙われ深傷を負うことに。側近を失いながらも何とか逃れてきた先で出会った村人に命を救われますが、意識を取り戻したユルは記憶をすっかり無くしていました。

一方、ホンシムと名を変えて生き延びていたイソ(ナム・ジヒョン)はいつの間にか28歳。すっかり結婚適齢期を過ぎており、このたびの世子の命令によってすぐに結婚しなければならない状況に陥ってしまいます。とっさに「ウォンドゥクという婚約者がいる」と嘘をつくホンシムですが、当然信じてもらえず百叩きの刑を受けることに。そこにホンシムを育ててきた義父が駆けつけるのですが、彼が連れてきたのがなんと義父が命を救い、記憶を失っているユル。ホンシムを助けたい義父はユルをウォンドゥクに仕立て上げ、その場しのぎで偽りの婚姻をするホンシムとウォンドゥク=ユルでしたが、いざ夫婦として暮らし始めるとウォンドゥクは記憶がないながらも根っからの世子なので態度ばかり偉そうなわりに生活力は皆無で驚くほど何もできません。

呆れながらも手取り足取り生きる術をウォンドゥクに教えるホンシムの気立てが良く優しくて明るい姿に、ウォンドゥクはいつしか惹かれていきます。そしてウォンドゥクなりに一生懸命に働く様子をちゃんと見ているホンシム。気づけば本当の夫婦のように思い合うようになるふたりですが、当然そのまま平和な時間が流れていくはずもなく。そもそも世子の命を狙う存在がいるわけで、さらにはホンシムを連れて逃げたはずの兄がおり、ユルの妻であるソへはソへで、大きな秘密を抱えています。

と、様々な要素が複雑に絡み合っているものの、大きな軸はウォンドゥクとホンシムの幼いころから続く恋の物語です。シリアスな権力争いもあり人死も出ますが、全体には一途な想いを持ち続けるふたりの可愛らしくて穏やかな雰囲気が満ちていて、このほっこり感を失わずにハッピーエンドに辿り着いてくれと祈ってやまない全16話(時代劇としての本格さを求めるとひょっとしたら物足りないかもしれませんが)。

ド・ギョンスの個性とナム・ジヒョンの愛嬌

またこのドラマを定義するのは他でもないド・ギョンス(EXO - D.O.)という役者でしょう。「君を憶えてる」のサイコパスや「大丈夫、愛だ」の不思議な若者もそれぞれにハマり役に思えましたが、この記憶を失ったウォンドゥクと孤独に生きる世子・ユルは、特徴が多すぎてカオスになりそうなのに見事にまとめあげられており、間違いなく彼のための役に思えました。カメレオン的な演じ方というよりは、いずれもド・ギョンスという独特の存在感が基盤にあってこそな印象ですが、時に感情が読めず、時に目線だけでも雄弁に語り、シリアスさもコミカルさも共存できてしまうところがさすがです。綺麗な顔立ちをある意味で忘れさせるエネルギー。次は彼のより平凡な役柄の演技も観てみたいとも感じました。

素朴で愛嬌のある女子を演じたらピカイチなナム・ジヒョンとの組合せがまた秀逸で、見てて飽きないカップルというか、軽妙な掛け合いと急に見せるラブラブさの塩梅が気分良く、このドラマにハマる人が多いのも肯けます。

キム・ソノ&キム・ジェヨン沼も!

またキム・ソノが演じるのはホンシムに横恋慕するチョン・ジェユンなのですが、ちょっぴり大人の男として適切な横恋慕を繰り広げてくれます(もう少しグイグイ行くのでもよかった)。ホンシムの兄・ムヨン(キム・ジェヨン)なども含めて多様な男前が登場するので、視点を変えて2周目に行くのも面白いドラマかもしれません。たくさんのキャラクターたちの活き活きした姿に、なんだか元気をもらえました。


▼その他、ドラマの観賞録まとめはこちら。

喜怒哀楽ドラマ沼暮らし

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