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「海街チャチャチャ」 - 人生の苦しさを解いてくれる陽差しと海の物語

★★★★★+

"海街"という言葉の響きは刺さります。日本の作品でも思い浮かべることができるような、ある意味で普遍的な癒しの風景と時に苦さもあるけれど笑いに満ちて優しい人間ドラマ。夏の終わりに始まるのがよく似合う世界観です。シン・ミナ&キム・ソノカップルのビジュアルも、美男美女でありながらほのぼのと可愛らしく、期待値高い!と思って1話の配信開始がとても楽しみな一本でした。

歯科医のユン・ヘジン(シン・ミナ)は、プライドが高く学歴やブランドにこだわるところもありますが基本的には純粋で嘘のない性格。その真っ直ぐさゆえに衝突し、ソウルの病院を追い出された彼女は、都会を離れて海辺の街・コンジンにたどり着きます。そこで「ホン班長」と呼ばれ、やたら資格を持っていて頭も良いのに定職についていない万能ニートのホン・ドゥシク(キム・ソノ)に出会うことに。誰にでもタメ口で飄々としたドゥシクとヘジンはバチバチにぶつかりますが、そんなドゥシクとの縁や他にも諸々の状況が重なってヘジンはこのコンジンで自分の歯科医院を開業することになるのです。

気が強くて上から目線、威嚇するハリネズミのようだったヘジンが、肩書きなどなくても街の人々のために働いてみんなに頼られ愛されているドゥシクとのぶつかり合いの中で彼女の根っこにある優しさと強さを発揮していく姿がとにかく素敵です。一方で、本当に万能で信念を曲げないように見えたドゥシクが実は抱えている深い深い闇と弱さ。暗かった海に太陽が降り注ぐように関わっていくふたりの物語は、「性格が真反対な男女のラブコメ」の王道を行くかのように思われた冒頭を完全に覆していくほど、繊細に美しく開花していきます。

何を置いてもかわいらしいヘジンの癒し力がとにかく抜群で、中盤からはドゥシクとすっかりバカップル状態なのですが、そこでもやっぱりヘジンがひたすらかわいい。けれど傷ついたドゥシクを守ろうとするときのヘジンは母親のような大きな愛情すら見せてとても強いのです。ものすごく素敵なキャラクターだと思いました。

そしてドゥシクは序盤こそ掴みどころがなくマイペースすぎてイケメンであることすら忘れそうになるのですが、背景が掘り下げられていくにつれ、キャラクターの想像以上の深さに驚かされました。彼のコンジンへの愛情には幾重にも意味があるのです。

もちろんコメディとしての面白さも抜群で、そこは他のコンジンメンバーたちの存在も大きいのですが、とにかく微に入り細に入りエピソードが丁寧で親しみやすく、誰もが日常を感じられるような、そんな世界。

あと、これは言わずにおけないのが子役!街の子供たちが何人か登場するのですがみんな本当に芸達者なのです。中でもイジュン役のキム・ウニュくんには号泣させられてしまいました。

▼キム・ウニュくんのInstagram

さらに劇中登場するアイドルグループDOSに至ってはやたらとクオリティが高く、実際に楽曲の振付け動画が公開されたり、遊び心にも満ち溢れています。

DOSのメインメンバーとして登場するジュンを演じるのはPRODUCE X 101出身のビョン・ソンテ。これまたイケメンのリアルアイドル。

▼ビョン・ソンテのInstagram

笑いと涙の塩梅が完璧で、号泣してから大笑いできるような、そしてどこまでも広い海と空にたまらなく癒される、最高に仕上がったドラマでした。作品力がこんなに高いのにどこまでも温かい。何度でも観たくなります。撮影の舞台となった浦項もいつか訪ねてみたい場所です(ドラマのヒットで今は人が押し寄せているそうですが・・)。


余談ですが、個人的にキム・ソノは「100日の郎君様」でも良かったです。


▼その他、ドラマの観賞録まとめはこちら。

喜怒哀楽ドラマ沼暮らし

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