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「無法弁護士~最高のパートナー」 - "正義は勝つ"の真意

★★★★

悪の花」ですっかりイ・ジュンギという役者の面白さにハマってしまい、観てみたのがこの作品。ヒロインが「サイコだけど大丈夫」のソ・イェジというのも大きかったです。

物語は、幼いころに母親を殺害された少年が大物ヤクザの伯父に育てられ、やがて弁護士になり、母を死に追いやった連中に法で復讐するため生まれた町に戻るところから始まります。ここだけつまみ取るとよくあるリベンジものですが、ポイントは敵のラスボスが正義の象徴として町に君臨する裁判官チャ・ムンスクであるということ。そして挑む側は弁護士ですから舞台はあくまで法廷です。裁判を通じて判事の素顔を暴いて追い込んでいく筋立てはなかなか新鮮に感じられました。

いかんせん、主役のイ・ジュンギ演じるボン・サンピルが男前で、もうそれに尽きる部分もあります。キレ者の弁護士でありながら、喧嘩も滅法強い。必要とあればスーツに素手でヤクザをぶっ飛ばしてまわります。当然にハンサムだし、一見言動はチャラいですが情に厚く、仲間を大事にして根は優しい。完璧なヒーローですね。

そんな彼と浅からぬ縁で結ばれ、やがて愛し合うのがソ・イェジによるハ・ジェイ。こちらも弁護士ですが、正義感が強く、一方で人を信じやすい脆さもある。芯の通ったタイプですが、隙を見せる瞬間はとにかく可愛い女の子といった感じ。そんな彼女をボン・サンピルが心から大事に慈しむ様子はこのドラマの醍醐味になっています。

ふたりを囲む仲間たちも愉快なメンツばかり。もとはチンピラばかりですが、サンピルを兄貴兄貴と慕って盛り上げてくれる存在で、結構裏切ったり裏切られたりが多い展開の中ではなんだか安心します。あとは何よりサンピルの伯父チェ・デウン!いや、これはかっこいいです。ヤクザの親玉としての迫力、大物感もありながら、サンピルのことは本当に優しい伯父さんとして見守ってくれる。魅力的な登場人物として物語の厚みを支えます。

敵はチャ・ムンスクを筆頭にバラエティ豊かなキャラクターが揃っていて、権力と財力を存分に振り回してくるので倒すのも全くもって容易ではありませんが、三歩進んで二歩下がるを繰り返しつつも、文字通り「正義は勝つ」ことが物語の要となっていて、ブレないコンセプトが、徐々に悪が綻んでいく中で気分の良いエンディングへと導いてくれます。サンピル自身も決して復讐鬼ではないということが次第に分かってきて、「無法」を名乗りながらも、法のあるべき姿みたいなものを説いてゆく、そんなドラマ。

当然ラブストーリーとしても楽しめますが、恋愛の展開については少々急転直下な部分も否めず…。とはいえ役者がどちらも純粋な主人公たちをよく表現していて、互いを心から大事に想い、仕事のパートナーとしても認め合うふたりの姿は繰り返し見たくなるカップルです(何せ絵になる)。

あとは個人的に、時折出てくる幼き日や若かりし頃のボン・サンピルのシーンがいちいち刺さりました。本当、いいキャラクターだと思います。アクションシーンもキレキレで見応えたっぷり。(恐らくないでしょうが)続編があったら観たい作品のひとつです。


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