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文章の書き方を知る上でわかった本と本棚の効用


(1)本棚にある本は役に立つ


今回「文章の書き方を知る」という目的に駆られ、新しい本も買ったけれども、元々本棚にあった本も読み返してみた。

闇雲に開いても関連した情報が見つかるはずもないので、目的の情報が書いてありそうなタイトルを開いたり、当てにならない記憶を辿ったりして、本を開いた。

すると、読んだ痕跡(※)がある記述を目にした。そこには、目的に関する有益な情報が書いてあったのだ。

※読んだ痕跡
文章に線を引いたり、ページの端を折ったりすること

文章を書くための知識はいらないと高をくくっていたにも関わらず、「いつか使うかもしれない」とばかりに保険をかけていた自分に笑えてくる。

しかし、今回はそれが大いに役立った。

一例として挙げると、noteをはじめて間もない頃に紹介した梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』という本。この本の最後の方に文章についての記述がある。

文章を書くという作業は、じっさいには、二つの段階からなりたっている。第一は、かんがえをまとめるという段階である。第二は、それをじっさいに文章にかきあらわす、という段階である。(P200)
第一の「かんがえをまとめる」ということが、ひじょうにたいせつなのである。(P201)

梅棹氏はこのように述べているが、参考にした他の著者による数冊の本にも「考えをまとめる作業」の大切さが説かれていた。もちろん、その考えを文章に反映させる方法も。

よく考えればすぐにわかることでも、自分には盲点だった。必要な情報、やるべきことが一つわかったのはありがたい。

(2)読み返すことで新たな発見がある


(1)で述べたことは主に、読んだ痕跡を残した部分についての話であるが、他にも得られたことがある。

痕跡のなかった部分、つまり、当時は大切と思わなかったか、読み流していた部分についてである。

はじめて読むかのような真っさらなページを注意深く読んでいくと、今だからこそ大事だと思えたり、必要だと思えたりする記述を見つけることができた。

これは以前とは自分の状況や目的が変わったことが考えられるが、これこそ本を読み返す効用ではないかと思う。

そして、本を読み返すためには自分の手元になくてはならない。すなわち、本棚に収まっているという必要性だ。

前に「本棚は第2の頭脳」と言ったけれども、単に記憶装置という意味以外に、新たな気づきや考えを提供してくれる点でも、「第2の頭脳」という表現はピッタリだと思う。

(3)ネットも役に立つ…しかし


一方で、欲しい情報を求めるなら限られた自分の本棚に求めるよりも、ネットに溢れんばかりの情報があるではないか、という考えもある。

たしかに、ネットで調べればいくらでも出てくるし、要点をまとめられた記事も多い。手軽だし使わない手はない。

実際に文章の書き方をネットで検索してみたところ、たくさん関連記事が出てきたので検索結果の上位のいくつかの記事を見てみた。

どの記事にも正しい文法や構成についての記述があり参考になる。体裁の整った文章を書くだけであればネット記事は充分役に立つことは間違いない。

しかし、文章を書く上で重要な自分の考えを文章に反映させる方法も知りたかったが、こちらに関しては物足りなさを感じた。もちろん検索ワードも変えてみた。

ネットをもっと有効活用するなら検索力を上げるしかないのかもしれない。

(4)本には読んだ痕跡を。本棚には本を。


以上は「文章の書き方を知る」という目的に駆られて行った一連の自分の話ではあるが、きっと本棚を持つことで誰にでも同じような経験ができると思う。

もちろん、読みながら「どこかで使えるかもしれない」とアンテナを張っておくこと、アンテナに引っかかった箇所に読んだ痕跡を残すことは必要になる。

読んだ痕跡と言っても線を引いたり、ページの端を折るだけの簡単な作業だ。しかも、痕跡がなくても読み返した時に新たな発見がある可能性もある。

そのちょっとした手間と本棚があるだけで自分が抱える問題を解決に導いてくれるのだからこんなに良いことはない。

電子書籍も普及している中で、アナログな方法にこだわるのは時代に沿っていないのかもしれないが、本という形ある物質、本棚という形ある物質が与えてくれる心の豊かさはけっして悪いものではないと思う。

何より本と本棚は、実際にとても役立ってくれる。



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