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ネタバレしない文学紹介『罪と罰』ドストエフスキー

ロシアを代表し、世界的文豪の一人に数えられるドストエフスキーの五大長編の一作。一口に何小説とは言い難いのですが、推理小説的な要素あり、社会風俗画的な要素あり(1860年代のサンクトペテルブルクを精緻に描写されているそう)、宗教、愛…もはやドストエフスキー小説と言いたいところです。

ネタバレしないと言いつつ、この作品の場合どこまでがネタバレなのかわからないのと、仮にバレてもこの作品の魅力は登場人物、場面描写、人物同士の会話など、読まなければわからない要素が多いので、バレても問題ないでしょう(笑)以下、ざっくりとしたあらすじです。

貧しい大学生ラスコーリニコフは、独自の理論のもと、金貸し老婆と、たまたま居合わせたその妹を殺してしまいます。罪の意識と事が明るみに出ることに怯えながら日々を送る中、捜査の手が迫りますが頭脳明晰な主人公は平静を装い立ち回ります。自己犠牲を厭わない娼婦ソーニャとの出会いで心がどう動くのか…予審判事ポルフィーリーとの対決、ソーニャへの告白(何の告白かは読んでのお楽しみ)が読みどころ。

あらすじついでに、ひとエピソード。老婆殺害の場面はなんとも言えない没入感があり、あたかも自分が薄暗い部屋にて斧を手にしているかのような感覚があったのを覚えています。ぞっとするような体験ではありましたが…ロシア文学者の亀山郁夫さん曰く、『罪と罰』の魅力は「リアリティそのもの、言葉のそのものの力」と称しています。
僕が体験したことは、数ある場面の一断片ですが、他の場面でもまさにそれが表現されているのを感じました。

まだ読んだことのない方は、ぜひその身で【ドストエフスキー体験】を体験してほしいと思います。長編で多少の気力と相応の時間は必要ですが、初めてのドストエフスキーなら一作目として胸を張っておススメしたい作品です。

※古典作品なので複数の翻訳があります。標準的な書店で比較的簡単に手に入るであろう書籍を紹介します。ちなみに僕は新潮文庫版を読みました。

◇新潮文庫版『罪と罰 上・下』工藤精一郎 訳

◇角川文庫版『罪と罰 上・下』米川正夫 訳

◇光文社古典新訳文庫版『罪と罰 1~3』亀山郁夫 訳


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