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「過去未来報知社」第1話・第93回-最終回-
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>>第92回
https://note.mu/su_h/n/nfe806efd1a46
(はじめから読む)
<<第1回
https://note.mu/su_h/n/n80b1bc94e9af?magazine_key=mbb6ba54825ac
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「六合に来たのは、大家さんとの約束のためですか?」
笑美の問いに、慶太は目を
「過去未来報知社」第1話・第92回
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>>第91回
(はじめから読む)
<<第1回
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「アカシが……私の……?」
ふっと周りの風景が変わる。
気がつけば、笑美は空中に浮いていた。
眼下に、うずまく緑の渦と、
谷底に落ちそうになっている笑美とアカシが見える。
「えっ?!」
「これは、あの10年後のアカシがむかえた過去だ」
振り向けば、大家が隣に浮いている。
「過去未来報知社」第1話・第90回
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>>第89回
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<<第1回
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大家は渦に鋭い視線を向けた。
「六合は群意識の強い村だった。
孤独を許さず、村民の意識の一体化を良しとする風潮があった」
「……それは、悪い事なのか? 今の時代だって、そうは変わらないだろう」
笑美を掴んだまま、慶太が首を傾げる。
「和、とか絆、とか。
俺がやってきたドキュ
「過去未来報知社」第1話・第89回
「私っ?!」
「危ない!!」
叫ぶような声と腕を引く強い力に気がつき、笑美ははっと気がついた。
緑の渦巻きに、飛び込むように自分の体が投げ出されている。
その腕を右手で懸命に掴んでいるのは慶太だ。
崖の縁に左手を引っ掛け、必死の形相で笑美を引き止めている。
その遙か頭上では、見えない壁に阻まれ、こちらに近づいてこられないアカシの姿が。
「どう……なってるの?」
「六合の胎動が始まったんだ
「過去未来報知社」第1話・第88回
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>>第87回
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<<第1回
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ふ、と気がつくと、笑美は町中に立っていた。
大きくも小さくも無い。でもそこかしこに人の息遣いを感じる町
歩行者が行きかう道を、遠慮がちにスピードを落として自動車が横切る。
足早に駅に急ぐ社会人の横で、小学生がふざけあいながら登校している。
甲高い笑い声に振り向けば、女児二
「過去未来報知社」第1話・第87回
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>>第86回
(はじめから読む)
<<第1回
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緑の洞穴。
目の前の渓谷を見て、笑美は思わず呟いた。
いくつかの尾根を越えた先には、びっしりと緑に覆われた渓谷がある。
あまりの深さ、あまりの深い緑に、
地球の裏側まで続く穴が空いている様に見える。
六合の裏山はそんなに標高はないはずなのに、
なんでこんな深い谷がある
「過去未来報知社」第1話・第86回
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>>第85回
(はじめから読む)
<<第1回
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「あの頂が、50年前のラストシーンを撮った場所ですよ」
「はあ、そうですか……」
頼まれもしないのに意気揚揚と撮影隊に参加した飯塚が、指を指して言う。
背後から息も絶え絶えについてくる笑美(と撮影隊)をあざ笑う如く元気だ。
「本当に、詐欺じゃないのか、あの爺さん……」
笑美ほ
「過去未来報知社」第1話・第85回
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>>第84回
(はじめから読む)
<<第1回
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「いや~、晴れたな~!」
アカシのマネージャー、鈴木は大きく伸びをした。
「雨男のアカシにしては珍しく!」
「一言余計だ」
ぶすっと言葉を返したアカシは、登山服の襟元を広げた。
「暑いんだよな、この衣装」
「しょうがないよ。登山家の話なんだから」
「いくら山育ちだからって、オフ
「過去未来報知社」第1話・第84回
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>>第83回
(はじめから読む)
<<第1回
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公園に響くブランコの軋む音、一つ。
慶太が一人でブランコに座っている。
遠くで猫が鳴く声がする。
同時に人の気配を感じ、慶太は立ち上がった。
「二人で夜のランデブーじゃないのか」
「古いな、あんたも、言うことが」
着物の裾を翻して歩いてくる大家に、慶太は毒づいた。
「あい
「過去未来報知社」第1話・第83回
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>>第82回
(はじめから読む)
<<第1回
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そらに少し欠けた月が浮かんでいる。
なんだか、失敗したホットケーキみたいだな、と笑美は思った。
不思議と、あの悪夢の月は浮かんでこない。
それは……、
(一人じゃないから、かな……)
隣を歩く慶太を盗み見る笑美。
自分から引っ張り出してきたくせに、慶太は何を言うでもなく
「過去未来報知社」第1話・第82回
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>>第81回
(はじめから読む)
<<第1回
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「過去未来報知社の仕事って、
あんなカウンセリングみたいな感じなんですか?」
食器洗いを手伝いながら、笑美はネコに聞いてみる。
「どんなのだと思ってたんですか~?」
「そりゃあ、呪文唱えたり、水晶見たり……」
「それは別のお仕事でしょ」
ネコはカラカラと笑った。
「そんな力、
「過去未来報知社」第1話・第81回
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>>第80回
(はじめから読む)
<<第1回
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「逃げるから追いかけるのか、追かけるから逃げるのか。
猫とネズミの関係はどっちが先か」
「そりゃあ、食べられるかいたぶられるかだから、
本気で逃げるんですよ」
「根津さん、いつの間に」
いつの間にきたのか、テーブルの隅で根津が茶を啜っている。
「逃げても、逃げても追いかけてく
「過去未来報知社」第1話・第80回
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>>第79回
(はじめから読む)
<<第1回
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「撮影、もうすぐ始まりますね」
マネージャーに言われ、アカシは読んでた本から顔を上げた。
「台詞、入ってますか? 大丈夫ですか?」
「大丈夫だって。俺、記憶力だけはいいから」
再び本に目を戻すと、アカシはぼそり、と言う。
「そう言えば昔、あそこで映画撮影があっ
「過去未来報知社」第1話・第79回
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>>第78回
(はじめから読む)
<<第1回
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重苦しい雰囲気の中で大家はふっと息を漏らした。
「そりゃあ、また難儀な話だ」
「私がいったい、何をしたって言うのよ……」
笑美は両手で顔を覆った。
「あの子が電車に轢かれたのは私のせい?
あのオバサンが追いかけてくるようになったのは、私のせい?
なんで私ばっかり、こんな目に