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ルール施行だ 上海マナー向上大作戦

「上海市民“七不”规范(上海市民7つのモラル)」をご存知だろうか。街中のいたる所に掲示されていたモラル向上標語であるが、時代と共にその内容も変わりつつある。


■2003年
痰を吐かない
ポイ捨てしない
緑を大切に
物を壊さない
信号無視しない
粗暴な言葉を使わない
公共の場では禁煙

■2020年
信号無視しない
違法駐車しない
ポイ捨てしない
ペットはご近所に配慮
食べ物を粗末にしない
騒ぎ立てない
割り込みしない

2003年から痰が無くなり、ペットや違法駐車が追加されるなど、17年間でライフスタイルも大きく変化してきた。ポイ捨て、信号無視、騒ぎ立てる、この三つは根強い。

他国から眉をしかめられることも多い中国のマナー事情だが、度重なるルール施行で徐々に向上の効果が現れ始めている。日進月歩牛歩戦術なのだ。

今回はモラル向上のため続々と施行化される、上海の条例をいくつか紹介します。

※上海市の条例と国の条例で重複もしくは相違点があります。
※内容に誤差がある場合があります。


屋内公共スペース全面禁煙

喫煙大国中国にとって最大にして最強の条例が、2010年3月に上海市によって施行された「公共スペースの禁煙」だと思われる。人によっては空気より多く吸っているので、それを禁止されては死も同然。

ところが数ヶ月も経たないうちに、禁煙条例効果はゆるゆるにほどけてしまい、店内に掲示された禁煙プレートをよそに、ほとんどのお店がタバコ天国へ逆戻りしていた。

天国戻りしてから7年後の2017年3月、禁煙条例が本気を出した。違反者個人は最高で罰金200元(約3000円)、スペース管理者は最高で罰金30000元(約45万円)、イチコロである。

2021年4月現在でも禁煙条例はほどけることなく徹底されている。食器を灰皿がわりにしていた当時に比べたら、信じられないほどの進歩である。ただし、屋外スペースではポイ捨てや歩きタバコなど、昔ながらの伝統的行為が今でも見られ、コンクリートジャングルの田園風景を感じることができる。


歩行者優先という交通改革

「大きい者ほど強い」がモットーだった上海の交通事情。優先されるのはバスやトラックの大型車輌、次に乗用車、そしてバイクや自転車、最後に歩行者である。横断歩道では「人が車に道を譲る」という、日本では考えられない光景が常識だった。

そんな暴力が支配する世紀末状態が続いた2016年5月、横断歩道での歩行者優先がルール化。されるも、またゆるゆるにほどけてしまい、相変わらずの世紀末状態である。

2020年6月、修正が加わり再度施行されたことにより、横断中の歩行者優先が徹底された。違反者は罰金200元と3点減点、世紀末救世主様の登場である。

こうなると目立ち始めるのが、法律適用外の電チャリ。バイク並みの速度で横断歩道に飛び込んで来るので、増え続ける車輌数に事故が後を絶たない。だがついに2021年5月、電チャリミサイルにも同様の法律が施行される。どのぐらい変化が見られるのか一ヶ月後が楽しみである。


臨機応変に加わる現代的ルール

乗り物だけでなく、人間にもモラル向上が求められる。2014年1月、地下鉄車内での飲食禁止などがルール化。ファストフードのにおいや、床に散らばる種の殻が車内から消えつつも、またゆるゆるにほどけてしまう。もうお気づきかもしれないが、中国では一度では効かない。

2020年12月、修正を加え再施行。新たに「電子機器の音声垂れ流し禁止」が追加される。スマホでの音楽や映像の視聴にはイヤホンを使用するよう、現代らしいルールが適用さた。


その他にも、2007年6月にクラクション禁止令。これも一旦ほどけて2016年7月の再施行で徹底化。クラクションが鳴らせないので、パッシングを多用するが、それでも通じない場合は、怒鳴るか車体をバンバンひっぱたいている。ベンツであろうがレクサスであろうがひっぱたく。


いかがだっただろうか、一度はゆるゆるにほどけるも、罰金をひっさげて徹底化されるさまざまなルール。罰則が無ければルール徹底は難しいようだ。


ここで おしっこ うんこしたやつの 家族
全員死ぬ

これはもはや罰則どころの騒ぎではない。

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