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失っていく感覚

当たり前だけれど、人は変わってゆくもので ふと多感な高校生だった自分を思い出す。 同級生の視線、言葉、親との関係、自分の気持ち、感情表現など、全ての歯車が上手く絡まらないそんな感覚。 何もかも感じ取りすぎて苦しかった頃に比べると、 いまは穏やかに過ごせるようになった。 気にしすぎる思考を止め、現実逃避を覚え、自分の感情をある程度把握し、苦しい時は美味しいものを食べ、悲しい時はゆっくりお風呂に浸かり、早く眠るようになった。 年を重ねるということでいえば、印象的なことが一つ

    • 愛はいますぐに

      20歳を過ぎた頃に、突然気づいてしまった。 どれだけ手繰り寄せようとも、駄々をこねたとしても、二度と会えなくなる時が来る。 人はいつか、いなくなる。 近ごろは長く家に居るようになったので、いま会えない人たちの事を考える事が多くなった。 もちろん、いまの時代であればすぐに話したり、顔を見ることもできる。 引っ越した友人とオンライン飲み会をしたり、異動したお世話になった先輩にLINEしたり、家族に手紙を送ったり。 色んな方法でコミュニケーションを取ることができ

      • 寝息

        「会わせたい人に会わせてあげてください」 と医者に言われました。曽祖母に会いに行きましょうと母から連絡がきた。 曽祖母は、今年101歳になるらしい。 会わせたい人に会わせてあげてください。 遠回しだけど分かりやすい言葉だ。 曽祖母は、物心がついた時から今もあまり変わらない。 絵に描いたような丸い笑顔で笑い、柔らかい白髪に細い腕、ぬいぐるみがたくさん置いてある部屋、カラオケが好き。 母が曽祖母の細い手を握り、眠ってしまった姿を見つめながら目元を拭うのを視界の端で捉えた。

        • 私を表す記号たち

          この前、会社で先輩が上司にババアと呼ばれていた。 それは軽いノリで、そもそも上司の方が年上である。そう言われた先輩は上司の肩を軽く叩いて、ひどい、確かに若くはないですけどー。と笑って返していた。 退勤して電車に乗った瞬間に、ドロドロした怒りが湧いてきた。 その上司に対して、それから何も言えなかった自分に対しても。 私の怒りは後からゆっくりやってくるタイプなのだ。 そして湧いて出てくる嫌な言葉たち。 女だから、男だから。 年齢がいくつだから。 外国人だから、日本人と

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