「考える」ことより「考え続ける」こと
いろいろな組織におうかがいして、ワークショップをやったり、会議に参加したりしていると、参加しているそれぞれの人の「考える姿勢」というか、「考え方の癖」のようなものが見えてくる。
特にシナリオプランニングのように、いくら考えても「これが正解」というような唯一の答えがないようなものに取り組むとき、その姿勢の違いがだいぶ明確になる。
それらを見ていると、そして以前に書いた「不確実な時代の学び方」を踏まえると、これからの時代に大事なのは「考え続ける」ことだと思っている。
どうすれば「考え続ける」ことができるのか?
「考え続ける」ことをざっくり分解してみると、
・いま考えていることを評価すること
・その評価を踏まえて考え方や考える対象を見直すこと
に分けられる。
この2つをぐるぐる何度も繰り返すことが「考える続ける」ことになる。
1番目のステップ「いま考えていることを評価すること」では、考えている内容はもちろん、考えている状態にまで目を向ける。
いま手元にないので正確な引用ではないけど『イシューからはじめよ』の中に「悩むのではなく、考える」という指摘がある。
悩むというのは、答えが出ないこと(がわかっていること)をどうにかしようとすること。考えるというのは、答えが出るという前提で考えを組み立てていくことと区別されている。
考えている状態にまで目を向けることとは、「考えている」今の自分の状態を観察して、考えると悩むの違いのような区別を明確にしていくことだ。
このように内容だけではなく、状態にまで目を向けることで、「このままの方向性で考え続けて良いのかどうか?」というような判断をしていく。
そして2番目のステップ「その評価を踏まえて考え方や考える対象を見直すこと」は、方向性を見直すステップだ。
考えるモードを変えてみたり(発散←→収束)、考えている抽象度を変えてみたり(例:具体←→中小)、考える項目を変えてみたり(例:3Cを思い浮かべ、ずっと顧客・自社を考えてきたから、競合を考えようという感じ)することで、考え方や考える対象を見直していく。
「考え続ける」ことの意義
最近はさまざまなフレームワークやメソッドが出ているので、それを活用すれば、誰でも「考える」ことはできてしまう。
ただ、多くの場合、そのようなフレームワークやメソッドをなぞって出てくるのは、自分の思い込みに近い粗い仮説だ。
さらに、そこから時間がたてば、その仮説の前提もどんどん変わっていく。
だからこそ、単発で「考える」ことだけで満足せず、環境とのフィードバックをとおして、そして環境の変化に合わせて「考え続けていく」ことが、とても重要なのだ。
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Photo by Reuben Juarez on Unsplash
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