一歩前に進んでもらうための「適切なフィードバック」を考える
noteを続けていると、書くことのモチベーションを維持させるための仕掛けがいろいろあることに気づく。
これは自分でWordPressをインストールしてやっているようなブログではもちろん、ほかのブログサービスでもあまりないことだろう。
その仕掛けの中のひとつが、タイミングの良いフィードバックだ。
マイページにアクセスしたり、記事を更新するときに、ポップアップでいろいろフィードバックが表示される。
連続で更新していると「○日連続更新ですね!」というようなポップアップが出てくるし、この前は「「考える」ことより「考え続ける」こと」の記事についてこんなフィードバックも出てきた。
自分のnoteのアクセス数からすると、実際の数はたかが知れているけど、それでも「もっとも多くスキされた記事の1つ」であることには変わりないんだろうから、こういうのは素直にうれしい。
そもそも「フィードバック」とは何なのか?
こういうフィードバックは、そもそも私たちの日々において「人対人」の場面でもとても重要だ。
最近になってマネジメントの分野で1 on 1などが注目されているのも、そういう重要性が見直されているからだろう。
では、そもそも「フィードバック」とは何だろう?
フィードバックとは「相手にとっての状況をより良くするためのコメント」と言うことができる。
冒頭でnoteに備わっているのが「書くことのモチベーションを維持させるための仕掛け」だと書いたが、この仕掛けは何かを書こうと思っている「相手にとって」、書き続けるという「状況をより良くする」ことを目的としたものだ。
noteでは、それを上にのせたようなポップアップのメッセージで表現しているが、「人対人」においては、それをコメントであらわすことが一般的だろう。
形式はどうであれば、ここで大切なのは、フィードバックが「相手にとっての状況をより良くする」という目的を持っていることだ。
「人対人」では、ついついフィードバックする側の自己満足のために言っているようなコメントもある。しかし、それは「フィードバック」とは呼べない。
どういう内容であれ、どういう場面であれ、誰かが誰かにフィードバックをする根底には「相手にとっての状況をより良くする」ものという前提というか、想いがあるべきだ。
「適切なフィードバック」をする際に自問する2つのこと
そういう想いを持っておくことはとても大切だが、それがあるだけで「適切な」、言い換えれば「効果がある」フィードバックになるとは限らない。
自分は同じ組織のメンバーやクライアントさんに日々フィードバックをする機会が多い。そして、その結果を追って観察して、それが適切だったかどうかを検証している。
そういう経験から、自分のフィードバックが「適切で」「効果がある」ものであるかどうかを確認するための確認項目として、次の2つの問いを自分に投げかけている。
・そのフィードバックの内容は、自分自身が実践していることか?
・そのフィードバックは、相手の現状に合わせた内容になっているか?
ひとつずつ見ていこう。
【そのフィードバックの内容は、自分自身が実践していることか?】
1つめはフィードバックの内容の信憑性にかかわる内容だ。
フィードバックとは「相手にとっての状況をより良くするためのコメント」なので、それが本当に「状況をより良くする」ものだという実感を持ってコメントできるものでなくてはいけない。
実感を持ってコメントするためには、実感するだけの体験を自分でしていなければならない。そのためにも、自分自身がそのフィードバックの内容を実践している必要がある。
もちろん、実践していなくても、本やセミナーなどで見聞きした知識で、それっぽいフィードバックをすることもできるだろう。
しかし、フィードバックされる立場になって考えてみるとわかるように、相手が、実感を持って言っているものかどうかは、意外とよくわかるものだ。
そして、そのフィードバックが口だけのものだとわかると、聞いている方はわかったような顔をして聞いていても、心の中では「そういうお前はどうなんだ?」と思っている。
信憑性のあるフィードバックをするためにも、自分自身が実践していることか?と自問することは大切だ。
【そのフィードバックは、相手の現状に合わせた内容になっているか?】
2つめは相手にとってのフィードバックの受容性にかかわる内容だ。
1つめの問いをクリアして、信憑性のあるフィードバックになったとしても、相手にとって受け容れられる内容になっていなければ、相手の行動にはつながっていかない。
相手にとって受け容れられる内容になっているかどうかは、主に相手のスキル面(ここではスキルだけではなく、知識や経験なども含めて言っている)の状態と心理面の状態の2つから判断する必要がある。
例えば、英語の勉強を始めて間もない人が書いた英文に対して、細かいニュアンスにかかわるようなフィードバックをしても、相手はその意図や内容を十分には理解できないだろう。そういう時点では、まずは基本的な文法のミスについてのフィードバックにとどめるべきだ。
このように相手にとって、そのフィードバックが受け容れられる内容かどうかを判断するためには、その前提として、相手の現在の状態をなるべく正確に理解する必要がある。
そう考えると、フィードバックをする前には、相手の状態を理解するための情報を可能な限り集め、それを元に観察し、自分なりの見立てを持っておかなければならない。
その上で、いきなりフィードバックをするのではなく、事前に自分の見立てが合っているのかどうかを確認するようなステップを入れるのが良いだろう。
それが合っていれば、想定していたフィードバックをすれば良いし、間違っていれば、フィードバックの内容やそもそもの前提を見直したりする必要があるだろう。
相手に前に進んでもらうために自分も前に進む
いろいろと細かく書いてきたが、事前にどういうことを自問するにせよ、繰り返しになるが、フィードバックをすることは「相手にとっての状況をより良くする」ことに貢献するものだということは、やはり忘れずにいたい。
相手にとってそういうものになるためには、相手が実際に行動に移せるようなフィードバックであると良いだろう。
そういうフィードバックができるためには、2つの問いのうちの1つめで伝えたとおり、自分自身が前に進むための実践をしていくことが欠かせない。
なぜなら、そうして自分自身が実践したことが「実感」として積み重なっていくことは、ひいては自分ができるフィードバックのキャパを拡げることにつながるからだ。
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Photo by Wynand van Poortvliet on Unsplash
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