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インタビュー技法の普及やご指導についてなど~読者の皆様へのお願い

ある読者の方からインタビューの方法論についてのレクチャーを頼みたいとのメールをいただきました。残念ですが、その方のご要望にはお応えできないと思われました。それは、まず、メールアドレス以外にその方は一切の個人情報をお書きではなく、すなわち失礼ながらどこのどなただかわからないということがあります。このネットセキュリティが問題になっている世の中でうかつにメールでお返事などできません。ビジネスの世界においでであるのならば、そのお立場などを明らかにされた上でコンタクトされるのは最低のビジネスマナー、常識でもあるかと思います。

また、ご指導させていただくための条件なども一切不明な点もお請けできないと思われた理由でした。

私も一応これでプロとして仕事をしている立場ですから、基本的に、そのようなレクチャーに対しては対価を頂く必要があると思っています。しかしこれは「お金」が目的でそう申し上げているのではなく、世のインタビュアーとインタビュー調査の地位向上の為です。要は、そのようなプロフェッショナルな技術が無料で提供されるようなものであるという認識を持たれては困るわけです。そこにはきちんと対価が発生するものであるべきですし、その対価に見合った内容のサービスの提供もされるべきでしょう。個人的なお話となりますが私は発注側の立場として、インタビュアーや調査会社が提示してきた費用を値切るということは行ってきませんでした。それは、自分自身がインタビュアーであるが故に、その価値を知り、その地位向上を願ってきたからです。しかし、そのパフォーマンスが期待を裏切るものであった場合、その人には二度と仕事を発注しないという姿勢も貫いてきました。

それがプロの世界だと思います。

「人の話を聞く」というのは誰にでもできることであるが故に軽く扱われがちです。しかし、その「聞き方」によっては、一つの会社を潰してしまうこともあれば、一つの事業を成功に導くこともあることは、この連載でも具体的に事例を挙げつつ説明してきました。特に、知識経験が浅い誰でもがそうするであろう、アンケート調査のような、質問を列記羅列するような方法論=アスキングが非常に問題のあるものであることは、意識マトリクス理論を基礎とするALI理論で完全に立証してきたわけです。

一方、世のインタビュー調査の大半がその「アスキング」であるが故に、インタビュー調査に対しての顧客満足度は低く、それがインタビューのスキルが軽く扱われる原因にもなっていることは否めません。満足度が低く、軽く扱われるが故に、クライアントは「自分がやった方がマシ」と思うようになります。しかし、その結果もアスキングを行っている限り、やはり同様であるわけです。そうなると今度はそれはインタビュアーの問題ではなく「インタビュー調査」という手法の問題になっていきます。それで、MROCだ、エスノだ、ニューロだと、違った目新しい手法に飛びついては失望するということを繰り返すようになります。これを私は「調査手法のショッピング」、「調査手法のワンダリング」と呼んでいます。結局一周回ってまたインタビューということにもなります。

このような現象はしかし、結局、「調査対象者から答えを訊き出す」という発想をしている限り、解決されることはありません。手法の問題ではなく、調査に対しての認識の問題なのです。これも意識マトリクス理論が明らかにした点です。エスノと称しながら訪問したお宅の洗濯機の前で、洗剤や洗濯機についてのアスキングを行っているようなことが普通に横行していることがこの「期待外れ」を生んでいるわけです。

こういった現状は調査業界と関係者が真摯に向き合って正すべきです。その為に、私は意識マトリクス理論やALIの普及、もしくはマーケティングを通じての日本の再成長や経済復興、などという大義名分につながることであるのならば喜んでどこへでも出向き無報酬でお話をさせていただいているのですが、ことそれが、一企業の為であったり、個人の為であるのならば、対価を頂く必要があると考えているとご理解いただければと思います。

いずれにせよ、私の方からもそういう機会は今後増やしていくつもりですが、もし、大義名分の下、真摯に取り組まれたいご意向があるならば、上記のような考えをご理解いただくことを前提に、ご遠慮なくご相談いただければと存じます。

今回、この出来事があって、自分の記事へのアクセスログを初めて見ましたが、自分の想像以上にこの記事が読まれていることがわかりました。なのになぜ「スキ」がつかないのだろう?というのが疑問です(笑)

上記のような気持ちで書いておりますこの記事の掲示順が一つでも上がれば人の目に触れることも増えるかと思いますので、読者の方には、極力フォローやスキをお願いしたいと思います。




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