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日本と同じ轍は踏まない? 中国の底力とは

昨日のnoteで、中国と日本が抱えている問題って結構似ているよね、ということを書きました。これだけ見ていると、中国もいずれは日本と同じ轍を踏みながら沈没し、「失われたn十年」を経験するようになるのではないか、とも思えてきます。

しかし、中国には日本をはじめとした諸先進国に学びながら、したたかに立ち回っている面もあります。特に西洋と対比したアジアの先進国としての日本を反面教師にしている感は強く、「日本のようにはなるまい」という姿勢が見えることもあります。

今日のnoteではそんな中国のしたたかさや将来の可能性について、それが「日本とどう違うのか」ということを軸に書いてみたいと思います。

イノベーションを「黙認」する素地がある

社会主義体制の中ではイノベーションは生まれにくく、新しい産業などが発達しにくいとされています。ましてや中国は、中央による強権がある国です。しかし、中国は市場主義経済の部分的な導入と、ある産業が発達してきたときにそれを「黙認」するという裏技でその欠点を克服してきました。

このことは中川コージさんの「巨大中国を動かす紅い方程式」に詳しいです。

厳しい統制が敷かれているように見える中国ですが、時に現れる法律スレスレを攻めた(時にはアウトの)イノベーターや新しい産業を、中央はまず「黙認」し、産業ごと育てます。伸び代がありそうなやつはいったんグレーゾーンに置き、好きなようにやらせてみるわけです。

そしてそのイノベーターや産業が十分に大きくなり、十分な規模に成長したら、今度はそのグレーゾーンにいた彼らに対し「そもそもお前ら法律違反だろ」とイチャモンをつけ、お取り潰しされたくなければ言うことを聞け、といわんばかりに中央の支配下に置くのです。

中国でこれまで伸びてきたサービスや会社は、みんなこのパターンです。近年ではアリババやテンセントなどIT企業大手が中国における経済発展とイノベーションを支えてきましたが、その発展過程の多くには法に触れるか触れないかのグレーなスキームや、既得権益者のとの激しい摩擦があったはずです。

しかし、それを実力と既成事実で押さえつけ、また中央がその野蛮さを「黙認」することで、中国においては新しい産業が育ってきた、という面があります(近年では、これらのIT企業は規制の憂き目に遭うなど、「鉄槌を下される」段階に入っていますが)。

中国ではこの「黙認」というシステム(?)によって、新しいものが生まれ、流行し、成長する可能性が残されています。むろん、昨日も書いたようにそれが世界に先駆けた画期的なサービスであるとは限らないのですが、海外のパクリでもなんでも、それを取り入れて経済が活性化する余地は中国にあるのです。

日本はこのへん、どんな感じでしょうか。法治国家たる日本ではグレーゾーンを「黙認」するという手段は取れませんが、そのかわりに産業振興のためには迅速な法整備が必要になるはずです。

しかしどうでしょう、たとえば他の国ではとっくに常識となっているようなシェアライドサービスさえ、既存産業との兼ね合いと法律の壁(旅客運送のための免許)に阻まれて、ちっとも普及が進みません。そのほか、フジテレビを買収しようとしたホリエモンのような「傍目には常識はずれで不愉快かもしれないが、既存の構造をぶち壊してくれるかもしれない存在」を、逆に叩き潰すようなことばかりしています。

日本は、統制国家であり社会主義国家である中国以上に、新しいものを育てる力を持たなくなってしまっているようにも見えます。悲しいもんです。

対アメリカをガチでやろうとしている

次に日本と中国で大きく違うところは、世界の覇者たるアメリカに比肩する存在に本気でなろうとしていることです。

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